奇想漫画家 駕籠真太郎さんインタビュー

度見たら忘れられないインパクトのある作風で、漫画家という枠を超えてさまざまなジャンルで幅広く活動されている「奇想漫画家」駕籠真太郎さん。今回、Toronto Comic Arts Festival(以下TCAF)に初めて参加された駕籠さんに、その独特な世界観と自身のキャリアについて話を伺った。

行われた個展“TRACT”
漫画家になろうと思ったきっかけは何ですか?
漫画家を意識したのは高校生の頃です。漫画に限らず、クリエイティブな職業に就きたいと思っていました。映像が好きだったので映画監督にも興味がありましたが、絵を描くことも好きだったので、漫画家というのが1番なりやすかったのです。奇想漫画家という独自の肩書を名乗る理由は何ですか?
誰もやっていないジャンルをやろうと思ったのが理由です。奇想漫画家と名乗ったのは、他の誰も名乗っていない名乗り方をしようと思って考えたのが奇想漫画家ということでした。
様々な作風を手掛けられていますが、そのアイデアの源は何ですか?
それはもう言い出したらキリがないのですが、もう何でもアリなのですよ。映画を見て思いつくこともあるし、本でも漫画でも、日常の会話からでも、どんなものでもアイデアの源になります。作風に影響を与えた人は、小説家でいえば筒井康隆です。中学生くらいのときに読んで、彼の作風に影響を受けて今の自分がいると思います。


やはり一般的なイメージとして、漫画家というのはストレスを感じることが多い職業なのではないかと思うのですが、やめたいと思ったこと、壁にぶつかったこと、などはありますか?
壁にぶつかったことはありますが、やめたいと思ったことはないです。他に何も選択肢がないですし、やることがないからです。ネタが浮かばなくて困ることはよくあります。批判については、例えば、僕の漫画を見て「気持ち悪い」と言われても、それはそういうものを描いているのだから当然としか言いようがないです。ある意味逆に、つまらないと言われたらそれはちょっと凹みますが、気持ち悪いとか悪趣味だとか怖いとか、それは娯楽として正しい反応なので、むしろどんどん言ってくれてもかまわないと思っています。
漫画家の他に、アニメ制作、フィギュア制作、また個展も頻繁に開かれていますが、漫画家の枠を超えてさまざまなことをされている目的や意図は何ですか?
それは僕自身からやろうと言う場合もあるし、周りから声をかけられてやる場合もあります。もともと映像をやりたかったというのもありますし、漫画という表現にこだわっているわけではないので、可能性やきっかけがあれば何でもやりたいと昔から思っています。
では、これからまた新たにやってみたいと思っていることはありますか?
今やっていることをもう少しいろいろやりたいのですが、ちょっと時間がなくて難しいですね。例えば、フィギュアとか立体物を作るのはすごく時間がかかりますし、映画なんかも本格的な長編になるといろいろ大変です。だからもしやるとしたら、デザインはこちらが描いて、あとはそういうことが得意な人にやってもらうとか、そういう形になるかもしれないです。でも、やるんだったら本格的にやりたいですね。
今回のTCAFの他にも、海外のイベントにたくさん参加されていますが、日本と海外のイベントやファン、現地の人々を比べて違いを感じたことはありますか?
去年行ったイタリアのルッカで行われたコミックフェアでは、ルッカの街そのものがイベント会場みたいな感じでした。道を歩いているときによく声をかけられ、さすがに日本でそういうことはあまりないので新鮮でした。僕の漫画自体が、セリフよりも感情表現などのビジュアルに頼っているところがあるので、その辺は海外のほうが受けやすいのかな、と感じています。パッと見でわかるので海外から見た方がひょっとしたらわかりやすいのかもしれないですね。
好きなことを仕事にしている駕籠さんからワーキングホリデーとしてトロントで頑張るTORJA読者に応援メッセージをお願いします。
まず、好きなことや興味があることを仕事にするためには〝才能〟、〝努力〟、〝運〟が必要です。僕の職業で例えると、努力という点では「どうしたら絵が上手くなれますか」という質問をされたら、とにかくいっぱい描いてくださいというしかないです。大してあまり描いてないのに、どうしたらいいですかという人もいるので、それにはまず経験を積んでくださいと言っています。また、運・不運というのはやはり人によって違いますが、例えば何かイベントに呼ばれるとか仕事を依頼されるとか何でもいいのですが、そういうチャンスがくるきっかけを掴むために、自分からいっぱい行動をすること。向こうから声をかけられやすくなるように、なるべくいっぱい自分から行動しておいた方がいいです。とにかく、運を引き寄せるだけの行動はたくさんしておいた方がいいと思いますね。




駕籠真太郎
1969年、東京都生まれ。
1988年に漫画情報誌COMIC BOXにてデビュー。以後、奇想漫画家として活動し、エログロ、ブラックユーモア、SF、メタフィクションにまで至る作品を多数発表。最新単行本は『駕籠真太郎スポーツセレクション・左側に気をつけろ!』
www1.odn.ne.jp/~adc52520



