IBサバイバーのトロント大学卒業生に聞く。International Baccalaureate(国際バカロレア)とは?|TORJAエデュケーション

ここ10数年間の間で注目度が高くなった「IB(International Baccalaureate、国際バカロレア)」。日本でもカリキュラムに取り入れてる学校も増えてきてるけど、普通の高校教育と何が違うの?大変なの?取っておいたほうがいいの?そんな疑問も多いのではないだろうか。
「IB」といっても実はプログラムがいくつかある。その中でも高校最後の二年間で取れるのが「IB Diploma Programme(略してDP)」。授業の他にもいくつかの必須項目がある。DPを取らずにIBの授業と試験だけを受けることも可能だ。自分の好きな授業だけを取ることもできるが、「IB Diploma」という称号はもらえない。考え方としては「DP」がフルコースの食事といったところだろうか。
DPについて

DPを取る人は6つのグループから授業を一つずつ選ぶ。合計6つの授業を選択する。
Group 1: Language A (第一ヶ国語)英語、日本語など。
Group 2: Language A/B(第二ヶ国語)Language AはGroup 1の第一ヶ国語と同じカリキュラム。Language Aを2つ取るとBilingual(バイリンガル)Diplomaという称号も得られる。Language Bは第二ヶ国語としてのカリキュラムだ。
Group 3: Social Sciences(社会学系)経済学、心理学、歴史など。
Group 4: Natural Sciences(科学系)生物、化学、物理など。
Group 5: Mathematics(数学)数学は必須。
Group 6: Arts(芸術系)アーツ、という名前がついているが、ここは割と自由。各学校で取り扱っている授業にも左右される、芸術系の分野(音楽や美術など)を選ぶことも、他の5つのグループから授業をもう1つ選ぶことも可能。
Group 6で何を取るかは自分が大学でどういう勉強をしたいか、または何が好きか、で決める人がほとんどだ。
例えば大学で理工学系を受験する場合、受験要項に「化学・物理必須」などと書かれていることがある。その場合は、Group 4(科学系)をもう一つ取らなければならない。逆に社会学系が好きな人は心理学に加え経済学を選んだりもする。ちなみに著者の私は音楽を取っていた。
授業の中にも「Higher Level(通称HL、授業時間多)」と「Standard Level(通称SL、授業時間少)」があり、HLは3つか4つ取らなければならない。
どの授業を「HL」にするかも大学の受験要項や好みによって選ぶ。時には学校が扱っているかにも左右される。
EE (Extended Essay)

「EE 」とは 論文のことだ。英語だと4000語、日本語だと8000字。資料集めから提出までおよそ一年、もしくはそれ以上の時間を費やして書き上げる。
アドバイスとしては、始める前に論文のテーマが「好き」と自信を持って言えるかどうか。最初は好きだと思っても一年間も資料を集めたり、書いたり、推敲したりしているとだんだんと愛情が薄れてくるものだ。それが「もう大嫌い!」にならないためにも、最初は自分が本当に気に入った議題を選ぶことをおすすめしたい。
CAS (Creativity, Action, Service)

「CAS」とは、ここではIBをやっていた2年間の課外活動が評価される。Creativity(芸術系)、Action(運動系)、Service(奉仕活動)の全てを2年間、なるべく途切れることなくやっていなければならない。ちなみに自主的にやるだけでは不十分で、監督やらコーチやらにきちんと評価してもらわなければいけない。
TOK (Theory of Knowledge)

「TOK」は、哲学とまではいかないが、Knowledge(知識)のTheory(理論)というように、知識や学びについて勉強するといったところだ。最終的にはプレゼンとエッセイを一つずつ、「IB」に提出する。
ここでエッセイの例題を一つ
訳:「応用することが出来ない知識は価値が低い知識である」この文章を二つの分野(言語、数学、科学など)の例を用いて考察せよ。
う〜ん、なんだか言ってることは理解出来るような気もするけど、いざ論文にしろと言われると、相当考えないといけないだろう。
こういう議題は時間をかけてきちんと考えたい、しかし、締め切りがあっておまけに成績が付く論文にはしたくない、というのが私の本音だ。
最終得点が45点満点中24点以上であること

45点というのは、42点+3点の45点満点から成る。
Groups 1-6: 6科目 x 7点満点 = 42点満点。
EE | TOK: この二つは、各項目の成績の組み合わせによって点数が決まるシステムになっている。
例えばAとAだったら3点満点。AとCだったら2点などなど。「IB Core Matrix」と調べれば、各組み合わせの得点を見ることができる。
CAS: 得点はつかないが、やらないと「IB Diploma」はもらえない。
このように全てを成し遂げて初めて「IB Diploma」修了と言える。「IB」を乗り越えた人たちはお互い「IB サバイバー」と呼び合い、初対面でも自然と仲間意識が生まれたりする。
こんなに大変なことをしてもその後に役に立つの?
ここまで読んでくれた方は、このように疑問に思った人も多いだろう。もちろん、高校卒業後の進路にもよるが、個人的にはとても役に立ったと思っている。
役に立つ! #1
タイムマネジメント
IBサバイバーが口を揃えて言うのは「時間配分が上手くなった」ということ。特に大学一年目にはその差が如実にわかる。
周りを見ても、大半の学生は次から次へと出された課題を終わらせるのにてんやわんや。
一方で、それほどでもなさそうな人の話をよくよく聞いてみると、IB出身者ということがよくある。
「まあ大変だけど、思っていたほどではないかな」、「大学一年目の衝撃はそれほどでもなかったよ。IBでもうすでに似たような体験をしたからね」こんな感想が多い。
私も実際そうだった。課題は多いが、大学二年目でもなお、徹夜したことはなかった。むしろ高校時代より睡眠時間が多いほどだ。ただ、「IB」をやらずにこれを経験していたらと思うと少し恐ろしいかもしれない。これも「IB」のおかげだと私は考えている。
役に立つ! #2
受験で有利
大学入学以前から、「IB(特にDP、ディプロマプログラム)」を取っている人たちはそれだけで受験争いで優位になる。なぜなら、欧米の諸大学は「IB」がいかに大変かを分かっている。「IB」がハードということは世界でも有名なのだ。

先ほど述べた通り、イギリスではIB DPが大学一年目と同等の教育と見なされている。他の国の大学ではそこまではいかないものの、教養課程に取らなければいけない授業が免除される場合がある。ほとんどの大学はHLの授業でないと認められないが、それでも一年目の英語や数学、第二ヶ国語などの授業が免除される場合がある。
役に立つ! #3
大学でも有利

例えば大学で、ある二年目の授業を取るには、決まった一年目の授業を取らなくてはいけない、という条件があるとする。その条件として示されている授業はあくまでも大学の授業であって、「IB」がそれと等しいと見なされていてもどうしても内容が少し違うことがある。いきなり一年生の時に二年目のための授業を取って成績がガタ落ち、単位が取れず授業を取り直し、ということになっては本末転倒だ。
こういうことがあるため、自分の専攻に必要な授業を「IB」で補うことはおすすめしない。その代わり、教養課程などで当てはまる授業があったら是非そこは有効活用してもらいたい。その分、自分の専攻の勉強にも集中できるはずだ。














