「歩こうカナダ、語ろうニッポン」日本からの派遣団員、トロントを初訪問
10月2日、日本政府事業「歩こうカナダ、語ろうニッポン(Walk in Canada, Talk on Japan)」の派遣団員がトロントを訪問。Japan Society Canadaとトロント大学マンク国際問題研究所にて、プレゼンテーター自身の経験や、知識に基づいたプレゼンテーション及び、それらに関するディスカッションが行われた。
2014年から「歩こうアメリカ、語ろうニッポン(Walk in U.S., Talk on Japan)」として始まったこの事業の目的は「日本の魅力や元気な今の日本の姿を民間交流によって北米に広める」こと。カナダ訪問は昨年のバンクーバーに続き2回目となる。今回の派遣団員には、内閣官房参与でもあり慶應大学大学院教授の谷口智彦氏、ニューヨークのCMIT Solutions of Southern Westchester代表である大倉和夫氏、利き酒師の上野山広司氏、共同通信勤務のジャーナリスト打上順子氏の異なるバックグラウンドを持つ4名が選ばれた。
冒頭で谷口氏は、この会が行われる趣旨、現在の世界における日本の立ち位置、日本と近隣諸国の国際関係の見通しについて話した。また自身が安部首相のスピーチライターとして従事していることにも触れ、それに関連して「近年、日本の外交政策で非常に重要なことはカナダを含む正当な政治を行う国との関係を最大限に築くことです。」と述べ、3人の団員の発表に引き継いだ。
続いて登壇した打上氏は、自身が日本のメディアで男性中心の環境の中、働いていた経験を基に、過去と現在における、女性を取り巻く労働と家庭環境について紹介した。そして現在の日本には、企業社会と家庭文化の変化が必要であると述べ、「今の若い日本の女性は非常に活動的でパワフルなので、もうすぐ日本社会に良い兆しが現れるだろうと信じています。」と結論づけた。
次に大倉氏が登壇し、日本とアメリカで働いた経験から学んだ、競争市場の日本でビジネスを成功させる秘訣について語った。日本で育ち、教育を受けた人々にとって、異なるアイデアや意見は生まれにくい傾向にあり、そうした点から、日本の企業と異なるアプローチをとって、日本で成功を収めている外国企業があることを述べた。「日本には、まだ見つかっていないビジネスチャンスがあります。他と異なるアプローチをとって、そのチャンスを上手く利用できます。違っても大丈夫なのです、それが強みになります。」と話してくれた。
そして、最後に登壇したのは、利き酒師の上野山氏。自身がゲストハウスで外国人観光客をもてなした経験から、日本酒の知識をより身につけるため利き酒師となった経緯を語った。日本酒が日本独自の文化でありながらも、近年日本でもあまり飲まれていないことに言及しつつ、「外国におけるは日本酒の認知度は徐々に上がってきています。日本にいる人はもちろん、世界中の人に日本酒を紹介していきたい。」と意気込みを述べた。また、上野山氏おすすめの日本酒や日本酒がどのよう出来ているかなども紹介しながら、日本酒ついての様々な知識を共有した。
その後、団員たちと参加者で発表についてのディスカッションが行われた。参加者から多数の質問がなげかけられ、非常に交流の多い時間となった。
このような、様々な角度から日本がどういう国なのかを伝える会を通して、日本をより深く知り、より身近に感じてもらい、日本とカナダの関係が今まで以上に強い結びつきになることを心から願う。