日本の青少年のチームスポーツが成り立たない?|カナダ・日本・世界を見つめる8人組 |文・鈴木典子
鈴木典子
2007年に夫の赴任に伴い、息子3人とトロントへ。2011年に夫は帰任するが、息子が北米での教育継続を希望したため、夫は逆単身赴任を選び、それと同時にジャパン・ファウンデーション・トロントで勤務。2021年に帰国後、国際交流基金で嘱託として勤務。
様々なスポーツの中で一チームの人数が一番多いのは、ラグビーの15人だ。カナダではブリティッシュコロンビア州で非常に人気が高く、女子ラグビーは世界ランキング2位の実力だそうだ。わが家がトロントに住んでいた時、息子が小学校で「タグラグビー(注1)」を楽しんでいたのを思い出す。
日本では、「甲子園」(夏に兵庫県神戸の阪神甲子園球場で開催される全国高等学校野球選手権大会の通称)が高校野球の聖地なのと同様、年末年始に大阪府東大阪市の花園(はなぞの)ラグビー場で開催される全国高等学校ラグビーフットボール大会は通称「はなぞの」と呼ばれ、高校生ラガーマン(ラグビー選手のこと)の目標であり聖地である。甲子園大会が2025年に107回を迎えたが、花園大会も2025~2026年は105回大会で、歴史のある高校生スポーツといえる。
そんな花園大会だが、地方での競技人口の減少と、強豪校とそれ以外の実力差が広がっているらしい。
2026年1月16日付朝日新聞の記事(注2)によると、島根県では昨年は国立・県立の4校が合同チームを構成できたが今年は私立高校1校しかチームが成立せず、予選無しで代表校となったものの1回戦0-73で敗退。山形県と福井県は予選参加がそれぞれ2チームで、鳥取県も合同チームを含めて3チームしか予選に参加できなかった。いずれも1チーム15人が集まらないのである。
部員100人以上を擁する学校との実力差は大きく、今年の花園大会では1、2回戦39試合中、50点差以上が15試合、そのうち3試合は100点以上の差がついた。
日本のラグビーは2019年のワールドカップ開催で全国的に関心が高まり、子供対象のラグビー教室なども開催されるようになった。しかし少子化の影響で高校生そのものが減少している上に、日本では部活動は在学中ずっと通年で活動し、複数の部に所属できないため、特にチームスポーツでは選手の確保が難しくなっている。実戦形式の練習や練習試合の機会も少ないため、大会に出ても勝てず、ますます選手が離れるという悪循環だ。
私がずっとフォローしている野球では、だいぶ前から学校の部活動とクラブチームの両方で野球をする子供が激減しているが、1チーム9人必要という点にも原因があるだろう。野球の「Baseball 5(ベースボールファイブ、5人制、5イニング制のゴムボールを使った野球)」はあまり広がらないが、ラグビーの7人制「ラグビーセブン」はオリンピックの種目でもありワールドカップも開催される、認知されたスポーツだ。小学生の間にタグラグビーでラグビーボールを投げる・取る・持って走るなどの面白さを経験し、高校では7人制のラグビー7でスクラムやタックルなど「フルコンタクト(力を抑制せず直接ぶつかり合う)」の部分や広いフィールドでのスピードや敏捷性が楽しめそうだ。
また、カナダのように、冬季はアイスホッケーや屋内でのバスケットボールなど、夏季は野球やテニスなど、複数のスポーツ(や文化部など)を毎年いろいろ経験できるようにする。そうすれば、優れた身体能力を持つ高校生アスリートの「素質」を有効に活かせ、選手自身も一つのスポーツだけでは使わない筋肉や動きを別のスポーツで使うことで、心身ともにバランスの取れた人間に成長していくことができるのではないだろうか。
更に、毎年(または毎シーズン)チームを新しく構成すれば、1年生の内は球拾いや体力つくり、先輩のサポートしかできないのではなく、全員が(できるだけ)平等に試合に出られるようになる。この工夫によってそのスポーツを「3年生になってから」ではなく、みんなが「今」楽しめるようになるのではないだろうか。
注2: 朝日新聞(2026年1月16日)「FOCUS」「花園熱いけれど…岐路に立つ高校ラグビー~地方の協議人口減・拡大する実力差」 https://www.asahi.com/articles/DA3S16383043.
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2011年夏、カナダ在住の翻訳家や通訳、活動家、物書き、研究家、学生などの有志が集まり、それぞれの分野で築き上げてきた仕事や研究、日常について語り合ったのがG8の会の発足のきっかけとなり、月に2回ほどカナダ・日本・世界についてのコラムを発信している。
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