令和8年 新年の言葉「国際交流基金トロント日本文化センター所長 山本 訓子」

謹んで新年のお慶びを申し上げます。旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。
2025年は、日加関係が一層緊密化した躍動の年であると同時に、文化面においても大きな広がりと深まりを実感する一年となりました。日本では大阪・関西万博が成功を収め、カナダ館の力強いプレゼンスを軸に、未来志向の文化交流が展開されました。また、昨年50周年を迎えたトロント国際映画祭では、「国宝」をはじめとする日本映画が、近年に例を見ない9作品出品され、高い評価を得ました。トロント国際作家祭には、世界的に人気を誇る作家・伊坂幸太郎氏が招かれ、多くの読者を魅了しました。さらに、カナダ国内で実施された日本語能力試験では、今年も過去最多の受験者数を記録し、日本への関心の高まりと、日本文化が持つソフトパワーの力を改めて実感しました。
また、戦後80周年という節目の年を迎え、トロントでも平和を祈る多くの集いが開催されました。当センターでは「ヒロシマ・アピールズ・グローバル・メッセージ」ポスター展として、1983年に故・亀倉雄策氏により始まり、現在まで受け継がれてきた平和ポスターキャンペーン全29作品を一堂に展示しました。各時代を代表するグラフィック・デザイナーが制作したポスターに、多くの来場者が立ち止まり、そこに込められたメッセージと時代背景に思いを巡らせていました。多様なルーツを持つ人々が暮らす移民国家カナダにおいて、日本のアートを通じて、不安定化する国際社会の課題に貢献することの意義を改めて感じる機会となりました。
国際交流基金は1972年の設立以来、「文化」「言語」「対話」を柱に、日本と諸外国との国際文化交流を推進して参りました。昨今、とりわけコロナ禍以降、文化交流を取り巻く環境が大きく変化する中、時代と社会の要請に応えるべく、一層効果的な組織として全世界で前進を続けて参ります。一方で、変化の中にあっても、日加両国の信頼と友好の関係は揺るぎないものがあります。2028年に迎える日加修好100周年という大きな節目も見据え、日本とカナダの文化交流のさらなる発展と信頼醸成に寄与できるよう、引き続き尽力して参ります。
2026年が皆様にとって平和と繁栄に満ちた一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
国際交流基金トロント日本文化センター
所長 山本 訓子















