日本とカナダの絆の深さを確かめ合ったミシサガ市主催 日加修好90周年 記念イベント
5月3日、ミシサガ市主催の日加修好90周年イベントがミシサガ・シビック・センターにて開催された。日本とカナダの国交が結ばれて90年となるこの節目の年に、愛知県刈谷市の姉妹都市でもあるオンタリオ州ミシサガ市が両国の関係を祝う舞台に選ばれた。
ミシサガ市は日加友好の象徴
式典の冒頭にはジャスティン・トルドー首相からのビデオメッセージから始まり、参加者は驚きを見せていた。首相は日本とカナダの関係の強さに言及し、これは両国が共有する民主主義と経済発展が強固な基盤の上に築かれているとした。
中でもミシサガ市は日加交流の象徴であり、これまでに市の行ってきた貢献を称えた。
最後に、この良好な二国間関係がさらに深化し、長く続くことを願うと結んだ。
日本の技術力と文化がオンタリオの多様性に貢献
次に、紙面にて挨拶を述べたのはオンタリオ州のキャサリン・ウィン州首相。イベントを主催したミシサガ市と伊藤恭子総領事に謝辞を述べた上で、90年にも及ぶ日加関係の重要さについて指摘。中でも、日本はカナダにとって太平洋沿岸の最も重要なパートナーの一つであり、その関係は政治的、経済的、そして文化的交流によって支えられていると述べた。さらには、共通の価値観やお互いへの敬意によって確固たるものになっていると強調した。また、オンタリオ州に住む多くの人は日本に縁があり、彼らの技術や知識、そして文化は、州の多国籍化に大きく貢献していると感謝の意も表した。それを踏まえ、この式典はその良好な関係を称える素晴らしい機会であると改めてその重要性を伝えた。
日本の成功がミシサガ市の成功でもある
続いて挨拶を述べたのは、ミシサガ市のボニー・クロンビー市長。始めに、ミシサガ市が日加関係においていかに重要な都市であるかを強調した。日本は現在、世界第三の経済力を持ち、世界における経済的影響力は多大である。加えて、現在多くの日系企業はその舞台を世界各地に展開している最中であると述べた。そんな中、90年前から日本と国交を結んでいるカナダは、企業が海外進出するに当たり特に重要な国であると説明。中でも、鉄道や国内最大の空港があるミシサガ市は、企業が拠点を置くに相応しい都市であり、それを物語るかのように、現在100社近くの日系企業がミシサガ市をカナダの拠点に選んでいると述べた。その業種は電子機器、自動車、製薬、航空宇宙産業など多岐に及ぶ。
さらには、クロンビー市長本人も二度日本を訪れ、日系企業の誘致に貢献した。また、クロンビー市長は多くの日系企業がミシサガ市に拠点を置く理由として、労働環境が似ていると指摘。革新的かつ独創的なものづくり、そして才能ある労働者を尊重することを例に上げ、これらの共通点はこれからさらに深い関係を築いていくためにも重要だと述べた。また、北米への玄関口としてさらに多くの日系企業をミシサガに誘致する強い意志を表した。
クロンビー市長は、経済的関係に加えて文化交流の重要性も指摘した。今年、ミシサガ市は愛知県刈谷市と姉妹都市になって37年目を迎え、現在もこの二つの都市の関係は深くなりつつあると述べた。ミシサガ市内にはその関係を象徴するカリヤパークがある。さらに、ミシサガ・セレブレーション・スクエアでは毎年、日本文化を発信するジャパン・フェスティバル・カナダが開催されている。昨年は7万人を動員し、日本文化を紹介するイベントで北米最大規模を誇るなど、ミシサガ市は常に日本文化をカナダに発信する役割を担っている。クロンビー市長は、ミシサガ市が経済発展だけではなく文化交流の地としても両国の関係に貢献していることを誇りに思うと述べた。また、日本の成功はミシサガの成功でもあると語り、二国間の関係がいかに強いものかを強調した。
90年に及ぶ関係は平坦な道のりではなかった
続いて伊藤恭子総領事が挨拶と謝辞を述べ、このようなイベントがミシサガ市で開かれることは日本とミシサガ市の良好な関係の象徴であると喜びを見せた。また、90年に及ぶ日加関係の歴史について言及。その道のりは平坦では無かったと指摘した。中でも、1929年の世界大恐慌後、二国間の貿易活動は落ち込んだ。さらに第二次世界大戦ではカナダ国内で人種差別も起こり、日系カナダ人の多くは収容所に送られた。一方、日本の戦地では捕虜となったカナダ兵の多くが命を落とした。しかし戦後、両国は再び国交を結び、民主主義、人権、自由市場などを基盤にした強い関係を作り上げてきたと述べた。その中でもミシサガ市は、常に日加関係にとって欠かせない存在であり続け、特に日系企業がカナダへ展開する際に重要なターゲットであると語った。さらに、刈谷市とミシサガ市の姉妹都市としての関係の重要性も指摘。この関係は両都市の住民の間に築かれた強い友情関係で成り立っていると述べた。中でもMississauga Friendship Associationはその関係を保つ上で欠かせない存在であり、その多大なる貢献に感謝の意を表した。最後に、カナダと日本、そしてミシサガ市と刈谷市の関係がこれからさらに強くなっていくことを願いつつ、改めて二国間の良好な関係を築くことに尽力すると結んだ。
その後、クロンビー市長により乾杯の挨拶が述べられた。参加者は今までの日加関係を祝うと同時に、これからもこの関係が長く続くようにと願いを込め、祝杯をあげた。
ミシサガでの日系イベント・日本企業進出が二国の架け橋になることを確信
毎年ミシサガ市でジャパン・フェスティバルをオーガナイズしている若狹輝行氏は、日本とカナダの経済関係について言及し、日系企業の受け入れを積極的に先導するクロンビー市長に対して感謝の意を表した。また、このような活動がジャパン・ブランドを広める機会、さらには日本とカナダの架け橋になればと期待を寄せていた。これからの展望について聞かれたところ、2年後に開催される東京オリンピックのような大きなイベントがあるごとに日加関係がさらに強まることを願うと述べた。
JETROトロント事務所の酒井拓司所長は、ミシサガ市の日加関係の90周年への多大なる貢献に改めて感謝の気持ちを述べた。それを踏まえ、両国の経済的関係を充実させていくにはさらに多くの日系企業をミシサガ市に誘致するのが重要であると述べた。そのためにも、ミシサガ市の魅力をこれからも伝えていく役割を担っていきたいと結んだ。
式典終了後、伊藤総領事にもお話を伺った。感想を聞かれた際には、改めてミシサガ市が率先してこのような式典を開いてくれたことについて感謝を述べた。また、トルドー首相のビデオメッセージには驚きと嬉しさを隠せない様子であった。
日本とカナダの90年に及ぶ国交の強さを再認識する機会となった今回の式典。二国の関係がこれからより充実したものになることを願う。