ついにトロントで開催「世界で最も影響力のあるアーティストの1人」草間彌生 特別展 YAYOI KUSAMA: INFINITY MIRRORS
2016年、タイム誌に「世界で最も影響力のあるアーティストの1人」と言わしめた草間彌生。前衛の女王とも称される草間彌生氏は60年以上に渡り独創的な作風で芸術活動を続けている。「水玉模様」や「かぼちゃ」などの彼女を象徴するデザインに加え、無限の鏡の間とも言われる今回の連作、“INFINITY MIRRORS”もまたその代表作品の一つである。
今回の展示は世界を回る巡回展で、シアトルやワシントン、またストックホルムといった他都市で開催された同名の展覧会は全ての開催地でチケットが完売しており、その話題性は計り知れない。カナダではトロントのアート・ギャラリー・オブ・オンタリオ(AGO)が唯一の開催地となっている。
ドット、水玉、光…草間ワールドをカナダで体感
AGOはこの特別展を、今までに開催したどの展覧会とも似つかないものだとしている。会場に入ると来場者を待ち受けるのは白い小部屋だ。この空間を見て戸惑う人もいるだろうが、一度小部屋に入り込めばその様な不安は払拭され、来場者は草間による革新的な空間芸術の世界に没入することになるとAGOは説明する。
小部屋の中は全面が鏡張りになっており、そこに置かれたモチーフが鏡により無限に投影され、まるで万華鏡の中に入り込んだかの様に幻想的な空間を作り出す。会場には各作品について最小限の説明があるのみで、音声ガイド等により作品を知る手段がない。しかしこれはアーティストの意向によるもので、体験する人それぞれが自身の感覚で空間の旅に出るための措置となっている。
インスタ映えする幻想的な空間は20秒間の閲覧時間
この特別展に対して、開催前よりトロントの期待は大きかった。1年前からメディア上では度々内容が取り上げられ、注目の度合いが見て取れた。またチケットはAGOの公式HPよりオンラインで事前購入する必要があるが、会期前に数度行われた前売り販売では予約分のチケットは即日完売した。
展示場には全部で6つの作品が用意されているが、一度に部屋に入る事が出来る人数は2、3人。来場者はそれぞれの部屋に20~30秒間のみ滞在することが許されているなど、厳しい制限を設けた展示となっている。オンラインでのチケット販売は既に何度か行われているが、その度に即日完売となるケースが続いており、一部メディアではチケットの入手は不可能なのではないかという声さえ上がっている。
アデルやケイティ・ペリーも心酔
しかし幸運にも鏡の間を体験出来た人々の反応を見てみると、多くの人がその感銘を興奮冷めやらぬ様子で語っている。Instagramを始めとするSNSでは、ハッシュタグ#infinitekusamaや#kusamaに関連する投稿は日々増え続けており、無限宇宙の様な空間に置かれた自分の姿を写した投稿が多数見られる。他都市では既に多くの著名人も同展示を訪れており、アデルやケイティ・ペリーといった人気歌手による写真は多数閲覧され注目を集めている。
会場では鏡の間だけでなく、絵画や彫刻といった草間氏が人生を掛けて作り上げてきたその他の作品も見ることが出来る。また、特別展示とは別に、同美術館2階でも彼女の作品「ナルシスの庭」が展示されている(4月29日まで)。
今回のYAYOI KUSAMA: INFINITY MIRRORSは、実際に訪れた人のみ、その価値を実感できることだろう。特別展は5月27日まで開催される。
チケットはAGOのオンラインからのみ購入可能。発売日はAGOのウェブサイトにて随時更新されるので、こまめに確認しよう。