フィンテック金融会社MTFX社 佐藤智子氏に聞く、世界の変化と 為替相場とその対策
世界中に衝撃を与えた米大統領選挙戦からおよそ1ヶ月。今年は英国国民投票におけるEU離脱賛成派の勝利、頻繁化しているテロ、移民問題などの問題が世界中で尽きない。大きく変化する世界情勢と為替相場の相関関係をスペシャリストの佐藤氏に伺った。
■米大統領選挙の結果はトランプ氏勝利となりました。世界で様々な変化が起こっていますが、どのように為替相場と向き合っていけば良いでしょうか?
私がカナダに昨年移住してくるまで19年間住んでいた香港では、2014年アンブレラ・レボリューションと称された香港反政府デモが起こり、私がカナダに移住後すぐに当時43歳のジャステイン・トルドー氏が首相に就任し、10年ぶりに政権交代となりました。今年に入ってからはイギリスの国民投票でEU離脱派が勝利。世界ではISなどのテロリストへの恐怖、移民問題など、貧富の格差を深刻化させてきた今までのシステムへの本能的な抵抗から、世界中の人々が、「とりあえず今の状況を変えたい」と変化を求め始めたことが、今回のトランプ氏の勝利につながる自然の流れとなったのかもしれません。
このような「変化」が起こる環境で、為替相場とはどうやって付き合っていけばいいのでしょう。この時期になると世界中のアナリスト達が様々に次の年の予想を語りはじめます。為替相場との付き合いが長く、培ってきた知識と経験を活かしてお客様にお役に立てるよう情報・サービスを提供するのが我々の仕事です。世界中の為替相場のプロ達の来年の相場予想も参考にしていますが、現在の予想は大方が修正されることになると思われます。なぜなら、為替の予想は今までの経験値や過去のデータの分析に基づいたテクニカルな視点を軸に立てられており、昨今のように世の中の事象が今までの常識とされていたことに反する方向に向かう中では、そのような予想は当たらない確率の方が高くなるからです。
こちらのデータは、11月8日の大統領選挙後のドル円の推移を表したものです。結局、トランプ氏勝利ではリスク回避で円高という条件反射的なマーケットの予想も外れました。
来年の米ドル動向に関しては、ここまで米ドル高修正入りという見方がほとんどでした。トランプ氏はドル安志向と考えられていますが、トランプ減税を中心に景気刺激的な財政政策が導入されれば、景気押し上げで米ドルは強まる可能性が高くなります。不思議なトランプマジック(彼が言ったことは実現される…!?)は、FED(連邦準備制度)への介入による強行的な新たな通貨協定なども彷彿とさせ、トランポノミクスの効果は未曾有です。
■そのような先が読めない情勢の中で、私たちはどのように相場と向き合えば良いのでしょうか?
以下の3点をポイントに、よりシンプルでベーシックに戻ることが重要かと思われます。
①できるだけ現状の事実に基づいた動きを追って、その時々の論理の積み上げ。
②無理・無駄を省き、短期的な柔軟性の高い計画を立て、積み上げを行い長期目標の達成。
③企業のお客様には為替の長期的なヘッジはお薦めしません。もちろんそれぞれのビジネスサイクルが違い、計画に基づく社内レート設定期間等も違ってくるので一概には言えませんが、為替相場に将来変化が起こる可能性が高い環境下では、予想に基づいて長期的なコストを固めてしまうのは、損をするリスクを負う必要のない金融機関を儲けさせるだけで、リスク管理手法に適しているとは思いません。
■実際に佐藤さんが手掛けているサービスを例にアドバイスをいただけますか。
例えば、
-為替レートは、1日にひとつのレートが設定されると思っていませんか?
-レートは、一瞬一瞬で違うことをご存知ですか?
-それぞれの通貨の価値の変化にそれぞれ特有の要因がある(円・米ドル・カナダドルを動かす要因は違う)ことをご存知ですか?
-銀行でしか為替取引(両替)ができないと思っていませんか?
-日本からの円をカナダドルに変換しなくても円で受け取れることをご存知ですか?
など、為替取引(両替)の仕組みを知ること、為替相場の知識を積むこと、為替取引と送金業務に利用できる選択肢を学ぶことを提唱しお手伝いをしております。
例)相場はその一瞬一瞬で変わる、1日でも両替レートが違う
1月16日のカナダドル(対米ドル)の動き
朝:米ドルを買った場合は
USD/CAD1・35レベル
↓↑
昼:以降米ドルを買った場合は
1・34レベル
また、為替手数料や送金手数料を削減する方法のアドバイスも行います。
-為替手数料(為替レート)の比較はしていますか?
-送金手数料(銀行の送金手数料)は知らない間に上がっているのを知っていますか?
最後に、弊社ではテクノロジーを活用して、業務を効率化し、時間や人件費の軽減にお役に立つことが可能です。カナダの多くの大企業では、両替&支払いを専用のプラットフォームを使って効率的に管理しています。弊社のオンラインプラットフォーム「FXOffice(オンラインで為替レート確定、送金手配、残高参照、レジャー作成等が可能)」も多くのお客様のファイナンシャル部署でご利用いただいております。
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Tel 905-305 -7885
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