トロント不動産情報 VOL.29
本文:照岡 敏介 -Toshi Teruoka オンタリオ州政府公認・リアルエステートライセンス保持者
“トロントは不動産バブル?”“不動産ブームは何時終わるの?”
バブルの発生と崩壊の流れを説明します。
土地や住宅、株式など、定価が定まっていない時価資産は、取引のたびに刻々と約定価格を変化させ、時価会計においては、時価資産の資産価値は直近の約定価格に時価資産総量をかけ合わせたものであり、市場における取引価格の変化が会計上、社会全体の時価資産総額を大きく変動させます。
ある資産に対する消費需要が増加し、供給が逼迫する局面においては、資産の買い手数が売り手数を上回り、資産価格が上昇する。資産価格が上昇する局面においては、資産転売による売買益(キャピタル・ゲイン)を求める投資家・金融機関による資産への投資が行われるため、さらに資産価格が上昇します。資産価格の上昇を見越した消費者による駆け込み需要が消費需要を一段と増加させ、時価資産増加による帳簿上の資産増加を要因として、消費に前向きになった消費者による消費需要の増加、投資家による投資需要の増加が発生し、連鎖的に資産価格が上昇するという、資産のインフレスパイラルが生まれる。この時期がバブルです。
一方、資産価格が消費者の購買力を著しく上回った時、もしくは市場における資産供給量が消費者の実需を著しく上回った時、資産の買い手数が売り手数を下回り、資産価格が下落を始める。投資家・金融機関は売買損失(キャピタル・ロス)を避けるためいっせいに資産を売却し、資産価格が暴落します。時価資産暴落による会計上の国民資産急減とさらなる資産価格下落を期待した消費者による買い控えにより、資産需要は急減し、資産デフレ状態に陥ります。これがバブル崩壊です。
バブルの崩壊は、不良債権問題の発生を伴います。これは、バブル経済期に時価資産の高騰で膨張した法人金融資産に対して査定が行われ、それを基に返済不可能な融資が行われるからです。バブル崩壊で資産価格が下落すると、残された負債の返済による貸借対照表の調整は投資の停滞をもたらします。こうしてバブル経済が実体経済へ好影響を与えていたのと同じく、バブル崩壊は実体経済に大きな打撃を与えることになります。米国発の世界恐慌や、1991年(平成3年)3月以降の日本の失われた20年はその典型です。
「急激な資産価格の上昇=バブル経済」と表現されることもありますが、実体経済に合わせてソフトランディングした資産価格上昇はバブルではありません。投機による下支えが不可能となり、バブル崩壊が起こって、初めてそれまでの経済がバブル経済であったということが分かる事になります。







