ロックダウンは、人生の夏休み | J Athletics Canada 海上 誠さん（中編）｜Hiroの部屋

前編ではパンデミックによって久しく会うことができなかった二人に、コロナ禍で感じたことを中心に語ってもらった。第二回目となる中編では、ワーホリ時代の出会いや今の関係性になった月日についても語り合ってもらった。

ヒロ： コロナによっていろいろなことを考える時間がたくさんあったと思うけど、変わったことや決めたことは？

誠： 考える時間はたくさんありましたね。生き方が変わったということはないけど、サッカースクールでいうと、やっぱり現場なんですよね。子どもたちがフィールドで走り回って親御さんがそれを見ている。コロナによってオンラインがキーワードになりましたけど、オンラインで何かしようかすごく考えました。でも考えれば考えるほどどんどんつまらないものになっていくんですよね。だからオンラインはやらないと決めました。それがいずれ正しい判断だったんだということにしていかなければ！

　外で人と会い、一緒にスポーツができるということが価値になると思うし、その価値を最大限高めるようにしたいですね。

　その価値を生み出すためにやれることをブラッシュアップしていきたいです。

 ヒロ： 僕の場合は３ヶ月以上も無職で、自分のアイデンティティー = 美容師なのに、その美容師を出来ない事がロックダウン中で一番辛かった。ただ結果的に、とても貴重な時間に出来ました。僕はずっと美容師一筋ですが、今は共同経営者、TORJA連載、日本でセミナー、チャリティー活動など、だいぶ引き出しも増えました。もし僕が昭和に生産されたPCなら、最適化だけし続けても限界がある。OSを入れ替える程の感覚で、シンプル且つ大胆に、必要？したい？適切量？要領良い？等の自問自答で、今後の生き方の再起動ができた。

　３ヶ月以上もハサミを持てないなんて、おそらく人生で二度と起きない。ロックダウンは、人生の夏休みでした。今は世界中が再始動し始め、僕の人生の二学期も始まった。もちろん、医療従事者への敬意や感染被害に遭われた方への想いはあります。ただ、ロックダウン期間自体は僕の今後の人生をより良くしてくれましたね。

編集部： 話を聞いていると距離がとても近いお二人なんですが、出会いなどについて振り返ってもらえますか？

ヒロ： 最初の出会いの場所も時期も記憶が曖昧ですけど…誠さんはいつトロントに来たんだっけ？

誠： 僕がトロントに来たのは２００４年ですね。当時はヒロさんのことは噂で聞く感じでしたよ。いろいろチャレンジングなやつがいたって（笑）。
 
ヒロ： 突然、カナダから日本へ。そしてグアテマラだしね（笑）。実際の出会いは２００６年にカナダに戻ってからで、当時の飲み会や草サッカーなどでたまに会うくらいの関係ですかね。

誠： そうですね。それにしても最近つくづく思っているんですが、ヒロさんの何がすごいって、見た目もそうだけど、立ち振る舞いとかが当時と全く変わっていない、ある意味すごいなと感じますね。

ヒロ： 言動が成長してない？（笑）。僕たちは14年前に知り合ってはいたけど、今みたいな近い距離感になったのはこの数年かな？

誠： トロントに長くいて共通の価値観が増えていった感じでしょうか。だからようやくヒロさんと話せる感じになれたんだと思う。お互いサッカー場では会ってたけど、過ごしているフィールドや、ライフスタイルなどすごい先を行っている感じが昔はありましたね。

ヒロ： トロントに住んでいると周りの人がどんどん帰国するしね。学生、ワーホリ、駐在員だけでなく、移民していても完全帰国する人もいる。トロントにいても、結婚や子育てでライフステージが変わり、優先順位なども変わるしね。その点で誠さんは奥さんも子供もいるけど、今は二人ともトロントに家やビジネスもあるから、お互いに人生経験を重ねて共通の引き出しも増えたよね。

（聞き手・文章構成TORJA編集部）