日本人選手として初めてゴールを上げる大快挙!カナダプレミアリーグ York9で活躍する室伏航選手インタビュー|カナダで活躍する日本人

2019年8月25日 、FC Edmontonとの試合で日本人として初めてゴールを決めたYork9 FCのミッドフィルダー、室伏航選手。インタビューでは、ご自身の快挙についての心境や、現在に至るまでの経緯、今後の夢について語ってもらった。
ー日本人として初めて、カナダのプロリーグでゴールを決められたということですが、ご自身の心境や周りからの反応はどうでしたか?
正直にいうと、特にすごく嬉しいとかはなくて、自分の中では、遅かったなと思います。このチームにはサポーターがいないのでそんなに周りの反応も感じられなかったのですが、知り合いが喜んでくれたくらいです。家族からは「おめでとう」とメッセージをもらいました。日本でもこちらの試合は見られるので、ゴールを決めたことを知って連絡をくれました。
ーもともと順天堂大学のチームに所属されていて、シンガポールに渡り、今はトロントで活躍されていますが、移籍された経緯はどのようなものでしたか?
もともと海外で働くことに興味があって、大学を卒業した後はアメリカに行きたいと思っていたのですが、色々あってシンガポールになりました。
大学生活の中でサッカー選手以外のことを考えさせられる機会も多くて、英語を身につけておくこともサッカー選手を引退した後の選択の幅が広がるなと思い、シンガポールやカナダのような英語圏の国を選びました。子供の頃はサッカーで海外に行くならヨーロッパをイメージしていたのですが、段々現実的な考え方になっていきました(笑)。
ー移籍するにあたって、チームや練習の環境がガラリと変わったと思うのですが、移籍した当初の気持ちはどうでしたか?
シンガポールの時はチームがほぼ日本人だったので、外は海外だけど僕の周りの環境はほぼ日本みたいな感じでしたね。なので、トロントに来てからやっと全てが海外生活という感じで…。今はもう慣れちゃいましたけど、来た当初は新鮮で面白かったですね。
ーカナダのチームに移籍されて初年度ですが、カナダでの生活はどのように楽しまれていますか?
去年バンクーバーに一ヶ月滞在していたのですが、ハイキングスポットなどがあって良かったです。トロントは僕の家からダウンタウンまで1時間以上かかるのであまり都心には行っていなくて、チームメイトとご飯に行ったり喋るくらいですね。チームメイトとも日本の友達と同じようにいろんな話をします。
年齢の差を感じないのが日本と一番違うところ
ーチームに溶け込む際に苦労はありましたか?
僕の場合はなかったですね。でも、カナダでは年齢とかはあまり関係ないので、年下の選手から舐められているように感じたことはあります。年下の20歳のチームメイトから頭をポンポンされたことがあって、それにはちょっと腹が立ちました(笑)。でも慣れちゃえば大丈夫です。
年齢の差を感じないのが日本と一番違うところだと思いますね。大学の時とか、日本は歳が一つ違うだけでもすごく気にするじゃないですか。こっちはそれが全くないです。
ー選手同士は垣根がないということですが、監督やコーチとの関係はどうですか?
対等まではいかないですけど、そこまで壁は感じないですね。日本で監督って言ったら、すごく上の存在ですけど、こっちではフレンドリーに話したりもします。

言葉がなくてもサッカーで繋がれると感じられるのがいい
ー試合や練習で日本との違いは感じますか?
外国人とサッカーをやるのは結構楽しいです。言葉がなくてもサッカーで繋がれると感じられるのがいいなと思うところです。
難しいところは、細かいところのコーチングの要求があまり上手くいかないです。日本では言わなくても分かってくれるところや、もしくは一言言えば伝わるところが、こっちの人は育ってきた環境が違うから、意思疎通が上手くいかないところも正直あります。言葉でもっと細かく説明しないといけなくて、でもそれは僕の今の英語力じゃできないので、こっちが無条件で合わせるしかないっていう状況も実際にあります。チームにもよると思いますけどね。
ー言葉が違う環境のなか、室伏選手からチームのメンバーにプレーを要求したりすることもありますか?
結構します。お互いにですね。言うことは言いますけど、日本だったら分かり合えたことが伝わらないこともあります。なのでこっちが一歩引いて合わせるしかないなと思って、夏くらいから合わせるようにしてみたら(プレーが)良くなってきました。
ーこちらのチームに来て、印象に残っていることはありますか?
ハーフタイムとかベンチで(プレーを)要求しあったりすることが多いのが印象的です。うまくいっていない前半の試合後なんかは、建設的な話し合いとか、みんな黙っちゃうとかじゃなくて、むしろ喧嘩腰で話してますね。日本より試合中の会話が多いです。
プレーのしやすさでいうと、日本人同士なので多分日本の方がいいんですけど、楽しさでいうとまた違いますね。

日本人だからということで負い目を感じるような部分は考えないように
ーチームで唯一の日本人ということで、何か意識していることはありますか?
逆に日本人であることを意識しないようにしています。体格差とか、日本人だからということで負い目を感じるような部分は考えないように、だけど外国人枠ではあるので、助っ人としてもっとやらないとなっていう意識はあります。
それから、もっとゴールに関わるプレーをしたいなと思います。最近はディフェンシブミッドフィルダーといって少し下がり目のポジションが多くて。そこは監督にもオフェンシブをやりたいと言ってるんですけどね。
ー来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、これからサッカーが注目されるために何かしていきたい活動はありますか?
選手を引退した後、そういった活動はしたいなと思います。トロントに住んでいる僕の先輩にも、英語が喋れて、MBAを持っているから東京オリンピックに呼ばれて手伝いをするという人がいるので、そういう仕事に関われるのは憧れます。将来MBAを取れたら取りたいです。
英語ができればやりたいことの幅が広がる
ー監督になって選手を教えていくというよりは、全体を運営していく方に興味があるということでしょうか?

今はどちらも興味がありますね。それしか道がないというのもありますけど、引退した後もサッカーに関わる仕事をしていきたいですね。他に特技もないので(笑)。スポーツは好きですけど。でも英語ができればやりたいことの幅が広がるなと思っています。
楽しいと思える瞬間があるから続けてこられた
ーここまで来るにあたって、どのようにサッカーへのモチベーションを保ってきましたか?
正直、ずっと高いモチベーションでやってこられた訳ではないです。大学の時は怪我ばっかりで、その時は結構落ちましたけど、結局は楽しいと思える瞬間があるから続けてこられたというのが大きいですね。今も楽しいんですけど、高校生の時みたいに仲間と楽しくやっているサッカーとは違って、外国人に混じりながら、腹が立つこともあるような難しい環境の中で、生きている感じがするっていうか、刺激が多くて楽しいっていう感じです。
サッカーでいろんな国に行ける機会が持てるっていうのもあります。他のスポーツだったら難しいかもしれないんですけど、プロリーグが世界どこにでもあるのってサッカーが一番なんじゃないかなと思うので、それはラッキーだなと思います。
ー最後に、TORJAの読者にメッセージをお願いします。
これが掲載されている時期にはもうこちらでの試合は終わっていると思うのですが、何かの機会で試合を見にきて声をかけてもらえれば嬉しいです。たまにこっちでも日本人の方に声をかけられるので。どこかで見に来てください!

室伏 航選手プロフィール
シンガポールでのAlbirex Niigata在籍を経て、現在はカナダのプロサッカーチームYork9 FCにミッドフィルダーとして在籍する。2019年8月25日のFC Edmontonとの対戦において、カナディアンプレミアリーグで日本人として初めてゴールを上げ、歴史的快挙を上げる。












