令和7年 新年の言葉「在トロント日本国総領事 松永 健」|特集「令和7年新年の言葉と特別インタビュー」
明けましておめでとうございます令和7年の年頭にあたり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨2024年、日本とカナダの友好関係は大きく進展しました。特にカナダ全体の人口と総生産の約4割を占めるオンタリオ州では、日本企業による大型の新規または追加の投資や操業の開始等が相次いで発表され、歓迎されました。
パンデミック禍の期間中に中断されていた、日本とカナダの人々の友好を象徴する行事や、日本の食文化をアピールするイベントなどが、数年ぶりに実施されて、盛況を博しました。
また、カナダからの訪日観光客は世界的に見ても顕著に増加しており、人々は強い関心を持って日本の様々な場所を訪れるようになっています。日本とカナダの人々を結びつける流れは引き続き力強く、2025年、両国の関係をより高い次元へ押し上げる鼓動は、ますます大きくなっていくことが期待されます。
日本とカナダを取り巻く国際的な情勢は、より複雑化しています。昨年、世界の多くの主要国等で選挙が実施されました。これらに伴う変化は、国際的にも様々な影響を及ぼしています。
ロシアのウクライナ侵略は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序に対する重大な挑戦でありますが、2022年2月の開戦以来千日以上を経過して今もなお、収束しておりません。
日本周辺の安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑な状況にあります。中東情勢を含め、世界の地政学的な状況は、混迷の度合いを深めているといえるでしょう。
経済的な威圧行為、サプライチェーンの混乱等、経済安全保障に係る様々な懸念への対応も、引き続き急務となっています。AIに代表される革新的な先端技術は、人類社会をより良い方向に変革する機会をもたらしている一方、サイバー攻撃、偽情報の拡散等を含む脅威を増幅してもいます。
本年、私たちは、こうした諸課題に伴うリスクに対処しつつ、安定と繁栄への道を目指すことになりますが、本年は、主要先進国の指導者が国際社会の諸課題について討議するG7の議長をカナダが務め、また、人類共通の課題解決に向けた大阪・関西万博を日本が主催する年であり、両国の連携を一層強化する好機でもあります。日本とカナダという、個人の人権や法の支配等の基本的価値及び様々なビジョンを共有し、また、国際平和や開発協力等の諸分野で指導力を発揮している両国が協力関係を一層強めることは国際的にも歓迎されるでしょう。
2025年の干支は乙巳(きのとみ)であり、これは努力を重ね物事を安定させていくという意味合いを持つ年であるとも承知しています。本年、TORJA読者の皆様が、課題に粘り強くしなやかに対応され、目標を成就する素晴らしい年となりますよう、祈念申し上げます。
在トロント日本国総領事館としても、日本とカナダの友好関係の増進に携わる方々のお力になれるよう取り組んで参ります。
本年もどうかよろしくお願い致します。
令和7(2025)年 元旦
在トロント日本国総領事 松永 健