「桐島、部活やめるってよ」 吉田 大八監督

今年も大盛況で幕を閉じたTJFF(Toronto Japanese Film Festival)。最終日の6月28日には日本アカデミー賞3部門受賞作品「桐島、部活やめるってよ」が上映され、同作監督である吉田大八監督が来場、舞台挨拶と上映後に質疑応答を行った。会場は満員御礼で、満場の歓迎の拍手が場内に響いた。質疑応答セッション終了後も、引き続きの質疑応答を求める来場者で吉田監督の前には長蛇の列ができ、その後のTJFFクロージングパーティー中にも列が途切れることはなかった。今回、TORJAではクロージングパーティ終了後の吉田監督に、上映会を終えての感想を伺った。

TJFF上映を終えての感想
まず、会場が想像していたよりも大きなところで驚きましたね。また、天気が悪かった(当日は雨模様)にも関わらず、たくさんの方に来ていただけてほっとしました。雨の影響でお客さんが少なくなってしまうと残念だなと思っていたのですけど、すごくたくさんのお客さんで…。会場の様子を写真に撮ったので、日本に帰って自慢します(笑)
みんなが感想を直接伝えようと、上映終了後も多くの方が会場に残って話してくださって、その熱量と人数は過去最多だったかもしれません。すごくストレートに話してくれて、立ち話でも全然疲れなかったです。作った人間にとって作品は自分の子供のようなものですから、子供を褒めてくれるのはいくら聞いても疲れないというか(笑)
映画を作って持ってきた人間としては、こういった熱の帯びたリアクションが一番嬉しいですね。このイベントが、ボランティアの人たちを含めた多くの熱い気持ちで支えられていることが、お客さんの雰囲気にも影響しているように感じました。僕は最終日だけの参加でしたけど、この映画祭に参加できて本当に良かったなと、お世辞じゃなく思いましたね。
海外で舞台挨拶や質疑応答を行うことの意義
日本だと、「どうやって撮影したのか」など、割とテクニカルな質問が多いですが、今回は「高校生の映画をどうして撮ろうと思ったのか」とか「”桐島”っていうのは、一体何なのだ」という、もう少し映画のテーマの深い部分に関わる質問が多かったように思いますね。でも、それってテクニカルな質問よりも答えるのが難しいんですよ。それを考えながら映画を作っているわけですけど、決して一言で表せるものではなくて。でも、そういうことを訊かれて自分の言葉で答えることができたということに、日本から来て映画を上映した甲斐があったなと思いますね。映画を撮って伝えようとしたことが、こんなに日本から離れたところの人たちにもある程度届いたという手ごたえを感じることができたと思います。
映画とは「観客の中で完成するもの」
もちろんカナダだけでなく日本でもですが、自分が映画を作って意図通りに伝わらないっていうのはいつも経験するんですね。今回すごく思ったのは、ちょっと綺麗事みたいになっちゃうけどやっぱり映画っていうものは観客の中で完成するものなのだなということです。
ラジオ番組やU Streamでも「監督はきっとこう思っているのだよ」「いや、そんなことはない」と自分が作った以上のものが話し合われていたりして、僕は「ごめんなさい。議論が熱すぎて、僕は入れません」という感覚になることもあります(笑)これは、みんなが映画を通して自分のことを語り始めているのですよね。その映画が自分の意図を越えて彼らの中で大きくなるというのは、僕にとってというよりも、映画にとってすごく幸福なことだなと学びました。 今まではどちらかというと映画は「作ったらあとは観客に任せるもの」と考えていましたが、観客が感じたものを受け止めた上で言葉を選ぶことや、次の作品を作るというものがないといけないのかなと思うようになりましたね。「誰も観なくて良い」と映画を作っている人はいないわけですから。観客の顔をもっと具体的に想像しながら作りたいなと思いましたね。
来場者の皆さん





