カナダ・トロントに愛知県議会議員団が視察訪問
オンタリオ州政府関係者、市長、愛知県を代表する日系企業などの関係者と交流
10月31日、愛知県よりトロントを訪問している県議会議員のチームを交えたレセプションが総領事公邸にて開催。オンタリオ州政府からも代表者が参加した。
愛知県とオンタリオ州を繋ぐ「イノベーション」
最初に登壇したのは伊藤恭子総領事。県議会の議員に挨拶を述べた後、オンタリオ州にとっていかに愛知県が重要であるかについて言及した。中でも総領事が注目したのは愛知県の製造業を代表する企業の数々。現在、トヨタ、デンソー、NGK、三菱重工業など、愛知県に本社を置く多くの企業がオンタリオに拠点を置いている。これらの企業は「州の経済を潤し、雇用を生み出しているだけではなく、日加両国の友好関係にも大きな役割を果たしている」とその影響の範囲の広さを強調した。
また、愛知県とオンタリオの共通点として「イノベーション」を例にあげた。カナダではトロントやウォータールーを中心に人工知能(AI)をはじめとした最先端の技術が進歩を遂げている。一方、愛知県は多くの「イノベーション」や「イノベーター」と関わりがあると指摘。リチウムイオン電池の発明で今年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏は現在、名古屋市にある名城大学において教授を務めている。さらに、2014年にノーベル物理学賞を受賞した天野浩氏も名古屋大学の出身であるなど、愛知県からは「人々の生活を政治や経済を通じて豊かにする役割を担ってきた人が多く輩出された」と説明。県の革新に対する前向きな姿勢はオンタリオととても似ているものがある、と強調した。
そして、この県議会議員の訪問が日本とカナダの間での意見交換や文化交流をさらに促す機会になってくれれば、と期待を寄せていた。
愛知県の将来的な発展のために
長江正成議員団団長は、まず伊藤総領事をはじめ今回の訪問に携わった人々に謝辞を述べた。そして、今回の訪問の重要性について言及。愛知県が成長を遂げる中、主に「公安行政」「スタートアップ支援」「障害者スポーツ」の三分野は県にとっても優先すべき課題であると指摘した。そして今回、この三つの分野それぞれがいかにアメリカとカナダに普及しているか、について調査を進めるべく訪問したという。長江団長は「この成果を必ず愛知県に生かしていきたい」と強い意志を示したと共に、愛知県の将来への決意を新たに表明した。
経済的・文化的交流の両方における日本の役割
次に登壇したのはオンタリオ州の政府間問題担当政務官であるノーム・ミラー氏。州のダグ・フォード首相より預かったメッセージと共に挨拶を述べた。フォード首相は今回の県議会議員の訪問が「オンタリオと日本の間の関係を祝福し、さらに強めるための素晴らしい機会」と期待を寄せていた。
首相はその中でも経済的関係の重要性を強調。「日系企業がビジネスを展開するため、世界の中でもトップクラスの機会や環境を作り続けることがオンタリオにとっても重要であり、これを実現すべく日々注力している」とその決意をあらわにした。
さらに、フォード首相は日系コミュニティがオンタリオにとっても重要な存在であると指摘。42000人を超えるコミュニティは州の「文化的モザイク」の欠かせない一部となっていると、経済的観点だけでなく文化的観点からの重要性も強調した。また、日本はオンタリオにとって貿易・投資・革新すべてにおける重要なパートナーであり、これから先、オンタリオにおいて多様な経済を築くためにも日本は掛け替えのない存在であると述べた。
「ミシサガ市と日本は切っても切り離せない関係」
最後に登壇したのはミシサガ市のEconomic Development Office(EDO)より代表として参加したボニー・ブラウン氏。ミシサガのクロンビー市長より預かったメッセージを朗読した。日本との文化的・経済的なつながりに誇りを持っているとした上で、クロンビー市長は「市として日本とカナダの両国にとってより良い関係となるように様々な取り組みを行なってきた」と説明。中でも、38年にも続くミシサガと愛知県刈谷市の関係をさらに育むことを特に重要視してきた、と両市の姉妹都市関係の重要性を語った。
さらに、クロンビー市長はメッセージを通して経済的関係におけるミシサガの役割についても言及。「ミシサガと日本の経済は切っても切り離せない関係にある」とそのつながりの強さを指摘した。ミシサガはカナダの中でも日系企業の集中度が最も高い都市であり、100以上の日系企業が市をカナダの拠点にしているそうだ。市に入ってくる海外投資においても、日本はアメリカに次ぎ二位という地位を確立している。また、名古屋はミシサガのように周辺地域の発展において大きな役割を担っているため、名古屋市とミシサガはこれからの経済発展、さらには両国の経済的関係において鍵となる役割を担っているのではないか、と大きな期待を寄せていた。