あなたは信じる?信じない?トロント大学とその周辺エリアにまつわる怖〜いお話
世界大学ランキングでも毎年上位に君臨するトロント大学。しかし、約200年前に創立されたというこの大学にまつわる怪談を知る者は決して多くない。この場所は、かつて殺人事件や死刑執行、自殺、戦争などで命を失った数々の魂が眠っている場所でもあり、時に学生たちの前にその眠れる魂たちが姿を現わすこともあるというのだ。今まで耳にしたこともない恐ろしい怪談の数々。これらの話を信じる、信じないはあなたの自由。さあ、夏の夜にぴったりの怪談ばなしをとくとご覧あれ。
ビショップ・ジョン・スターチャンはこのTrinity Collegeの創設者であり、1867年に亡くなった人物であるが、今もなお建物内で彼の姿が目撃されることがある。彼の命日である11月1日によくカレッジ内のホールに現れているというのだ。またチャペルでもしばしば白髪の女性とともに現れるようで、空中を漂っていたり椅子に腰掛けている姿が目撃され、その後あっという間に姿を消すのだという。
Ontario Legistlature
オンタリオ州議会のこの建物内には、少なくとも四人の幽霊がいるという噂がある。その昔19世紀中頃、もともとこの土地には精神病棟があったというのだから特に驚くことはないだろう。建物のホール内を彷徨うのは、物悲しそうな顔をした白い夫人、エプロンで顔を隠しているという女性の幽霊、怒った表情の兵士の幽霊。そして一番ゾッとするのは地下道でフックから顔を垂らしている、その名も「吊るされた女」だ。
Laid Law Library
1980年代、Laid Law Libraryの地下では土曜の夜にパブナイトが催されていた。イベントが行われていたある夜のこと、深夜1時半、夜間警備員のバリー・ブリーンは図書館内が完全に真っ暗になっており、パブナイトが終わっていたことを確認した。午前4時、ブリーンがある本を探しに行った時、図書館の3階まで全フロアに明かりがついていたことに気が付いた。彼はすぐに警察を呼び、もしかしたら誰かが図書館に押し入った可能性があると伝えた。
二人の警官が図書館へと到着し、館内を30分ほど捜索したが、誰かが押し入ったような形跡はみられなかった。ブリーンはもしかしたら職員の誰かが自動点灯の時刻を誤ってセットしたのかもしれないと考え、警官たちもその筋が最もだろうと判断した。後々判明したことは、その図書館に自動点灯装置は備え付けられていなかったということであった。
The Wallberg Building
エンジニアの勉強をしていたレオ・コミテールが一年生だった頃、レオはWallberg Building内の古い研究室の中で、友人とともに研究課題に取り組んでいた。彼らの実験がうまくいかずに困り果てていた時、見知らぬ男が音もなくそこに現れた。見知らぬ男は何か問題でもあるのかと二人に問うた。二人は突如として現れたその男に驚きを表しつつも、書かれている通りに回路を組み立てたのだが、予想通りには動かなかったことを説明した。するとその男は、ワイヤーをもう一度確認するようにと、二人に告げた。
言われた通りワイヤーを確認すると、そのうちの一つが壊れていたことに気が付いた。二人はワイヤーを新しいものと取り替え、無事課題を終了させることができた。お礼を言おうと、二人が辺りを見回した時、男の姿はもうそこにはなかった。その男について周りに尋ねてみたが、同じような人を見たことがあると答えた者は誰一人としていなかった。そして彼らが大学在籍中も、二度とその男の姿を目にすることはなかったのである。
University College
トロント大学の中心部に位置するUniversity College。アイヴァン・リズニコフとポール・ディアボロスは1850年代、石工として働いており、このUniversity Collegeの建設工事に携わっていた。ある日のこと、二人は一人の女性を巡って言い争いになった。そしてそれは言い争いに留まらず、ついに頭に血が上ったディアボロスはリズニコフを刺し殺してしまったのだ。ディアボロスは誰にも見つからぬよう、こっそり建設現場のどこかにリズニコフの遺体を埋めて隠してしまった。
それから二年後、University Collegeで大火災が発生した際、建物のほとんどが焼け落ち、瓦礫を掘り進めていた職員はある異変に気がついた。通気孔の中から骸骨が出てきたのだ!しかもその骸骨が身に着けていたものは、石工の印がついたベルトだったのである。それからというもの学校内には一つの噂が広まった。毎夜、リズニコフの幽霊が未だこの建物内をさまよっているのだと。
Hart House
ある冬の夜、遅くまで残業をしていた劇場のマネージャーであったポール・テンプリンはオフィスで仮眠をとることにし、警備員には起こさないでほしいと告げた。ポールが眠りについてしばらくすると、突然ドアが勢い良く開き、そのドアが仮眠用ベッドに命中した。その衝撃に気付きうっすらと目を開けると、ポールはドアのガラス越しに誰かがそこに立っているのを目にした。体を起こし完全に目を覚ましたところで、部屋中には真っ白な煙が立ち込めていることに気付いた。
急いで部屋を飛び出したポールは夜間勤務の職員たちを集めて、外へと連れ出しみんなを避難させた。現場検証の結果、電気火災が発生したとされ、ポールはあの夜自分のオフィスに他に誰かいなかったか周囲に尋ねてみたが、誰もその姿を見たものはいなかった。もしかしたら、彼らの命を救ってくれたのは幽霊だったのかもしれない。
Massey College
18年間このカレッジの校長を務めたロバートソン・デイビスは小説家でもあり、毎年クリスマスの夜に生徒たちを集めて彼が作った怪談話をするのが恒例になっていた。彼は冗談交じりに、いつか自分が死んで幽霊になったらこの校舎に化けて出てやる、と現在の校長に話していたそうだ。1995年にロバートソンが亡くなって現在に至るまで、学校に通う生徒らからは誰もいない部屋から奇妙な物音を聞いたり、生霊のような姿がふっと消えていくのを見るなど、数々の説明しがたい現象が起こったとの報告があった。これらを見る限り、どうやらロバートソンの願いは叶えられたようだ。
Christie Mansion
レジスカレッジに属するひときわ大きな建物であるChristie Mansionにはもともとクリスティー家が暮らしていた。そう、その昔“You make good cookies.”というスローガンでクッキーを販売し財をなしたクリスティー家である。家族の一人、ロバート・クリスティーもまたその家に暮らしていた。ロバートは自分の娼婦を建物内の窓のない部屋に数年間閉じ込め、監禁していた。最終的にその娼婦は気が狂い、怒り苦しんだ挙句、部屋の中で首を吊って自殺してしまった。
それから何十年か経ち、ある夜、一人の女性がその部屋に入ったところ、突然ドアがバタン!と音を立てて勢い良く閉まってしまった。女性はドアを開けようと何度も試みたが固く閉ざされたそれが開くことはなかった。数時間後やっと彼女の元へ助けが来た時には、外側からドアはいとも簡単に開くことができたのだ。もしかしたらこのマンションに住み着く何者かが彼女を閉じ込めようとしていたのかもしれない…。