カナダの美容師 杉田 裕紀さんが海外でこだわるジャパン・クオリティ | トロントで夢をカタチに…
東京・青山のヘアサロンにて勤務したのち、カナダでも腕を磨き続ける美容師のHirokiさん。バンクーバーからカナダでのキャリアをスタートし、数年前にトロントに。数年間店長として着実にスキルとキャリアを磨き、一年前の2016年に念願のサロンをオープン。今回は、オープンしたサロンが一周年を迎えるにあたり、これまでの歩みや美容師としてのこだわり、サロンについてなどお話を伺いました。
◆ カナダに来たきっかけを教えてください。
元々はワーキングホリデーで2008年にバンクーバーへ来たのが最初です。日本でも6~7年ほど美容師をやっていて、技術職なので海外でも通用するのではないかと思いましたし、身に着けた技術を日本の外で活かしたいという気持ちが強かったからです。
それから、以前カンボジアに旅行をした際にヨーロピアンなカフェに立ち寄ったことがあるのですが、現地の雰囲気にまったくマッチしていない店の雰囲気に良い意味で衝撃を受けました。海外で自分らしいものを提供している姿がかっこいいな、と。
そういった経験からも海外に興味を持ち始めて、ワーキングホリデーで行ける国を調べて、カナダを選びました。
◆ カナダで美容師として働き始めてから、自分のお店をオープンに至るまでの道のりを教えてください。
バンクーバーで通っていた語学学校のすぐ近くにあった美容室で働き始め、二年半ほど経ったところでトロント店を立ち上げる話が出て、店長を任されることになり、トロントにやってきました。そろそろ環境を変えたいと思っていた頃だったので、ベストなタイミングに恵まれたと思いました。
トロント店は店長兼美容師として、スタッフのトレーニングや集客、数字管理など経営に関することをすべて経験することができました。自分で正しいことをやっていれば結果がついてくると信じて、一つひとつのことに誠実に取り組みました。
トロント店が軌道に乗ってきた頃にもまだまだ向上心があって、何らかの形で上を目指したいという気持ちがありました。その当時、会社のオーナーからモントリオールで支店を出すという話があり、また立ち上げに関わろうというつもりでいたのですが、残念ながらその話が実現することはありませんでした。それでも、次のチャレンジを目指したいという気持ちが消えずにあったので、それならば人のタイミングを待つのではなく、自分でお店を立ち上げようと少しずつ考えるようになりました。
そこから色々と情報を集めたり、ネットワークを広げていく中で、元々常連だったお客さんが色々と相談に乗ってくれるようになり、結界としてビジネスパートナーにもなってくれたことも心強かったですね。そうこうしながら、2016年10月のグランドオープンから一年を迎えるまでに至りました。
◆ Hirokiさんにとって初めての自分のお店ということですが、お店作りにおいてこだわったところなどを教えてください。
まずお店の名前は、何かを連想させるような店名にはしたくないなと考えていました。かわいい感じやかっこいい感じなど、何か印象を与えるものよりは、数字を並べただけのようなシンプルな名前がいいなと思っていました。サロン名の『N15』は、2015年のNovemberからきているのですが、これは私とビジネスパートナーのJessieがパートナーを組むと決めた時に由来したものです。
内装については、ビジネスパートナーやデザイナーの意見を取り入れながら、空間づくりを考えました。自分の顧客、それから想定した顧客層にも女性客が多いだろうということで、暖かい雰囲気になるよう意識しました。以前から自分を支持してくれるお客さまの中には遠くから来てくれる方もいるので、少しでもアクセスしやすいように、TTCの駅近くのロケーションにこだわりました。
また、使用しているプロダクトは日本のものがほとんどで、それを目当てに来られる方もいます。サロン用のプロダクトはもちろんカナダでも手に入りますが、どこでも手に入るものを使っていては、良い技術があってもベストなサービスにはならないと思うので、プロダクト選びも徹底していこうと考えています。
◆ 長年美容師を続けてこられていますが、トロントという地で起業し、美容師として考え方や意識などに変化はありましたか?
以前は求められるスタイルをそのまま実現しようとしていたのですが、今は、この人にはこういうスタイルも似合うのでは…という提案ができるようになりました。お客さまの中にも、そういった提案を求めて来てくれる方は増えてきたと思います。美容師として一番変化があったのはそこですね。それだけ美容師としての自信がついたということだと思います。
本来、お客さまが自宅でも再現できる髪形を心掛けているのですが、その際に彼らのライフスタイルも加味するようにしています。朝はドライヤーを使うのか、ヘアアイロンを使うのか、等々を聞いてから、「ではこういうスタイリングはどうですか」と。そういうことをしているうちに、お客さまのライフスタイルもヒヤリングしながら、髪形を提案できるようになっていましたね。
◆ これまでの自分を振り返っていかがですか?
カナダに来てよかったと思っています。以前は、日本に生まれたからには当然日本で働くものだと思っていましたし、海外に出ようなんて全く思っていませんでしたから。なので、海外に目を向けられたことは、自分の人生を大きく変えましたね。お店を経営しながら、そういう人が増えたらいいなと思いながら、このお店を続けていきたいです。ワーキングホリデーの人も採用していますが、ただ働いてもらうだけでなく、その人のやりたいことをサポートしたり、こんな風に海外でチャレンジできるのだとみてもらえるような存在でありたいですね。
◆ 2016年10月のグランドオープンから一年が過ぎました。一周年を迎えて現在の心境と今後の展望について教えてください。
今まであっという間でした。この一年でスタッフも13人増えて、環境が整ってきたと感じています。正直、オープンから半年くらいは毎日長時間働きっぱなしで、そのときは本当にきつかったです(笑)。ですが、他のスタッフも頑張ってくれていましたし、何より自分のお店であるということ、自分がやらなければいけないという強い気持ちが支えでした。
今後はもちろんお店をさらに大きく展開していきたい想いがあります。また、これからカナダにやって来る若い人たちが、こういうところで働きたいと思ってくれるような場所にしたいとも思っています。そこで、自分の可能性に気づいたり、新しい目標を見つけたりできるような、自信をもって楽しく働ける環境にしていけたら理想的です。
◆ 夢を追いかけている若者に一言お願いします。
夢や目標をもっていれば、日本だけではなく、海外でやれることもたくさんあるということを知ってほしいです。視野を広げたうえで、日本に帰りたければ帰ってもいいですし、他の国に渡ってもいいと思います。とにかくさまざまな選択肢があって、自分の好きな場所で好きなことをやれるチャンスがあるということに気づいてもらいたいです。
◆ 美容師さんやサロン探しをしている読者の皆さんのメッセージをお願いします!
オープンから一年かけて、日本を感じられるようなサービスを受けてもらえる準備が整いました。是非ともお店に気軽に来ていただければと思っています。ネイル、まつげエクステも併設しており、今後さらに多くの方にサービスを提供できるようにして、ヘアメイク等の美容全般をトータルで行えるサロンにしていきたいと考えております。
N15 HAIR SALON
831 Bay St.
Monday – Sunday
9AM – 9PM
HP: www.n15salon.com
Tel: 416-615-0088