シェークスピアの演劇やミュージカルで有名な町「ストラトフォード」|カナダで出会う音楽の話【第6回】
ジャスティン・ビーバーの出身地としても知られるシェークスピアの演劇やミュージカルで有名な町「ストラトフォード」
今年もあと残り1か月となり、トロントもすっかり冬の装いになってきた。我が家でもスノータイヤを装着したのを皮切りに、今週は慌ててクリスマスツリーやリース等の飾りつけ。当音楽教室では年末の発表会に向けてのレッスンが始まった。お世話になっている日系教会ではクリスマスの週末にポットラックランチや特別礼拝が行われる予定で、私もクワイヤーに加わらせていただく事となった。教会の子供達も皆でクリスマスソングを歌う事を楽しみにしている。読者の皆様においても年末年始に向けて何かとお忙しいとは思うが、どうぞお身体ご自愛なさって、愛に溢れた暖かいクリスマスやお正月をお迎えになられますように。
さて、そんな街中が冬支度で賑わう中、先日やっと念願叶ってストラトフォードフェスティバルに行ってきた。トロントから真っ直ぐ西へ車で2時間ほど、ジャスティン・ビーバーの出身地でもある人口3万人ほどの街で毎年4月から11月頃まで行われる知る人ぞ知る演劇祭である。元々はストラトフォードという町名がシェイクスピアの生地と同名であったため、町興しの為にこの土地出身のジャーナリストが設立したイベントだったらしい。当初はシェイクスピアを主に上演していて、野外に専用の円形劇場を建てたりしていたようだが、現在は街の中にある4つの劇場でシェイクスピアやコンテンポラリー、ミュージカル等が上演されており、この演劇祭の成功のおかげで、ストラトフォードという街は、いまや演劇観光地として世界中から人々を集めている。素晴らしい事だと思う。
今回私が観劇したのは、ロッキーホラーショーだったのだが、まず劇場の佇まいに嬉しくなってしまった。エイボンシアターという古い劇場で、アナログ感満載の雰囲気にこれまたアナログな観客の皆様。ほとんどがミドルエイジの白人カップルもしくはグループで、満席御礼の中アジア人女性はまた私1人だった。特筆すべきはそんなミドルエイジもしくはシニア勢がノリノリで芝居に参加していたのだ。コスプレや野次の掛け合いはもちろんのこと(注、このミュージカルはそういう演目です)最後のカーテンコールにいたってはキャーキャー踊りまくってものすごい熱気だった。言わずもがな演出も限られた予算だと思われる中きっちりと練られていて、役者陣も含めてお芝居への愛情が感じられた。日本公演とはまた違うアプローチはとても刺激を受けたし学ぶことも多かった。今年はもうすぐクローズしてしまうのが残念だが、来年はリトルショップを上演予定、しかも今回フランクを演じた方があの歯医者役ときくとやはりいてもたってもいられない。街中には雰囲気の良いB&Bなどもあるので、ぜひ一泊してシェイクスピアとダブルで観劇したいと思っている。
SAYAKA MUSIC STUDIO グリフィス千佳
兵庫県神戸市生まれ。モデルを経てライブや舞台を中心に歌手、役者として活躍。2012年に移住、現在はさやか音楽教室で講師を務める。1児の母。