賑わう深夜のKensington Market、その一角で音楽を|トロント音楽散歩 with Cecili
まるで忙しい油絵の具のパレットのように、文化がカラフルに入り混じったトロントダウンタウンのKensington Market。きらきらした活気に溢れた、異国の迷路のようなこの場所に来ると、いつも心がわくわくとして宝石箱を覗いているかのような気持ちになる。
昼間はカフェやショップがこの場所を賑やか鮮やかに彩っているが、深夜になるとこの街の一角はまた違った顔をみせる。夜も大分更けた平日、Kensington Marketの端っこにある音楽バー、「The Supermarket」では、眠りゆく街の中でいつまでも地元のミュージシャンたちが和気あいあいと活気をみせていた。アットホームな雰囲気の、何ともいえない魅力を放つこの音楽バーでは、誰もが飛び入り参加でなんでも楽器を演奏していいOpen Jam Sessionが毎週行われている。地元のミュージシャンたちにずっと愛され続けているジャムセッションだ。
21時ころからぽつぽつと人が集まり始め、ギター、ベース、ドラム、キーボード、サックス、パーカッション、バイオリンからアコーディオンからタンバリンまでもう何でもありで、その場所で作りだされた音に合わせて誰もが楽しく体を揺らしている。ステージのマイクをとって即興で歌うのもまた楽しい。メモしてきた言葉を見ながら歌う人、好きな曲の歌詞にメロディーをつけて歌う人、その場で即興で歌う人。突然ラップを始める人。
私自身ももれなくこのOpen Jamが大好きで、だいぶ寒くなってきたこの夜も、他のミュージシャンたちとここを訪れていた。友達の突然の謎の思いつきで、日本語で何か歌えとステージに引きずりだされたのだが、結局意味不明な言葉をその場ででっちあげて歌ったのだった。誰もそのへんてこな日本語の歌詞には気が付かなかったとどうか信じたい。
Kensington Marketには、素敵なレストランやカフェ、ショップだけでなく、たくさんの素敵な音楽バーがある。もし機会があれば、ぜひ足を運んでみてほしい。へなちょこな日本語で歌ってる私に出くわすかもしれない。