カナダ最大規模の食品見本市「RCショー2022」で15年ぶりにジャパン・ブースが出展|特集「カナダ食学」
日本の農林水産物や食品の輸出額を2030年に5兆円とする目標を掲げている日本政府。在トロント日本総領事館とジェトロは2年ぶりの対面開催となる「RCショー」にジャパン・ブースを出展、愛媛県の水産品や岩手県の和牛をはじめ、トロントで日本酒や緑茶、食品等を販売する企業とともに日本食材の魅力をカナダの飲食業界関係者へ向けアピールした。イベント期間中は、日本酒の試飲セミナーや緑茶についての講演のほか、おにぎり製造機の実演や公邸料理人によるいわて牛や愛媛県産の魚を使った料理実演も行われた。
佐々山拓也・在トロント日本国総領事は、「カナダ最大規模となる今回のRCショーが対面開催となるのは、2020年3月以来2年ぶりとなる中、日本政府はこの機に合わせ日本食材の魅力をアピールしようと、ジェトロ・トロントと連携し、15年ぶりにジャパン・ブースを出展しました。全体的にも想像以上の来場者で、ジャパン・ブースにも大勢の人にお越しいただき、日本食材に対する期待を肌で感じられるイベントとなりました。カナダの飲食業界では、日本食品に対して憧れがある一方で、まだまだ良い食材を手に入れる方法はあまり知られていない様子だったため、このイベントはクオリティーの良い食材を入手するための繋がりを紹介する絶好の機会にもなったと思います」と今回の反応に手応えを感じたようであった。
ジェトロ・トロントの山田あゆみ氏は、「ジェトロが在トロント日本総領事館とともに出展したジャパンブースでは、愛媛県と岩手県のほかに当地でビジネスを行う小沢カナダ、伊藤園、カド・エンタープライズ、トゥルー・ワールド・フーズに参加いただきました。カナダの食品規制は厳しいため難しいことも多いですが、当地での日本食品の需要は伸びているため、規制をクリアすることで今後さらに供給を増やしていけるようになればと思っています」と語ってくれた。
伊藤園の宮内栄一氏は、「今回のイベントでは飲食店関係者の方などにもリーチできる、収穫の多いイベントとなりました。ティーバッグや抹茶など、レストランやカフェにリーチができた一方、ピザのお店やハンバーガーのお店からも抹茶に関して質問をもらいました。スイーツや飲み物などでは抹茶を使うことは定着しつつありますが、今後さまざまな料理のコンテンツの一つとしての活用法などを発信できるようにしたいと思います。伊藤園は、日本の企業という意味ではカナダでも多く知られていますが、カナダ市場におけるお茶のカテゴリーでいうとまだまだシェアは小さいため、今後さらにシェアを大きくしていきたいです」とあらたな商機を感じられたイベントとなったようだ。
養殖漁獲量と柑橘生産量において日本一を誇る愛媛県は、クロマグロとハマチ、マダイ、そしてシマアジを出品した。刺身クオリティーの質の高い食材をプレゼンテーションしたほか、カナダではあまり流通していないシマアジなどは飲食関係者から多く注目された。
愛媛県は新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミック以前からトロントの日本レストラン協会JRACとともに和食まつりを開催してきた。餌にイヨカン等の果皮を混ぜることで、変色や魚臭さを抑制し、柑橘の風味もするフルーツ魚養殖として知られる養殖魚などを中心に、食材のブランディングやカナダ市場の開拓に積極的な姿勢を継続している。今回のRCショーに合わせ、JRAC関係の日本食レストランではシマアジなどが実際に振る舞われるなど引き続き高い人気がうかがえた。
また、岩手県ではいわて牛が出品され試食が行われた。A5ランクのいわて牛は、脂身と赤身が綺麗にマーブルに混ざっており、脂はたっぷりあるものの、くどくなく、冷めても美味しいのが特徴的だった。