東の食の会
知らなかった支援のさまざまな形。
「復興の主役たちを支援する」―新しい東北の食から新しい日本を
HP : www.higashi-no-shoku-no-kai.jp
FB : www.facebook.com/higashinoshoku
東北から日本、日本から世界へ
「東の食の会」は、2011年6月10日の設立から、「東日本の食の復興と創造を長期的に促進すると同時に、自然と共存し、森羅万象から感じとる豊かな感性に基づいた日本の食文化を育み、世界に誇れるブランドとして確立する」ことをミッションとして、被災地の第1次産業従事者の支援活動を続けてきた。3年7ヶ月が経過した現在、現場の課題に目を向け、活動をシフトしつつ、さらに大きな目標を掲げて走り続けようとしている。
その目標は、活動開始から5年間で500事業のマッチング成立、それにより成立した事業と「東の食の会」プロデュースによる事業の累計で200億円の経済効果、そして目指す市場は世界だ。
東北を後押しするプロモーションを仕掛ける
「東の食に、日本の力を。東の食を、日本の力に。」をスローガンに、東北の農業と水産業を盛り上げる。直近では、昨年11月に六本木ヒルズアリーナで、オイシックス株式会社、カフェカンパニー株式会社と主催し「東京ハーヴェスト」を開催した。阿部農水副大臣、小泉復興大臣政務官が出席し、出場者を激励する。「東北の食材を使った鍋レシピコンテスト」を行い、35000人の来場者がそれぞれ好きな鍋に投票した。優勝した鍋レシピは「海宝ピリ辛つけ鍋」。アワビ、いくら、ホタテ、エビ、牡蠣の豪華な海鮮を、「アカモク」(※1)という聞き慣れない海草を漬けダレに食べる。全て東北自慢の海の幸だ。Oisix.comとオイシックスヤフー店上で一般販売された。
カッコいい『復興ヒーロー』-自立した人材の育成
こういったプロモーションと生産者と会員企業を繋ぐマッチング、2013年9月発売以来、30万缶を売り上げるヒット商品となった「サヴァ缶」(※2)をはじめとする商品開発プロデュース、そして人材育成が、活動開始から約4年が経過した現在、注力している活動だ。
東の食の会事務局代表の高橋大就氏は、「かわいそうな被災者ではなく、カッコいいヒーローを育てたい」と言う。開発する商品も、市場で他のメーカーと競争して勝てる本物の商品を目指す。それが市場競争において当たり前のことだからだ。被災という「下駄」が外れたとき、市場に残れないようでは、本当の復興はない。自分で商品を開発し、販路を開拓し、売上げをつくることのできる自立した人材を育てる。人材が育てば、震災以前に状況が後退することもくい止められる。
新しい農業・水産業の事業モデルづくり
支援活動を続ける中で、高橋氏は、現在の課題は震災前から東北にあったものであり、日本の地方は同じ課題を抱えていると考えている。震災で壊滅的な打撃を受けた東北の農業と水産業を復興する新しい事業モデルをつくることができれば、それは、日本の地方を再生する事業モデルとも成り得る。被災地から、日本の市場で売れる商品を発信し、復興を支援する。さらに、その事業モデルを応用して、日本の地方を盛り上げ、日本の食を世界に発信する。高橋氏は世界市場を視野に入れていた。「東」は東北、そして、世界から見て東に位置する(オリエント)「日本」を意味しているそうだ。実際、香港市場での手応えは悪くないと感じている。
成長する『復興ヒーロー』の志
また、高橋氏は、石巻市十三浜の若手浜人、阿部勝太さんの成長に手応えを感じている。例えば、何か引き合いがあった時に、自社の食材以外に、他の漁師仲間の食材も紹介するそうだ。ホタテだったらどこの誰で、牡蠣だったら誰それだ、というように。震災前は、「他の浜の漁師はライバル」だったのが、今は、「他の浜の漁師も仲間」で、ライバルは外にいる、と視野が広がっているのだ。「東の食の会」のHP上、『復興ヒーロー』のひとりとして語る阿部さんの想いの中には、「下を向き、過去にすがるのではなく、自分達が次世代の漁業をつくり、漁業から地域に、そして東北に元気と笑顔をつくっていきます。」とある。2人の子どもとその孫達に「あの人達がいたから、漁業は変わったよね!」と言ってもらえるような背中を見せたい、常に前を向きながら進んでいく、と決意が記されていた。
市場への挑戦と新たな課題への前向きな取組み
「たかたのゆめ」(陸前高田の新ブランド米)、三陸フィッシャーマンズプロジェクト(※3)で生まれた「デカプリホ」「アカモク」、ヒット商品「サヴァ缶」、トップシェフがプロデュースする「東北6県ROLL」(※4)と、「東の食の会」は東北の生産者とともに市場に挑んでいる。商品を市場に流通させるにあたって、「物流」の課題も出てきた。消費者に商品が届く、という当たり前の物流を確保・消費者に保証するには企業努力が必要だ。農業・水産業の復興、商品開発、販路開拓、物流、売上達成、と取組む課題は尽きないが、前向きな支援は、復興ヒーローたちの前向きな行動と応援する人の前向きな支援へと波及していくに違いない。
免疫力を高めるフコイダンと脂肪燃焼効果が注目されるフコキサンチンを豊富に含む、女性に嬉しいスーパー海藻。ネバリとトロミ、シャキシャキ感が癖になる。酢の物としてそのままいただいてもお味噌汁に入れてもOK。
※2 サヴァ缶
国産サバを丸ごとオリーブオイル漬けし、洋風料理にも合うよう仕上げたヘルシー缶詰。ユニークなネーミングとシンプルながら印象的なデザインとも相まって、30万缶を突破する大ヒット商品に成長した。第2弾を現在開発中。
※3 三陸フィッシャーマンズ・キャンプ
新しい水産業を担う次世代のリーダー養成を目指し、商品開発やマーケティングのノウハウの伝授、インターン・研修の場を提供する。月に1度、参加者による合宿も行われ、地域を超えた繋がりをつくる場にもなっている。
※4 東北6県ROLL
東北6県(青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島)の食材を使用して、7名のトップシェフがロールケーキをプロデュースするプロジェクト。2015年1月そごう川口店の催事に出店。完売ロール続出のうちに第1回終了。