今年はこうなる 2019年ヒロの大予想|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明
大予想と言っても競馬の予想や水晶玉越しに何か見える、というわけではない。なさそうでありそうな政治、経済、社会を中心とした予想をそれなりに熟考したうえで2012年から掲載させていただいている。2013年からは今の10大予想の形式を取っているがざっくり見るとだいたい6〜7割ぐらいは当たっているようだ。
経済界ではこの手の大予想は近年、大はやりで各社出しているのだが、なかなか当たらないものだ。知りすぎると案外外すのかもしれない。月の上に立って地球を見るような俯瞰する感じの方がよさそうだ。
さて、早速2019年大予想をしてみよう!
①景気は弱含み?ただ、日本への影響は微小
世界景気は2019年に一旦ピークをつけるだろう。これは相次ぐ利上げで住宅や自動車販売が落ち込むだけでなく、多額の資金で夢を買うハイテク関連の会社にも逆風だからだ。ただ、日本はオリンピック前。景気が悪いと消費税も上げられない。政府はうちわで煽ってでも景気の低迷は避けるだろう。
②帰ってくる、帰ってこない北方領土
議論の方向性は2島返還。あとは国後、択捉島において日本の開発協力の名目でプラス部分をつける。国内では議論百出になるが、2021〜22年頃に決着すべく大きく前進する。温暖化する日本にとってこのディールの進捗は極めて大きな意味を持つはずだ。特に漁業にはプラスだ。
③ある、ない、日本の憲法改正
2019年は議論が進み、2020〜21年頃の改正に向けてこちらも展開する。自民は9条改正にこだわるが、憲法は他に現実に即していないところはたくさんある。まずは改正するハードルを下げ、改正へのアレルギーを取り除くことが安倍政権の最大のハードルとなろう。
④世界のマネーは何処へ消えた?
低金利、金融緩和で資金運用にいそしんだ個人、法人、機関投資家達はもうないと思ったバブルがはじけ、経済の収縮に再び試練。人は同じ間違いを何度でも繰り返す。ビットコインもアマゾンも1000ドル割れ。アップルはもがき、フェイスブックは頭を抱える。
⑤どうなる、カナダの不動産
不動産屋は「これから下がるから今が売り時」と売り手を煽る。そんなに価格が下落するのか、といえばトロントはやや下振れしやすいが、バンクーバーは多少下げてもすぐに戻る。両地域の不動産体質は全く違う。また、カナダは全般に経済移民が毎年人口の1%も来る国だ。住宅需要の底堅さはある。ベアマーケットの今はじっくり選んで価格交渉できる良さがあると前向きに捉えよう。
⑥2019年東アジア政治は台風の目
朝鮮半島で何が起きるか予断を許さない。北と南がより緊密な関係になった時、国際社会はこれをどう受け止めるか?正直、欧米には朝鮮半島の理論は絶対に理解できない。日本すら理解できないのにトランプ氏が分かるわけがない。会談するのは結構だが、そんな簡単な相手ではないことは日本が一番よくわかっている。
⑦分断化する世界、自己中心か共存か
欧米諸国は自分を守ることに余念がない。これは大陸的狩猟文化がそうさせる。勝ち得た獲物は離さず、相手が油断した時さっと奪う。これを自己中心主義と言わずなんと言おうか?共存主義は欧米では根付きにくい。一方、日本は農耕文化で共存を第一義とする。アメリカは分断しても日本は分断することはあるまい。
⑧欧州の混沌
2019年最大のショーは欧州の行方だろう。英国は何処へ、メルケル首相なきドイツはどう変わる、イタリアのわがままは通るのか、など主要国だけでも様々な問題を抱える中、EU周辺国にも軋みが聞こえる。これは欧州の保守主義と構造的問題であり、北米のような伸縮性がないところから生まれる問題と捉えてよいだろう。当然ながらこれ以上軋むとクラックが入る。不協和音という言葉がふさわしくなりそうだ。
⑨自動車が変わるその前夜にはまだ遠い
自動車には自動運転に電気自動車の時代が確実に来る。だが、2019年がその前夜とはまだ言えない。本格的に移行するのは全固体電池が開発されること、及び大量のデータが処理できる量子コンピューターが普及する2025年頃まで待たねばならない。その時は特需に沸くがそれまではプロトタイプの車が市場を席巻するであろう。
⑩財布がいらない社会
キャッシュレス社会は確実に進む。数年後には現金をATMで下ろすと手数料を取られる時代になる。キャッシュレス社会は税金の補足が容易になる。国税の処理は電子化され、すべての取引は瞬時に解明され、脱税の発想そのものを不可能にする。ある意味、便利だが面白みのない社会かもしれない。それよりあなたのそのブランド物の長財布、もう時代遅れかもしれない。
2019年は何が起きるか予断を許さない状況となりそうだ。世界中からびっくりニュースが飛び込んでくる可能性はある。まずは何が起きても驚かない気持ちを持とう。そして全体的に守りの年になりそうだ。そういう時こそ自分の力を蓄えるべきだろう。普段できなかったあの勉強、読書、あるいはリアルSNSを通じて交流を深め、次の発展に向け充電するには絶好の年になるだろう。良い2019年を。
了
岡本裕明(おかもとひろあき)
1961年東京生まれ。青山学院大学卒業後、青木建設に入社。開発本部、秘書室などを経て1992年同社のバンクーバー大規模住宅開発事業に従事。その後、現地法人社長を経て同社のバンクーバーの不動産事業を買収、開発事業を完成させた。現在同地にてマリーナ事業、商業不動産事業、駐車場運営事業などの他、日本法人を通じて東京で住宅事業を展開するなど多角的な経営を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知れ渡っている。