オフィサーの新たな権力|カナダで永住権!トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
2025年1月31日付けで、カナダ国境のオフィサー(IRCC、CBSA)は、電子渡航認証(eTA)、Temporary Resident Visa、Work Permit、及びStudy Permitをその場で取り消すことができる権限を与えられました。
従って今後はTemporary Resident VisaやeTAを通じてカナダへの入国を許可されていても、国境の入国管理当局がその法的ステータスを取り消し、入国させないという対応を瞬時にすることができるようになります。
それと同様、既に承認・発行されているWork PermitやStudy Permitも国境で取り消すことができるため、就労・就学をカナダ国内ですることができないよう、国境のオフィサーがその場で決断し、対応することも可能となりました。
改訂の理由と目的
今回、カナダ政府が法律をこのように改訂した理由と、目的は何だったのでしょうか。1番の理由はアメリカがトランプ政権に渡って以来、カナダの国境警備の甘さを指摘していることにあると言われています。
アメリカによると、違法にアメリカへ渡航して移民した者たちの一部は、最初にTemporary Resident Visaでカナダに入国した後、わずか数週間から数か月以内にカナダからアメリカ側に国境を越えようとするケースが多数存在するとの報告が出ています。
現在、CBSAはIRCC(移民局)と密接に連携して、最終的にアメリカに渡って移民を取得することを目的としている者たちのカナダ入国を取り締まり、またそれと同時に組織犯罪や密輸グループを含む詐欺の防止についても対策を練っています。
2024年12月末にもIRCCが新たなルールとして、「国境でのFlagpole禁止」、つまりWork PermitやStudy Permitを既に保持してカナダに滞在している者が、カナダ国境を一旦出国し、Uターンをしてアメリカよりカナダに再入国する際に国境で延長申請を行うことを全面的に禁止すると発表しました。
延長申請をしたい場合には、国境へは来ないでカナダ国内にてオンライン申請をすることを義務付けることで、年間約7万人の「Flagpoler」と呼ばれる人々が国境に来ることを防ぎ、その結果として国境のIRCCやCBSAオフィサーの負担を減らすことに繋がる、と分析しています。
つまり今回カナダ政府が国境のオフィサーにビザや入国許可を取り消すことができるように法律を改訂した目的は、カナダの国境警備を強化し、カナダ国内に留まる・就労する・就学する条件を満たしていない人々を素早く排除することで、カナダやアメリカの安全を確保するということにあります。
問題点
新しい法律には、「相当な理由がある場合にオフィサーはビザを取り消すことができる」、と記されています。弁護士の中には、この「相当な理由」という言葉について「主観的であり、審査基準を明白にしないことには特定のオフィサーがビザを立て続けに取り消してしまう、ということも起き得るため、何らかの監視が必要ではないか」と指摘する声も挙がっています。
また国境でビザを取り消された場合、ほぼ100%の割合でRepresentative、つまり弁護士が隣にいないため、「カナダに入国する者に弁解の余地を全く与えられないままビザがキャンセルされ、入国・就学・就労を拒否され、その結果について有無を言わせず受け入れさせるのは果たして公平であろうか」とも言われています。
今後
カナダにおいて既に短期滞在者として滞在されている方々、或いはこれからビザを申請してカナダに入国される方々は、今後カナダの国境を出入りする前に改めて自身のステータスについて真剣に考えることが大切かもしれません。
国境のオフィサーから質問された際、正確に、そしてオフィサーが納得するような言葉で、下記事実を伝えることができるでしょうか。
- 入国・就学・就労条件を満たしているか
- ビザの条件に沿った活動をしているか
- 違法行為を行っていないか
- 合法的にカナダで就学・就労していることを証明できるか
- 短期滞在者として、最終的に日本に帰国する 意思はあるか、そしてそれを証明できるか
- 無犯罪歴であるか
- テロ活動等に関わっていないか
2025年、2026年、2027年はカナダ政府が公表している通り、移民申請やビザ申請が更に厳しい年になってきました。そして今回、「既に承認されたビザ」についても厳しい現実が待っているということが明白になりました。
引き続き政府の動向を見守りながら、これから更に増えるであろうルールや法律改訂をしっかりと理解し、法に則ってカナダに滞在することが重要であるとお考え下さい。