トロント観光の目玉!都会の喧騒から離れ、自然と再会する場所「トロントアイランド」|特集「トロント観光・都会のオアシス トロントアイランド (Toronto Islands)」
トロント本土から遠いようでものすごく近いトロントアイランド。今月はまだ行ったことがない読者のためにその魅力を伝えたい。日本語の観光サイトなどでは「トロントアイランド」と単数形で表記されているが、いくつもの島が集まっているので複数形の「Toronto Islands」が正解。しかしローカルの人でも「The Island」や「Toronto Island Park」と呼んだりするそう!
聞いたことはあるけど、トロントアイランドってどんなところ?

トロントのハーバーフロントから見える緑の多い島々はオンタリオ湖の砂州が動いて成り立った島。かつてあった半島が1858年の嵐によって侵食し、小さな島々が生まれたそうだ。今では15の島が小道や橋で繋がっている。端から端まで5kmの距離があり、全て歩くことができる。
北アメリカの都心にある「カーフリー(Car Free)」コミュニティーではトロントアイランドが最大。宅配やレストランなどへの流通以外の乗り物はなく、歩行者や自転車を優先している。
島民の暮らしぶりはローカルの人でも知らない人が多く、ミステリアスな印象が目立つ。しかし観光地としては有名で、毎年たくさんのトロントニアンが癒しを求めて訪れる。
どうやって行けばいい?
フェリー vs.ウォータータクシー

トロントアイランドへ行くにはフェリーかウォータータクシー、その二つ方法がある。フェリーの大人料金は現在9.11ドル。ウォータータクシーの片道料金の相場は12ドルか13ドルほど(クレジットカードの場合サービス料をチャージされる可能性あり)。しかし何度も訪れたことがある人はウォータータクシーの方を勧めるだろう。夏休みシーズン中、フェリーは特に混み合いやすく1時間以上空きを待つこともあるそうだ。
普通なら帰りの料金も心配するはずなのだが、実は帰りのフェリーは無料。なんと島にはチケットブースがなく、帰りのチケットを購入する必要がない。とにかく最終フェリーの時間だけ気をつけて行動したい。
フェリーで行く場合
乗り場のJack Layton Ferry Terminalはユニオン駅、そしてScotiabank Arenaの南にある。道の名前で言うとちょうどBay StとQueens Quay Wの境にあたる。ターミナルからCentre Island行き、Hanlan’s Point行き、そしてWard’s Island行きのフェリーがあり、わずか13分ほどで到着する。一年中運航しているが、天気や季節によってはスケジュールが変わるので注意。アイランド行きは週末とホリデーの午前10時から午後2時が混雑し、帰りは午後5時半から午後9時が混み合うそうだ。チケットはオンラインかターミナルで購入できる。
ウォータータクシーで行く場合
Toronto Harbour Water TaxiやPirate Taxi、T Dot Water Taxi、Tiki Taxiなどいくつかの会社から選べる選択肢があるのは嬉しい。およそ5分で湖を渡れるそうなので少しでも時短したい人におすすめ。それぞれの乗り場と営業時間に気をつけたい。フェリーに比べて運行開始時間が遅めなので朝早くに行きたい人には向いていない。
トロントアイランドの歴史

トロントアイランドの土地はもともとMississaugas of the Credit First Nationという先住民族のものだった。彼らは人の病気を癒したり、釣りをしたり、狩をするなどして毎日を過ごしていた。しかし1793年にアッパー・カナダの副知事ジョン・シムコーがヨークの街を開発し、そのエリアが今のトロントになった。

街が栄えはじめると漁師などがアイランドに住むようになったが、住民は比較的少なかった。だが1833年にはホテルがオープンし始め、たちまち人気が上昇。同年にはフェリーも行き来するようになった。1800年代後半ごろにはコテージスタイルの家が増え、住民が増加。住居は夏場だけのバケーションホームとして活用されていたが、1947年に本土での住宅不足がきっかけで一年中住めることが市によって許された。
トロントアイランド豆知識
「Toronto Islands」の前は別の名前だった

「Toronto Islands」という名前がつく前は「Island of Hiawatha」と呼ばれていた。最後にその名前で地図に表記があったのは1924年のこと。First Nationsのリーダーでイロコイ連邦(Iroquois Confederacy)の創立者の一人、ハイアワサから名前を取っている。
昔は野球スタジアムがあった


Hanlan’s PointにはかつてMaple Leaf Parkというスタジアムが存在した。そこで1914年9月5日、野球界の伝説ベーブ・ルースはプロ初ホームランを放ったのだ。当時はマイナー・リーグに所属していた彼。このホームランはマイナー所属時に打った唯一のホームランだったそう。
スカル・ローイングの世界チャンピオンを輩出した場所

1800年代後半、人気リゾートコミュニティーとして知られていたHanlan’s Point。1862年にこの島で初めて住居を構えたのがハンラン家だった。1870年には彼らは住居をホテルに改造し、夏の観光客を呼び込んだ。ハンラン氏の息子、ネッド・ハンランは毎朝登校するためにボートを漕ぎ、大きくなってから世界的に有名なスカル・ローイングの選手になったことで有名。アイランドには彼の銅像がある。
島を観光してみよう!
TORONTO ISLANDS

観光地としては本土の喧騒から逃れられる、ゆったりとした雰囲気であることが有名。ビーチでリラックス出来るほか、ピクニックやバーベキューをする場所もあるのでただ違う風景を楽しみたい人には丁度いいお出かけスポットだ。アクティビティも豊富なので紹介したい。
住民たちによるウォーキングツアー

Ward’s Islandに長年住む二人の住民が近所の魅力を教えてくれるユニークなツアーがある。150年も存在するコミュニティーでの車も店もないシンプルライフをもっと知りたい人はToronto Island Walking Toursを要チェック。ツアー参加費は20ドルで4人からの団体で予約可能。
手ぶらでOK! Toronto Bicycle
Tours & Eventsの自転車ツアー


トロントアイランドを自転車で周るのは何かとポピュラーなアクティビティだ。アイランドの道を知っている人ならフェリーやウォータータクシーに自転車を乗せてサイクリングを楽しむ人も少なくない。もし初めて島を訪れる場合、自転車からヘルメットなど全て貸し出してくれるツアーがあるので紹介したい。
Toronto Bicycle Tours & Eventsではツアー代に自転車とギアレンタル料金含めツアーガイドやフェリー代、水、スナックがついてくる。3時間半の旅はDundas St WとUniversity Aveで集合することから始まるのでフェリーが初めての人には安心。夕方から始まるTwilight Bus Tourもあるので夕焼けが好きな人や猛暑の場合にはそちらもおすすめ。夏だけでなく秋でも冬でもツアーは行われているので気が向いたときに行ける。もしツアーが苦手な場合はバイクレンタルのみ出来るのが嬉しい。
Centerville Amusement ParkとFar Enough Farm


1967年、アイランドを観光地にしようと造られたのがCenterville Amusement Parkという子供向けの遊園地。ビンテージ物のメリーゴーランドやアンティークの観覧車、ティーカップ、ジェットコースター、アヒルの足漕ぎボートなどのアトラクションがある。もしそこで1日の大半を過ごすなら1日乗り放題のフリーパスが便利。一応子供向きではあるが大人でも十分遊べるという人もいるので、楽しみ方は人それぞれだ。遊園地のすぐ東側にはFar Enough Farmというふれあい動物園がある。40種類もの動物がいるのでたくさん癒やされることができる。
珍しい「Clothing Optional Beach」

Hanlan’s Pointは「Clothing Optional Beach」があることでよく知られている。このLGBTQ+フレンドリーのビーチは決してヌードビーチというわけではなく、服や水着を着なくても大丈夫という意味での「Optional」だ。ここは1971年にトロントで初めてLGBTQ+の集会があった場所で、市の歴史にとっても大事な場所なのだ。反対側には「Clothing Mandatory Beach(服を着なければいけない場所)があるのでどちらに行きたいかは事前に決めておくといいかも知れない。
トロントアイランドといえば、やっぱりビーチ

体を動かすのもいいが、ボーっとリラックスしたいという人にはビーチが一番。Gibraltar Point Beachはフェリー乗り場から一番遠く、とても静か。トイレや着替え室などのアメニティはないが、人が少ない場所を好む人に最適。人は居なくてもヒアリ(Fire ant)はいるそうなので、それには気をつけたほうがいいかも知れない。Centre Island Beachは家族向け。着替え室やロッカーがある。ピクニックエリアや自転車レンタルなどのエリアに近い。
デンマークの環境保護団体「Blue Flag」は世界中のビーチを比べ、水質の良さと環境への配慮が行き届いた管理が素晴らしいところだけに「Blue Flag Designation」という指定を表彰している。トロントアイランドでは2ヶ所、Ward’s Island BeachとHanlan’s Point Beachが認められているので是非チェックしたい。
グループや家族で楽しめるアクティビティがたくさん

Centre Islandフェリー乗り場の近くに青色が目印のToronto Island Boathouseがある。そこでは足漕ぎボートやカヌー、カヤックをレンタルできる。湖を遠く漕がなくてもビーチ沿いをゆったり移動するのにも最適。カヌーは大人3人、または大人2人と子供2人が乗ることができる。カヤックの場合一人用か二人用がレンタル可能。
他にもゴルフや野球、テニス、ピックルボールのコートがあるのでアイランドでは十分遊べる。ウォータースポーツでないスポーツギアはレンタルが出来ないので持参しなければいけない。釣りも楽しめるが、オンタリオ州のルールを守る必要があるので気をつけて行動したい。自然が多いアイランドではバードウォッチングも人気。本土では見られない、珍しい鳥に出会えるかも知れない。
カヤックやSUPが大人気


トロントアイランドですることを探しているならToronto Island SUPやHarbourfront Canoe & Kayak Centreを要チェック。どちらもカヤックやSUP(スタンドアップ・パドルボード)のレンタルや体験レッスンを受けることができる。初心者でももちろんOKだが、一応ウォータースポーツなので泳げることは必須。Toronto Island SUPではパドルボードとSUPを使ったエコツアーや夕暮れ時のツアーもある。キッズキャンプやSUPヨガなどのアクティビティも豊富。Harbourfront Canoe & Kayak Centreもキッズやティーンのアウトドアキャンプや誕生日パーティーのお祝いもしてくれるので子供連れに嬉しい!
日本もトロントも、夏といえば幽霊

Gibraltar Point Lighthouseは1808年に建てられた灯台。五大湖で最も古い灯台だそうだ。この灯台は初代の主、ジョン・ポール・ラーデルミュラー氏が1815年にフォート・ヨークの二人の兵士に殺された場所として有名。しかし彼の遺体は見つからず、彼の幽霊が毎年灯台に帰ってくるという都市伝説がある。都市伝説にも色々なバージョンがあり、夏の暑い夜になると彼の叫び声がトロントアイランド中に響くという言い伝えも存在する。心霊スポットが気になる人には欠かせない!
行く前に知っておきたい注意点
- コンビニもスーパーもないため、飲料水を持って行くのを忘れずに!カフェかレストランで買うこととなれば一本4.50ドルするので持参するのが吉。
- The RivieraやToronto Island BBQ & Beer Co、The Island Greek Grill、Carousel Caféなどレストランはある。Pizza PizzaやSubwayなどファストフードも存在するが、値段は遊園地並みに高いそう。なので食べ物を持参してピクニックする人が多い。
- レストランやカフェは数軒あってもバラエティは限られているので、アレルギーや食事制限がある人は食べ物を持参したほうが無難。
- バーベキュー・エリアもあるので炭を持っていけば利用できる。しかしプロパンガスは使えない。25人以上の団体でバーベキューをするには市からの許可が必要。
- 昼近くと夕方はフェリーが混み合い、乗れるまで1時間以上待つ可能性も。フェリーは朝6時半から運航しているので、早朝に行って昼過ぎにはトロントに戻るのも悪くない。
- フェリーの最終時刻に注意!Hanlan’s Pointからは午後10時45分、Centre Islandからは午後11時、Wards’ Islandからは11時半。住民以外、アイランドに寝泊まりは出来ないルールがあるので気をつけたい。
もし夏に行けなくても一年中アクセスできる

特にクロスカントリースキーやスノーシューイングが人気。湖が凍っている場所ではアイススケートもできるが、安全性については市の呼びかけを守ることが大事だ。
冬場フェリーはWard’s Islandにしか到着しない。そして自転車レンタルやレストラン、カフェなどは閉まっているので気をつけたい。
そう簡単には住めない!?意外と厳しいアイランドライフ
2023年の調査では700人がトロントアイランドに住んでいたが、1950年代には8000もの住民がいたそうだ。島の住民になるには長いプロセスと500人もの順番待ちリストがある。そのリストに載るだけでも抽選で選ばれなければいけない。1993年にトロントアイランドの地域信託が誕生したが、それ以来ずっと順番待ちだという人もいる。一年に売れる家は1軒か2軒しかないため、チャンスはそう簡単にやって来ない。運良くアイランドの家を買えたとしても、土地は州が所有しているため地域信託を通じてリース契約を結ばないといけないそう。
ニュースで気になるトロントアイランドのこれから
フェリーの老朽化問題
5艘あるフェリーのうち2艘を新しくする計画がもう10年近くも後回しにされている。なんと今使われている船は61年から114年ほど前に造られたものなのだとか。
2020年の予算は2500万ドルだったのに対し、今では9200万ドルまで膨れ上がっているそうだ。フェリーの種類においても課題が多い。もとはディーゼルからハイブリッドへの切り替えが考えられていたが、市議会は現在ハイブリッドよりも高くつくEVフェリーの導入を目指している。
2026年12月には1艘目がトロントハーバーに到着し、数週間後から客を乗せる見込み。2艘目は2027年の半ばの予定。既存するフェリーは毎年140万人の乗客を乗せているが、一度にもっと多くの客を乗せられるEVフェリーへの切り替えでその数字を大幅に増加させられることが期待されている。
本土と島を結ぶ橋ができる・・・かも?
トロント市議会議員ジョン・バーンサイド氏は本土とトロントアイランドを結ぶ橋の建設を呼びかけている。
今年の6月中旬に2艘のフェリーが修理に出され、減便せざるを得ない状況になったばかり。EVフェリーの導入も予算が暴騰する一方だ。バーンサイド氏が提案する橋は島同様、歩行者と自転車、救急車などの緊急用の乗り物を優先する。
もしアイランドに歩ける、またはジョギングかサイクリングできるようになればEVフェリーよりも温暖化ガス排出を抑えられるのでは?
橋を建てるのはもちろん安くはないが、EVフェリーのメンテナンスや充電、急な故障などを考えれば橋の方が効率的かも知れない。利用者を健康にしてくれるのも嬉しいアイデアだ。
トロントアイランドの25年計画
今年6月にトロントアイランドにおける25年計画が発表された。100もの提案からこれからの町づくりに大事な点を絞ったそうだ。
3つ大きな目標があり、その一つは先住民が祝いの儀式などを行う安全な場所を作ることだ。もう一つはHanlan’s Islandにおける2SLGBTQ+の重要さを守り、次の世代に歴史を語り継ぐ方法を生み出す方針。最後は1年中使えるアメニティや飲食店のオプションを充実させること、そしてウェルカムセンター(案内所)の建設も視野に入れられている。
今年3月、Ward’s Islandのクラブハウスが大火事で焼けてしまったことも踏まえ、コミュニティーが集まれる場所を再建することが住民の願いとなっている。
おわりに
トロントアイランドには別に目的がなくとも、ぶらりと遊びに来られて気分転換になるのが良い点。急に気が変わってサイクリングやウォータースポーツをしたくなったら、ギアをレンタル出来るのが気楽。ダウンタウンから本当に近いので1日でも休みがあれば是非行ってみてはいかが?

















