ゴルフ体験記 第2回 カナダでゴルフに出会うまで
第2回 カナダでゴルフに出会うまで
大阪市内に引っ越しをして間もなく近所に「紙芝居」がやって来ました。それを近所の子供に混じって観ているとおじさんに「お金は?」と聞かれ、黙っていると「5円だよ」と言います。「分からない」と言うと、お金が無いなら見ちゃダメだと言われ、追い出されてしまいました。家に帰ってそのことを母に打ち明けると、「さぁ、これを持ってお行き」と5円硬貨をくれました。あれッ、山で投げたのと同じヤツだ、と思いながら、生まれて初めて自分で「お金」を使ったのが、「紙芝居」でした。
そんな世間音痴でしたが、無事、小学校、中学、高校と人並みに進学することができました。高校時代は、模範生らしく生徒会副会長を仰せつかったり、暴走族よろしくオートバイを乗り回して先生方を始め、母親に心配をかけたチョッと不良少年でした。
工業高校電気科卒業後、大手電機メーカに希望を抱いて就職。就職するや否や封建的(?)学歴主義(?)を実感してイヤになり、日本を飛び出す決心をしたのが18歳でした。日中は我慢をして勤めながら、夜は英会話学校2ヶ所に通い、タイプを習い、ダンスを習い、3年間必死でアルバイトもして旅費を貯めました。1965年に戦後初めて、カナダ政府が日本からの移住を受け入れることになったことを知り、早速手続きをして、カナダ入国を果たしたのが1967年、21歳の春でした。丁度50年前のことです。
トロントに移住して間もなく、日系2世の方がゴルフに連れて行ってくれました。生まれて初めてのゴルフ。その方からティアップの仕方、クラブの持ち方や振り方等、一から教わりながら、ボールを追いかけて走り回ったことを覚えています。
高校時代卓球部に所属してそこそこの成績を残した経験があるので、止まっているボールを打つなんて何でもない…と思っていたら、それがさにあらず、クラブのシャフトが長いのと、打つクラブのヘッドが小さいので、思うように当たってくれません。2、3ホールはとんでもない所に飛んで行ってボールが無くなったり、池に入ったりで散々な目に合いました。それでも、その日系2世の方は、文句も言わずに、次々と新しいボールを出してくれて、ここはこのようにする方がいいよ、と丁寧に教えてくれました。その兄貴のように優しい方が我ゴルフの最初の先生でした。
結局その時はそれほどゴルフに興味も沸かず、それっきりになりました。(あの時そのまま続けていれば、今頃は・・・。いや、今更言っても始まりませんが・・・)
次にゴルフに出会えたのが、その10年後のことです。
カナダ・ゴルフ・ティーチングプロ 藤井 勇
ゴルフ暦:38年 オンタリオ公式ハンディキャップ:7
2006年9月25日にオンタリオ州クロスウインズ・ゴルフクラブで行われた2006年度カナディアン・ゴルフティチャーズカップに初挑戦し、スー パーシニア部で初優勝。2007年10月にラスベガスで開催されたゴルフティチャーズ・ワールドカップにカナダ代表として初出場、スーパーシニア部門で4 位入賞。2009年度カナディアン・ゴルフティチャーズカップに再挑戦し、スーパーシニア部門で2度目の優勝を飾った。