オンタリオ州の保険アレコレを知ろう #6 ワーキングホリデーおよびビジター用の保険
日本で加入する海外保険パッケージ型と異なり、カナダで加入するビジター(ワーキングホリデー)保険は、医療費の補償が主な内容です。詳しく見ていきましょう。
ビジター保険
■補償の内容
カナダ移民局は、「カナダ滞在期間を通じて民間医療保険に加入していること」をワーキングホリデー許可証発効要件と定めています。これを満たすのがビジター保険です。不測の傷害・疾病に対する医療費を補償します。具体的には入院、外来、救急車利用費、検査費用、処方箋代、付き添い看護師費用、医療器具レンタル代、家族の渡航費用、遺体本国送還などが含まれます。カナダ移民局は補償上限について特に定めていませんが、カナダの医療費事情を考慮して、5万ドル以上のプランを選ぶのが安心でしょう。日本で発行されるワーキングホリデー保険のように、住宅や家財の損害に対する賠償責任補償や手荷物補償などは含まれていません。
■既往症や持病
既往症、つまり保険加入日より前に発生している症状は、保険発効日より遡って一定期間(保険会社の既定による)安定していたにも関わらず、急に悪化したと証明できるケースに限って、保険金支払いが認められることがあります。ここで注意したいのは、安定していても、前もって予測された持病の治療は、補償されない点です。例えば、渡航前に喘息の薬を常用していて、カナダで同じような薬を処方してほしいとします。これは前もって予測された持病の治療となるため、保険ではカバーされません。持病の薬は渡加前に必要分処方してもらいましょう。
■保険で補償されないケース
持病の検査や治療、虫歯の治療、妊娠に関する治療、美容整形や針治療など生命維持に不可欠ではない施術、うつ病や自殺、飲酒のうえでの障害疾病などが、ほとんどのプランで補償対象外となっています。また、滑走禁止エリアでのスキーや、スカイダイビングなど、ハイリスク・アクティビティと呼ばれるスポーツの結果の傷害・疾病も、プランによっては除外されます。
■加入資格
加入資格は保険会社とプランによって異なりますが、共通して言えるのは、健康であり医師にかかる予定や理由がないことです。「なんだか体調が悪いから今から保険に加入して病院に行こう」と思っても、すでに体調が悪い方は保険に加入できません。万が一のときのために、前もって加入しておくことが肝要です。
■カナダ国外に旅行する場合
ビジター保険は、カナダ国内だけでなく、カナダ国外でも有効です(出身国である日本を除く)。保険加入期間合計日数の51%以上をカナダに滞在することが条件です。キューバに3日間旅行に行きたい、といったような場合も、ビジター保険でカバーすることができます。旅程が決まったら早めに保険代理店に相談しましょう。
留学生保険
ビザの種類は問われないため、ワーキングホリデーの方でも、フルタイムで学校に通う場合は、留学生保険に加入することができます。ビジター保険と同様、緊急治療の医療費が留学生保険の主な補償です。加えて、不測の傷害・疾病で入院した場合の家庭教師代補償、1年間加入した場合の健康診断補償、などがプランによっては含まれます。
■ビジター保険・留学生保険に申し込むとき
ワーキングホリデー許可証やパスポート情報は不要です。保険開始日と終了日、補償上限額を決めたら、保険代理店に相談しましょう。カナダに入国してから医師にかかったことがある方は、診断内容や発生した医療費について、保険会社に申告してから加入することを求められることがあります(保険会社による)。
■病気になったらどうするの?
カナダの医療システムは、日本と異なります。総合病院に直接行って「眼科の専門医に診てもらいたい」といっても、受診できません。不測の傷害・疾病が起きて、治療が必要不可欠なら、まずウォークインクリニックを受診します。受付で問診票に記入して、受診のあと、支払いを済ませます。薬を処方されたら、薬局へ処方箋をもっていって支払います。その後、保険会社へ、保険金請求用紙と領収書原本を送ります。医師から「2週間後にまた来てください」と言われたとき、または「専門医に紹介します」と言われた時は、保険会社に電話して状況を伝え、継続治療の許可をもらいます。
夜間や救急車を利用したときなどは、総合病院の救急医療室を訪ねるかもしれません。その場合は、診察結果Medical Recordを入手することをお勧めします。後日の保険金請求の際に役に立ちます。救急医療室で治療を受ける場合、医療費はウォークインクリニックよりも数倍高くなり、数時間待っても診察してもらえないこともあるので、その点に留意しましょう。
■保険代理店あるいは保険会社に相談
ビジター保険に限らず、旅行保険には多くの決まり事があります。例えば、ある保険会社は、保険金請求書に受診した医師の署名がなければ、保険金請求を受け付けません。医療機関に向かう前に、保険会社のエマージェンシー部門に電話して、状況に応じた適切なアドバイスをもらいましょう。