ハーフの日系アメリカ人アーティスト MariNaomiさんインタビュー

自らの体験を元にした自伝コミックスを中心に幅広く活躍しているハーフの日系アメリカ人アーティスト MariNaomiさんインタビュー

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自伝コミックスをはじめイラスト、映像といった多くのジャンルを手掛け、数多くの美術館にも作品が展示されているアーティストのMariNaomiさん。今回はToronto Comic Arts Festival(以下TCAF)に参加されたMariNaomiさんに、これまで多くの多様な作品をどのように制作されてきたのか語ってもらった。


今回TCAFで発表される自伝コミックTurning Japaneseは20年ほど前の体験が元になっていますが、なぜ改めてこの体験を作品にしようと思ったのですか?

私が20代前半の頃に日本の文化に馴染みたいと考え、ホステスバーで仕事をしたことがありました。当時仕事を始めた時は、日本の言語や文化と触れ合うことが楽しかったですし、少々嫌なことがあっても後で作品に活かせると思っていました。ですが、しばらく経つと仕事は退屈で接客業としての気配りも大変で嫌になり、他の人が読んでも面白い部分などない、と思うようになりました。ただ、時間が経ってから思い返してみるとハーフの日系アメリカ人として当時の私のモチベーションや私が仕事を通して得たもの、予想に反して得られなかったものなど、興味深い部分もあることに気がつきました。その時はあまり楽しくないと感じた経験だったのですが、時間をおくことで体験を客観的にみることができ、面白いなと感じることができたのだと思います。

ハーフであることが作品作りに影響していると思いますか。

私は全てのことが作品に影響していると思います。バイセクシャルであったり、日本人の母親に育てられたりといった身の周りのことすべてが私の作品に影響しています。どれが一番影響を与えていると決めることはできませんし、性的指向や文化、国籍などで中間に立っているということが私の特徴的な個性の一つでもあります。

どのように描くことや他の専門的なことを学ばれましたか?

私は15歳の時に高校を中退しています。私は良い生徒でしたが、ただ学校で学びたいとは思えませんでした。学校をやめた後は、自分で多くの本を読んだりして勉強していました。そして、映画と心理学の授業をカレッジで受けましたが、やはり大人数が同じ方法、同じペースで勉強するという環境が合わず、しっかり学べている気がしなかったのでカレッジも辞めてしまいました。ただ人がどのように交流するかなど、心理学的な一面にはとても興味があり作品に影響を与えていると思います。

MariNaomiさんの作品は絵柄が昔と比べ変わっていますが、変わったのはいつ頃でどんなことが影響していたのですか。

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昔と今を比べると全く別に見えますが、基礎的な部分は一緒だと思っています。大きな変化があったのはDragon’s Breath and Other True Storiesを作成していた時に締切に追われ、時間を節約する必要がありました。なので必要最低限なことだけを描くようになり、シンプルな作風の方が伝えたいことがわかりやすくなったと思います。

楽しんで作品を作っておられるそうですが、“ご自身が伝えたいこと”とプロとして”売らなければいけないという事実”のバランスはどのように取られていますか。

作品を作り始めた時はただ楽しむためだけで、まさか自分の作品を売っていくことになるとは思っていませんでした。初めて本が出版されることになった時、嬉しい気持ちもありましたが、そのことを意識した時は「ああ、この作品を成功させなくてはいけない」と思い詰めていました。それから、どのように自分の宣伝していくか悩み、色々な手段を試しました。一時期は創作活動よりも宣伝活動に追われていることもありましたが、今は、午前中を宣伝活動に使い、午後や夕方は作品の制作をしています。

スランプに陥ったり、行き詰ったときはどのようにリフレッシュされていますか。

近年では、常に複数のプロジェクトを同時に進行させるようにしています。その中でいろいろな作業があるので、私はその作業をローテーションしてやるようにしています。例えば、ストーリーを考えていてアイディアに詰まったら、下書きされた原稿にペン入れをしたり、色を塗ったりと別の作業に移ります。私はいろんな作品を作りますが、それら全部が好きですし、違う作業を行うことでリフレッシュになるのであまり別の方法で息抜きということになはりません。ただ、私はサンフランシスコ出身なのですが、今はロサンゼルスに住んでいるので行ったり来たりする6時間ぐらいの長いドライブもとても良い刺激になることもあります。
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MariNaomiさんの経験から、将来のために良い経験を積む心構えを教えてください。

私自身、20代になるまでコミックスを読んだことはありませんでしたし、作り始めたのは20代半ば、そして自分が作家だという自覚を持ったのは30代になってからです。私は別の人の意見やイメージにとらわれず、なんでも広く受け入れる姿勢が大切だと思います。
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MariNaomi
marinaomi.com
作家・イラストレターとして北アメリカを中心に活動している日系アメリカ人ハーフのアーティスト。多くの作品を手掛け、いくつかの作品はDe Young MuseumやSan Francisco’s Asian American Museum といったミュージアムでも展示され、またHoughton Mifflin’s Best American Comics 2013で佳作、SPACE Prizeといった賞も受賞している。



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翻訳: 中川友貴
奈良県出身。日本では大学で医療系の学科を専攻。海外での暮らしや仕事に惹かれてカナダ(ハリファックス)へ渡航。その後、トロントへ移動しCanPacificCollegeを卒業、インターンシップに参加。帰国後、日本で多国籍企業へ勤めることが将来の夢。