Dartmouth Collegeに通う若手注目サッカー選手 櫻井功大さん × マッサージセラピスト青嶋正さん|プロアスリート対談

今回は、サッカー界で活躍する若手注目選手であり、Dartmouth Collegeに通う三年生の櫻井功大選手が登場。アメリカに滞在する現在も、トロントを訪れる際には青嶋さんにお世話になっているといいます。今回の対談では、櫻井選手のサッカーに対する想いや体のケア方法、今後の目標についてお話を伺いました。
青嶋: まずは功大選手の今までの経歴、サッカーを始めたきっかけを教えてください。
櫻井: 「早くスポーツを始めすぎると良くない」という考えの両親のもとで育ったので、幼少期からサッカーを始めたわけではありません。多分、「早いうちから厳しい環境に入れたくない」という考えがあったのだと思います。実際父がサッカーの経験者なので、自身の経験からその考えに至ったのでしょう。
青嶋: なるほど、お父さんの自身のバックグラウンドが影響しているんだね。あるプロバレエ団の選手を思い出したけど、その選手も小さいころからバレエが好きだったけど、両親が10歳まで習わせてくれなかったとか。普通と比べたら遅いスタートだったけど、バレエ学校を出たときには直にオファーをもらってそのままオーディションなしでバレエ団に入団していたね。小さいうちは体を酷使しないほうがいいというのは当たっていると思うな。
櫻井: 父親はあまり体について直接言っていたわけではないですが、そういったポリシーは感じていましたね。サッカーというと普通は3歳頃からやるものですが、確かに周りと比べて僕は始めるのが遅かったと思います。
青嶋: じゃあ、小さいときは何か別のスポーツをやっていたの?
櫻井: 小さいときは山登りとか体操とかをよくしていましたね。小学校時代は器械体操の部活をしていました。
青嶋: サッカーに戻ったのはなんでかな?
櫻井:
サッカーの魅力は、周りと一緒にプレーできること。それが好きなポイントでした。最初は行くのが億劫だったのですが、一回目のクラブの練習に連れて行ってもらって、そこから好きになりましたね。最初は遊びに行く感覚でしたが、それがきっかけになりました。
青嶋: 日本でもプロでプレーしていて、カナダのトロントFCでもプレーして、かなり活躍しているよね。入団テストではどういうことをやるの?トロントFCでもあったのかな?
櫻井: ゲーム形式のプレーを見られますね。マリノスのスクール時代から監督やコーチ陣からプレーを見られていたようです。監督が言うには、「やる気がある」と思われていたことが大きかったと思います。トロントFCでは、練習に参加してそのプレー次第で決まる感じでしたね。
青嶋: アメリカのアイビーリーグでもプレーしているよね。練習やプレー環境で日本との違いとか面白味は何か感じた?
櫻井: プレー自体にはあまり大きな違いはないですが、環境は大きく違いました。海外では、日本よりも選手の体の部分を重要視すると感じています。日本にいた頃は練習漬けで、小学3年生のときから僕の夏休みは一週間だけでしたからね。
青嶋: 日本では練習をやればやるほどいいみたいな風潮があるもんね。実際にトロントFCとどちらの環境が自分に合っていると思う?
櫻井: 精神的にも、身体的にも、肉体的にも、自分にはトロントのほうがあっているなと感じていますね。例えば試合は通例土曜日にあるのですが、翌日の日曜日には必ずトレーニングに行くことになっています。そこで専属トレーナーと1時間みっちりトレーニングして、氷風呂に入って、食事まで摂ります。

青嶋: サッカー用のトレーニングはあるの?
櫻井: サッカー用のものはないですが、リラックスするためにヨガだったり、呼吸を意識するものが多いですね。特別どこか中心というわけではないです。
青嶋: それはすごく必要だよね。今までの経験上、サッカー選手としてここをストレッチすると効くな、というところはある?
櫻井: 平目筋ですね。ここをほぐしたしたときはビックリしました。この前来た時は不調で心が折れていたときでしたが、何が悪いのかわからないし気持ちが焦っていました。そのときはひたすら走りこんでいて、青嶋さんにやめなさいと注意されましたよね。足首の可動域も20度くらいしかなくて。でも平目筋を緩めてもらってからは、からだが軽くなった印象が強かったです。翌日のウォームアップでサイドステップするときも、なんでこんなにコンディションが違うのかなと不思議でした(笑)。練習でGPSをつけているのですが、走行距離も30%も伸びてましたね。
青嶋: 平目筋とは渋いね(笑)。からだを治したら割と効果はよく出るものだよ。ひざに関してもぶれが治ったよね。
櫻井: 膝のぶれも自分では気づいてませんでした。
青嶋: こうたくんのお母さんが、「シュートしたあとこけるんです」と言ったのがカギだったんだよね。
櫻井: あれが自分のスタイルだと思っていたのですが、ある時期からおかしいと思っていました。今考えれば、パスもすぐ渡しちゃう傾向にあり、シュートする自信がなかったのかなとも思います。今はボールを簡単には渡しませんが(笑)大きな要因はひざの安定でしたね。あとは、おしりの筋肉を緩めて踏ん張れるようになりました。動きで相手がついて来れなくなりました。
青嶋: 足を開くストレッチもよく効くよね。自分でも安定させるためにストレッチはよくしているの?
櫻井: そうですね。週2回くらいは膝上をやるようにしています。アウトサイドが効果が出やすいですし、ITバンドも固くなりますね。やはり定期的にやっていると安定しますし、全然違うと感じました。一番大きいのが、自信をもってやれているということですね。
青嶋: 定期的にやれば安定するし、自信がついてきたってことは、今や周りの人からも信頼されてるんじゃない?
櫻井: そうですね。不調になるときもあるんですが、体をケアしたら戻ってくるという安心感があるのが大きいですね。
青嶋: メンタルは功大くんの体にかかっているわけだよね。トロントを離れることが分かっていたし自分でできるようなスタイルを身に着けたから、大体は対処の仕方も頭に入ってるんじゃないかな。ルーティンのストレッチはあるの?
櫻井: ストレッチ30分を、関節周りやおしり周りの筋肉を柔らかくするために行っています。ときには針や紐を使ったりしていますね。足首は針、上半身は手で行う部分もあります。そうすると、すぐに呼吸が楽になります。
青嶋: 呼吸を楽にするストレッチは、スピードスケートの選手からも、プレー中は体勢的に呼吸がきついから、やると効果が違うっていうコメントが多いね。
櫻井:
青嶋: 本当は秘密にしておきたいけど、もうちょっと広まっていけばよいと思うね。それによって芽が出ない選手もいるんじゃないかな。次は怪我について聞きたいんだけど…。大きな怪我はしことあったっけ?
櫻井: 大きいのは腕の骨折だけですね。
青嶋: プレースタイルは何か変わった?
櫻井: 鍛えて吹っ飛ばすスタイルでしたが、鍛えるのも限界がありますし、バランスをくずしてましたね。大きな選手は、肩でかわせると安定します。ドリブルで押さえるときは腕の太さは外国人と比べると細いので勝てないですからね。
青嶋: すっとその技ができれば、相手の体がでかければ大きいほど効果が大きいよね。腕の振りはどう?
櫻井: あまり感じないですが、遅いと頭に遅いという感覚が残るので、ストレスをあまり抱えたくないというのがあります。何か考えるすきにボールを取られたりするので、試合中はあまり余計なところに気をとられたくないですね。

青嶋: なるほどね。前回の対談に出てもらった先輩の遠藤翼選手と一緒にプレーしていたよね。何か彼の印象はある?日本人はチームの中でどう見られてるの?
櫻井: FCでは、彼はあとから入ってきましたね。その日コーチがにこにこして来て、「また日本人が入って来たな」と言われました。チームの中では日本人は貴重だと思われてますね。なかなかアメリカにいないので。
青嶋: 外から見ていても、日本人は全体を把握してるように見えたよ。ところで功大くんは今回背番号が13から10番になったけど、意気込みやアイビーリーグの先の目標は考えてる?
櫻井:
あれだけ恵まれた環境の中でプレーするのはそこじゃなきゃ叶わないと感じますね。プレースタイルも勉強になりますが、トロントFCにチャンスをもらって遠征に連れて行ってもらったので、活躍して少しでも恩返ししたいという気持ちが強いです。

青嶋: 絶不調のときはわずか10分の出場だったのに、2週間後はフル出場までいったよね。ストレッチの効果も大きかったんじゃない?
櫻井: そうですね。おかげさまでMVPをいただきました。そのあとアメリカの大会があったのですが、そこでも活躍できました。調子はすごく良くなりましたね。
青嶋: 大学につながるアピールができたんじゃないかな?
櫻井: トロントFCでプロでなく大学を選んだのは、大学に行かないとプロでは活躍できないと思ったのと、トロントに長くいたのでいつかトロントを出て違う場所で挑戦したいと感じたからです。
青嶋: でも大学進学となると、勉強も大変になるよね。
櫻井: 逆に、頭が良くないと活躍できないと思いますね。インタビューを見ていても、どれだけプレーがうまくても考えがちゃんとないと活躍できないと思います。
青嶋: 一流選手は人間としても一流だもんね。
櫻井: 大きい決め手は大学チームの監督が熱心に誘ってくれたことでした。自分が通っている高校に、うるさいくらい連絡が来ていた大学があったので。監督はアメリカで僕を見たときに3、4試合で見染めてくれたようです。
青嶋: 今のプレーヤーとしてのセールスポイントは?
櫻井: トロントFCではディフェンス中心でしたが、今は一個のパスでゲームを変える、作ることができると感じています。
青嶋: スルーパスは下半身が大事だよね。以前「スルーパスを10度くらい右に出したい」と言っていたよね。それくらいの精度が大事なんだよね。
櫻井: 少しでもずれると角度が変わるので、かなりこだわらないといけませんね。春からストレッチを受けてパスも変わり、驚きました。軌道や球筋もそうですが、余裕が生まれたことで視野が広くなりました。今までやったことが結果につながったのかなと思います。体が楽なのも大きいですね。
青嶋: 最後に、僕のクリニックに来ていただける理由を教えてくさい。
櫻井: 主にリクエストがあるときにお世話になっていますが、自分でやるよりプロの青嶋さんにお願いしたほうが毎回新しい発見があります。何かここに来れば見つかるかもという思いで来ていますね。
櫻井功大選手
サッカーに集中出来る環境が整うDartmouthの3年生で、横浜FマリノスとトロントFC アカデミーで活躍し、アメリカの大学14校からスカラーシップがかかった注目選手。昨年プレー中に骨折して出遅れるも今シーズンから背番号が10番に生まれ変わり活躍中。トロントには両親の仕事で滞在歴があり、大学に進学後も休み期間にはトロントFCに招待され練習に参加している。









