カナダ・トロントの公共交通機関「TTC」いろいろマメ知識。鉄道ファンの人もきっと好きなはず!
TTCいろいろマメ知識。
日本では鉄道ファン(鉄道オタク)呼ばれる人は多い。撮り鉄(鉄道関係の構造物を撮影する人)やスジ鉄(時刻表を愛読する人)、駅弁鉄(様々な駅弁を食べることに趣味を見出す人)などなど、そのジャンルは年々細分化されており、年齢層も幅広く女性のファンも増えている。
トロントで生活するには欠かせない人も多いTTC。日本からトロントに来たばかりの頃、ホームでは誰も並ばない、まるでお金のようなチケットのトークン、1駅でも何駅利用しても同一料金、何故か急にしばらく停車するバスやストリートカー・・・など、日本との違いに驚いた方も少なくないのではないだろうか。近年は地下鉄、ストリートカーと新車両が導入されるなど進化するTTC。本ページでは、鉄道ファンの方も、そうでない方も感じることができるTTCの魅力を徹底解剖!
地下鉄
利用者数が最も多い地下鉄。2011年から新車両がYonge-University-Spadina Lineで導入され、最近ではかなり見かけるようになった。新車両は従来の車両よりも8〜10%多く乗客を収容可能。古い車両では混雑を招く車両間の移動ができなかった問題点も解決し、間は段差も低く、また広々としていて車内を見渡せるので、女性や子どもへの安全性も少し高くなった。2014年3月、Yonge-Bloor駅の構内の表示が変更され、各ラインに番号が付けられ乗り継ぎなどでとてもわかりやすくなった。St.George駅もこの表示がまもなく導入される予定。
about TTC
トロント交通局(TTC / Toronto Transit Commission)は、1850年に始まったトロントの民営の交通サービスを市が全て取りまとめ、1921年に設立された。その間は主にストリートカーが運営されていた。1954年に地下鉄路線を開業し、名称も現在のものとなる。北米ではニューヨーク市都市交通局、メキシコシティ地下鉄に次ぐ第3位の規模で、地下鉄、ストリートカー、バスと合わせて1日の平均利用者数は276万人となっている。
ストリートカー
北米では珍しいとされる路面電車。レトロなデザインとかわいらしい赤の車体が鉄道ファンのみならず人気で、TTCの中でもその存在感は大きい。1861年から馬車による運行を開始し、電力での運行は1892年に始まった。ダウンタウン内の移動にはとても便利だが、路線や時間帯によってかなり待つことも多いので、スマートフォンをお持ちの方はアプリを利用して時間をうまく利用したい(アプリについては次ページに記述)。1960〜80年代頃に運行していたストリートカーは現在のものより更にレトロでかわいいデザインだった。また、現在の車両の約250台の寿命が近いことから、約200台が新車両へと置き換えられ始めており、もうすでに見かけたり乗車したラッキーな人もいるかもしれない。新車両はとても近代的なデザインで、現在の2両編成より多い車両数で運行できる。まずはSpadina Lineへ導入され、Dundas Line、Bathurst Lineへと続く。全ての路線に新車両が行き渡るのは2018年を予定としている。従来の車両と比べ定員数の増加やスムーズな走行、また車いすやベビーカーの乗客でも楽な乗り降りの実現、エアコンの完備など、とても快適な乗車が期待される設備となっている。
バス
各地下鉄駅からトロント市内を網羅、更にはGTAへも運行しているバスだが、1960年以前はストリートカーより比較的小規模の運行が計画されていた。現在の運用台数は2,031台で、北米ではニューヨーク市の6,263台、ロサンゼルスの2,911台に続き3番目に大きい規模である。また、Weele-Trainsと呼ばれる身体障害者向けの特別車両の運行も行っており、車いすでも簡単に乗り降りができる。2013年秋から連結型の新車両も導入を開始。定員数は112人とされており、従来の倍65人の約2倍を収容する。
ゴーストステーションの存在。
TTCには現在使用していない、“ゴーストステーション”と呼ばれる駅がある。
Lower Bay、Lower Queenと称され、各駅の更に地下に現在は使用されてない駅が存在する。
Lower Bay
Lower Bayは1966年の2月から9月までの間だけ使用された。現在のYonge-University-Spadna LineもMuseum駅からBay駅、そしてYonge駅を通り北へ向かう計画がなされたが、遅延がすぐに発生したり、Bloor-Danforth Lineとの乗客の乗り継ぎがスムーズにいかない設計であったりしたため、多くの混乱を招き閉鎖へと至り現在のBloor-Danfoth Lineだけの運行となった。Lower Bayは現在、一般への公開は行っていないが、毎年5月に開催されるDoors Openなどで一般公開されることがある。また、映画の撮影でも利用され、Lower Bayで撮影された映画としては「Don’t say world」が有名。
Lower Queen
Queen Stをの地下をストリートカーが運行する計画がなされたが、その計画は途中で中断してしまった。Yonge-Queenの地下には、建設途中の駅が当時のまま残っている。また、University-Queen(現在のOsgoode駅)の地下にも駅準備工事の跡地がある。今後20年の間に、利用者数増加へ伴い駅の拡張工事にこの2駅を利用される案がトロント市、そしてオンタリオ州から上がっているそう。
新しい路線が開通?!
TTCによると、Yonge-University-Spadina Lineが延長し、2016年秋の開通へ向けた計画が進められている。現在の終点のWilson駅から更に北西へVaughan Metropolitan Centreまで延びる予定だ。その他にもEglinton Crosstown Lineとして、Eglinton Aveを横断する路線も2020年に開通予定と言われたり、巷では様々な憶測が飛び交っている。
便利なアプリを活用して待ち時間をなくす!
iPhone、Androidともに様々なTTC向けの無料アプリがある。これらを活用すれば、時間が不規則なバスやストリートカーの時間をすぐに調べることができ、待ち時間を減らすことができる。以前に比べて正確性も増してきているのでまだ持っていない方は今すぐダウンロードしよう!
DWAとCrisis Link
各駅ホームに1ヵ所、照明が明るいエリアがある。ここは“Designated Waiting Areas”と呼ばれ、安全のために防犯カメラに必ず映る場所であり、ベンチ、公衆電話、そして係員呼び出しインターホンがある。そのもう一つの役割は自殺者の軽減。2011年、人身自殺など、駅で自殺を考えている人々のためにCrisis Linkと呼ばれるプログラムを導入した。自殺志願者に思いとどまってもらうため、DWAに設置された公衆電話からはワンタッチダイヤルボタンで24時間対応のカウンセラーへと無料で繋がる。Crisis Linkがあることを示す表示はDWA以外にも自殺が起きやすいとされる場所(141個の構内公衆電話)に設置されている。
駅構内で演奏するミュージシャンたち。
TTCの駅でよく見かけるミュージシャンたち。実は彼らはTTC主催のオーディションを勝ち抜いた人たちだということをご存知だろうか?そのオーディションは3年に一度、Canadian National Exibition(CNE)で開催される。応募条件は18歳以上のソロかデュオの、持ち運びのできる楽器(一部楽器を除く)を演奏するアーティスト。審査では7分の間に最低3曲以上のメドレーを演奏する。毎回150〜200組(人)の応募者の中から上位74組(人)が選ばれ、ライセンスが渡される。ライセンス取得者はライセンスフィーとして$197.75支払い、3日ごとに交代制で25駅の指定された場所で演奏することができるのだ。普段何 気なく聴いていたあのアーティストたちの演奏のレベルの高さに納得できる。
オタク心をくすぐるストリートカー車庫。
トロント市内にはいくつかストリートカーの車庫がある。何台も並ぶストリートカーは一見の価値アリ。