「カナダはモデルカントリー」|トロントのカリスマ美容師 Hiroさん×ウーマンラッシュアワー村本大輔さん 対談【前編】
今年二度目となるトロントで独演会を開催したウーマン村本さん。トロントの街を散策中に道に捨てられたコンドームをみて「カナダ人、モラルはあるけどマナーがない」とSNSでシュールな発言をしたことで話題を呼んだ。
今回はトロント国際映画祭と同時期ということもあり、賑わいをみせる会場にあるパティオで対談をスタート。3回に分けてお届けする独占インタビューの第1回目は、カナダについて感じることを独特の視点で語ってもらう。
カナダはモデルカントリー。リベラルな国としてのお手本のような存在に感じる。
ヒロ: 6月の独演会の時に舞台で今回9月のに公演について言及していました。短期間での再訪問のきっかけを教えてください。
村本: うーん…なぜですかね? 不思議なんですよね……トロントのオーガナイザーのサホさんに、またやりましょうと言われたのもあります。好きな国はヨーロッパだし、コメディーといえばアメリカだし、トロントはドキドキがあまりないというか、ときめかないんですよ。
快適さやご飯かな……。水分を含んだ風や空気、この街の匂いにもう一度会いに来たのはあるかもしれないですね。英語圏でカナダくらい小便の臭いが少ない国はないと思います(笑)。マナーがある、品のある感じがしますね。
あとはニュースを見ていると、〝黒人が〟とか、〝女性の容疑者が〟とかの記号が少ない気がします。日本であれば「記号」で判断して、だからこの人は犯罪を犯したのかと判断、安心する風潮があります。その違いこそが、トロントでは多くの人種と宗教が存在して入り混じっている証拠なのではないかと思います。
ヘイトクライムでも例えばアメリカのテキサス州では移民に対してバチバチしてますよね。ここカナダでは、そういう移民の問題など、暗黙の了解みたいに言わないようにしているように感じますね。いい意味でも悪い意味でも〝モデルカントリー〟というか、リベラルな国としてのお手本のような存在に感じます。
トロントは街中どこを歩いても同じところに感じるし、USJの中を歩いているみたいで魅力的ですね。平和を愛するA面と武器を輸出しているB面を併せ持っているように感じます。最近はジャスティン・トルドー首相の支持率が下がっているみたいですが、カナダが崩れると世界が崩れていってしまう気がします。
ヒロ: カナダはG7参加国ですが、歴史は浅い。アメリカと比べるなら、隣に住む立派な弟的存在。まだ若く純粋で、変な緊張感や圧を相手に与えない感じですかね。
村本: 人間は天使と悪魔の両面を持つ生き物と思っています。赤ちゃんが電車の中で泣くとイラっとするのが人間の常ですが、誰しもにこんな時代があったと受け入れるのが天使、文句を言いだすのが悪魔です。僕は〝偽善者〟という言葉が好きなんですが、動物と違って思いやりがあるのが人間であり、カナダではこの場合でいう「我慢しろ」みたいな天使の面をした偽善を感じて、いいと思いますね。
ヒロ: SNSを見ると独演会後に各地の方々と交流している様子が見られますが、トロントにいる日本人についてはどう感じていますか?
村本: 昨日の公演後だけでも心臓外科、美容師、ネイリストの方などたくさんの方にお会いしましたね。ジョークでもあるんですが、トロントにいる日本人は当たり前にあるものを当たり前に思いすぎてないかということです。親の存在のように、今あるものに慣れてしまって感動がなくなっていると思います。
何のことを言っているかというと、リスです。
いつしかカワイイと言わなくなっていませんか!?。何年も住んでいると「バイ菌が…」とか言いだしているでしょう。最初は珍しい・可愛いと感じていたはずなのに、今や驚きの感情や感動を忘れているでしょう、僕はそうはなりたくないと思いました(笑)。
ヒロ: ユニークな表現ですが、分かります(笑)。
村本: カナダの人たちはファイティングポーズを常にとっていない気がします。
カナダ人は、本当にリベラルだと感じますね。アメリカやヨーロッパに行くと、騙される・騙し返すなどの話をよく聞きます。東京の猫は勝手にエサを取らないですが、トロントの猫は遠慮なく取っていく感じですね。トロントの居酒屋で働いている日本人の方の話ですが、彼はニューヨーク在住時には、なんとなく差別を感じたけど、トロントでは居心地が良すぎて居ついてしまったと言ってました。「自分たちが殴られなかったから、次来た人を殴らないでおこう」というのを感じます。アメリカを見ていて「それはやめよう」と、いい意味で反面教師にしている気がしますね。
ヒロ: カナダでも特にトロントでは、様々な人種や宗教が共存共栄しています。下手な海外旅行よりも、ここにいるだけで世界中の人々と出会えますからね。だからこそ、この街の常識は日々、改良され続け、まだ成長し続けるんです。
(中編に続く)
(聞き手・文章構成TORJA編集部)
村本大輔(むらもと だいすけ)さん
1980年11月25日生まれ。吉本興業所属のお笑い芸人。
受賞歴
2009年 笑わん会第10回 優秀賞
2009年 第7回MBS新世代漫才アワード 第2位
2010年 第31回ABCお笑い新人グランプリ 審査員特別賞
2011年 第32回ABCお笑い新人グランプリ 最優秀新人賞
2011年 第43回NHK上方漫才コンテスト 優勝
2013年 THE MANZAI 2013 優勝
Hiroさん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。NYの有名サロンやVidal Sassoonの就職チャンスを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。ワーホリ時代から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再びトロントのTONI&GUYへ復帰し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今もサロン勤務を中心に、著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。世界的ファッション誌“ELLE(カナダ版)”にも取材された。
salon bespoke
salon bespoke 130 Cumberland St 2F
647-346-8468 / salonbespoke.ca
Instagram: HAYASHI.HIRO
https://www.youtube.com/channel/UCOYcQSWMGI7qz156n2dFMXw
トロントで独演会を開催!“むかつくということは、痛いところを突かれているということ” ウーマンラッシュアワー村本大輔さん
前回トロントで行う独演会の合間に村本さんにストレートに色々伺いました。