カナダ・ワーホリ 今昔インタビュー
清澤 洋子さん
約23年前にワーホリで渡加し、現在はカナダ人の夫 Neilさんとご結婚され一男一女のお子さんとトロントで仲良く暮らしている清澤洋子さん。インターネットや携帯電話もなかった時代、20代前半にして単身カナダへやって来た洋子さんに、カナダに来ることになったきっかけや当時の思い出をお伺いした。
◆ なぜカナダにワーキングホリデーとして来ることになったのですか?
簡単に言うと、インドで出会った今のカナダ人の主人とカナダで再会することを約束したからです。日本で短大在学中、どこか行き詰まりを感じていた私は、自身の向上や可能性を探すために日本の外へ出てみたいと思い、働きながら留学できる国として当初オーストラリアへワーキングホリデーに行きました。そこで1年間過ごした後に東南アジアを周遊旅行したのですが、その時に立ち寄った国の一つだったインドで朝早くに空港に着いてしまって佇んでいた私に声をかけてくれたのが今の主人のNeilでした。彼は、団体行動をした方が安全であるし、タクシー代も安くあがるからと、バックパッカーなどに声をかけて回っており、そうして私にも偶然声がかかったのでした。そのまま彼と1週間過ごしたりするうちに、彼と恋に落ち、彼の出身国であるカナダで再会することを約束しました。再会は1991年にバンクーバーで果たしました。その後、彼と一緒にバイクでトロントまで横断したことを覚えています。2か月後には一度日本に帰国し、それからもう一度カナダに戻ると決めて、翌年にはワーキングホリデーでカナダに再度戻ってきました。
◆ ワーキングホリデー期間中はどんなことをされましたか?
いろいろなことを沢山しました。英語がとにかく話せなかったので、ESLの学校には1年を通して2・3校通いました。それから、仕事をたくさん経験しました。初めに、ペルーやボリビアなどの南米の服を輸入したりするお店で働き、それからレストランのケータリングやシェフ、カフェ、そして雑貨屋、その後はベビー服の売り子などを経験しました。私は日本には帰らないという決意でいたので日系のお店で働くことは考えていませんでしたが、初めの仕事を得たのは、たまたま常連客として通っていた近所のお店の人から「働かないか」と声をかけられたのがきっかけです。それから、知り合いを伝って声をかけられるようになり、いろいろな仕事を転々としました。今振り返ると、当時つたない英語なりに一生懸命働く私を信用して声をかけてくれたんだと思います。
◆ 当時と今を比べて「違うな」と思うことはなんですか?
いろいろなことが違います。まず、当時はインターネットがなかったので、コミュニケーションは手紙とLong Distanceの電話でした。手紙は送ってから自分への返事が来るまで1~3ヵ月かかるようなサイクルでやりとりしていました。また電話は、当時、携帯電話もありませんでしたから、小銭をたくさん持って公衆電話に行き、時間と小銭の減り具合を見ながら話していました。小銭が切れてしまって話の途中で電話が切れてしまうこともよくありました。また、Japan TVもありませんでしたし、日本人が今ほどいなくて、日本食レストランもあまりありませんでした。日本人が増えてきたのは1998年頃からだと思います。その頃くらいから、いろいろな日本人の人や組織・団体などを見かけるようになりました。
◆ 20代を振り返って良かったと思うことは何ですか?
20代のほとんどをカナダで過ごしましたが、やはり日本を出て自立できたということが私の人生の基盤になっていて、それが良かったと思います。20代はとにかくいろいろな事にアンテナをはりめぐらし、必死にもがきながらいろいろな事に挑戦したので、今となっては忍耐力もつき、何事にも対処できるようになりましたし、人の気持ちもよくわかるようになりました。また人種差別も経験しましたから、自分は異国の地では「日本人」として自分の国を背負っているんだなということも学びました。その中で、他国と比べて日本という国を見つめ直していくうちに、日本のことを好きになりました。カナダ人は移民から成り立っていて、男女や年齢関係なく、自分の意見をハッキリ言うことができます。そういう意味で、世間体を気にしなくてよく、人付き合いが大変楽なので、カナダに来てよかったと思います。ただ、その代わり、孤独感や寂しさもあります。
◆ 20代にしておけば良かったと思うことはありますか?
ありません。今までやってきたことに余分なことはないし、全てが自分の身になっていると思うので、後悔はありません。ただ、海外やカナダに来ることなく、ずっと日本に住み続けていたらどうなっていたかなと考えることはあります。
◆ 今、ワーキングホリデーでカナダにいる 人たちに向けてメッセージをお願いします。
とにかく、自分のアンテナをはって、いろいろなことにチャレンジしてほしいと思います。また、日本人としての誇りを忘れずに、『自分は日本代表として来ているんだ』という自覚を持っていてほしいです。人間としても責任感を持って様々なことに挑戦しながら、カナダの生活を楽しんで下さい。
― ありがとうございました。