People. 10 [後編] アートディレクター/ グラフィックデザイナー 岩本光平さん|カナダワーホリを超えて30代になった今
トロント生活に慣れた頃、デザインを通して「コミュニケーション」する相手のことをもっと知る必要があると強く感じました。そこで実際にトロントに住む人に話を聞いて深堀をすると今のトロントが可視化できると思い友人と「t.+」というメディアを立ち上げました。これは「トロントのスキに出会う」をコンセプトにしたカルチャーメディアで、街で気になる人や店に趣味嗜好やトロントについてインタビューし、まとめたものです。リアルなトロントが可視化され、新たな繋がりや知見が増えることで、「人種のモザイク」と呼ばれるトロントらしい「多様性」と出会いました。
ー日本との視覚表現の違いー
街中のクリエイティブは大きな括りでは欧米テイストですが、すごく多様的でミックスされており、シンプルで分かりやすいコミュニケーションが多いことが最も印象的でした。
2014年当時、フラットデザインやデータの可視化がトレンドだったことも大きいですが、カラフルな配色にインフォグラフィックやサイン・ピクトグラムといった手法で処理されたクリエイティブをよく見ました。トレンドはあるにしろ、やはり「移民の街」であり、ローコンテクストカルチャーが要因として大きいのではないかと思います。
育った環境や背景が違う人々にビジュアルコミュニケーションを図る際、何が一番効果的なのか。その答えの一つとして「シンプルで、分かりやすい」が、日本よりも注目されてるのではないでしょうか。当時日本が得意とした技術的な表現よりもUXの視点が重要視されていました。
「この街らしさとは何か」
現在ダイバーシティ化が進む日本。その中で注目されるインクルーシブデザイン的思考がトロントでは当時から強いのだと思います。そういった視点や表現の違いに、多くの学びがありました。
様々なデザインの定義がある中で、意匠よりも方法としての考え方を提唱する巨匠Milton Glaserの「現状から良い方向に導くプロセス」が僕のデザインの定義となっています。
ki design 代表.
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