ワールドシリーズの激闘と岡本和真選手獲得の舞台裏 トロント・ブルージェイズ・フロント加藤豪将さん(前編)|Hiroの部屋

ロサンゼルス近郊で育ち、ヤンキースからドラフト2巡目指名を受けてプロ入り。長いマイナー生活を経てブルージェイズでメジャーデビューを果たし、その後は北海道日本ハムファイターズでもプレーした加藤豪将氏。現役引退後は再びブルージェイズに戻り、現在はフロントスタッフとしてチームを支えている。今回は、歴史的激戦となった2025年ワールドシリーズの舞台裏、そして巨人の4番・岡本和真選手加入の内幕について聞いた。
ヒロ: せっかく豪将さんにお越しいただいたので、まずは昨年のワールドシリーズについてお聞かせください。2025年のワールドシリーズは、第7戦の延長戦までもつれ込む歴史的な激戦でした。相手は、大谷選手、山本選手、佐々木選手を擁するドジャース。ブルージェイズはあと一歩でしたが壮絶な死闘の末、惜しくも涙をのみました。
実際に現場にいた豪将さんは、シリーズ全体、そして最終戦後のクラブハウスの空気感をどのように感じましたか?
加藤:第7戦というのは、本当に特別でした。レギュラーシーズンは今日負けても明日がありますが、ポストシーズンは負けた瞬間に終わる。その感覚が、自分にはすごく新鮮でした。
シアトルとのシリーズもLCSも第7戦まで行きましたが、「明日があるか分からない」という空気がずっとあったんです。だからワールドシリーズ第7戦では、「もう明日は絶対にない」という感覚でした。
試合前は、コーチも選手も「今日は楽しもう」という雰囲気でした。もちろん負けた悔しさはありましたが、自分の中ではやり切った感覚もありました。
ただ、その後に監督が泣いていたんです。普段は勝っても負けても絶対にブレない人で、感情を表に出さない。その監督が涙を見せたのが忘れられません。
選手たちも泣いていました。途中加入の選手も、FAを控えた選手も、みんな泣いていた。それを見て、自分も涙が出ました。
ワールドシリーズは世界一を目指す舞台ですが、同時に「このメンバーで戦う最後の時間」でもあるんですよね。翌日にはロッカーを片付け、それぞれ別の場所へ行く。同じメンバーで来年また戦える保証はない。だから最後は、みんなお互いに「ありがとう」と言い合っていました。
日本人、アメリカ人、ドミニカ人とか、そういうことは関係なく、一つの目標に向かっている。その一体感は本当に特別でしたね。

ヒロ: とても貴重なお話で、その時の感情がリアルに伝わってきます。

加藤:自分はアナリスト1年目でしたが、1年間ずっと一緒に過ごした仲間や監督、コーチたちが泣いている姿を見て、人の感情に動かされました。特に監督が最後に感情を見せたことで、「本当に終わったんだな」と実感しましたね。


ヒロ: そして今年のビッグニュースは、岡本和真選手の加入です。
MLB公式サイトや日米加の主要メディアも当初から「巨人の長年の4番がメジャー挑戦」と注目され、「悲願の世界一に向けた重要な即戦力の補強」として大きな話題になりました。やはり球団も、岡本選手に注目していたのでしょうか?

加藤:もちろん、ああいう選手はどの球団も欲しいと思います。ただ正直、ポスティングされるとは思っていなかったので、実際に決まった時は「絶対に獲りたい」という気持ちでした。フロントもみんな同じだったと思います。
最後の最後まで決まらなかったので、正式に決まった時は、日本人としてもブルージェイズの一員としても本当に嬉しかったですね。

ヒロ: どのように評価されていたのでしょうか?

加藤:一番は、今のブルージェイズのチームアイデンティティーにすごく合っていることです。コンタクト率も高いですし、打球速度も速い。さらに、チームの穴だったサードを守れるのも大きかったですね。
ヒロ: 僕は、喜びと共に「本当にトロント来るんだ」との驚きもありました。しかも、野手で大型契約なのも印象的でした。
田丸: 日本で長く活躍して、ようやくメジャーに来られたわけですから、まずは「ブルージェイズに来て良かった」と思ってもらえたら嬉しいですね。
ヒロ: 守備もかなりお上手ですよね。
加藤: そうですね。守備は本当に良いです。もちろん、日本の野球とアメリカのベースボールでは細かい違いもあるので、そのあたりは少しずつ調整しています。でも思った以上にアジャストが早い。やっぱりトップレベルの選手ですね。
ヒロ: 豪将さんご自身も、岡本選手と関わる時間は多いですか?

加藤: 技術的なアドバイスはほとんどできないんですけど(笑)、日本にいた時は普通に日本語で会話できて、相談できる環境があった。でもMLBでは急にそういう環境がなくなるんですよね。
だから、何か相談されたら話しますし、技術的なことじゃなくても、「話せる相手がいる」というだけでも違うのかなと思っています。

ヒロ:やはり著名な方々ほど、普通に話せる場所を求めるのでしょうか。

加藤: そうですね。有名になればなるほど、どこで誰に見られているか分からない。だから普通の人として過ごせる時間って、すごく大事なんです。
ヒロ: 今年のブルージェイズの魅力や、チームの雰囲気を教えていただけますか?
加藤: やっぱり、みんな仲がいいですね。クラブハウスでも自然に会話がありますし、「みんなと話したい」と思える空気がある。そういうチームは、アイデンティティーも作りやすいと思うんです。
去年も終盤での逆転勝利が多かったですが、ああいう粘り強さって、結局はチームの空気から出てくるものだと思いますね。
ヒロ: とても興味深く、素敵な話です。
(聞き手・文章構成TORJA編集部)
加藤豪将さん
アメリカ・カリフォルニア州生まれ。2013年、ニューヨーク・ヤンキースからドラフト指名を受けプロ入り。2022年にトロント・ブルージェイズでメジャーデビュー、その後、北海道日本ハムファイターズでもプレー。2024年限りで現役を引退し、2025年シーズンからはトロント・ブルージェイズのフロントスタッフとしてチームを支えている。
Hiroさん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。NYの有名サロンやVidal Sassoonの就職チャンスを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。ワーホリ時代から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再びトロントのTONI&GUYへ復帰し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今もサロン勤務を中心に、著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。世界的ファッション誌“ELLE(カナダ版)”にも取材された。salon bespoke
130 Cumberland St 2F647-346-8468 / salonbespoke.ca
Instagram: HAYASHI.HIRO
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