ANIME NORTH 2018 J-Rock Northに出演 ロックバンドBACK-ON インタビュー
力強い歌詞とパフォーマンスがカナディアンにも支持される
毎年大きな盛り上がりを見せるAnime Northで今年も日本人アーティストのコンサートが開催された。今年は日本から二人組ロックバンドBACK-ONが招かれ、5月26日にライブを行った。BACK-ONはこれまでにエア・ギアやワンピース、FAIRY TAILといった人気作品の楽曲を担当し、国内外で絶大な人気を誇る。今回はBACK-ONのメンバーであるTEEDAさんとKENJI03さんに音楽を始めたきっかけや楽曲制作の中で大切にしていることについてのお話を伺った。
ー音楽を始めたきっかけを教えていただけますか?
TEEDA:僕は小学校の頃クラスで音楽会があり、その音楽会に参加するためにオーディションを通過する必要があるのですが、それをドラムで通過しました。それからはドラムをはじめて、それからギターもやってみたのですがしっくりこなかったのでベースも始めてみました。その後高校に入ってからKENJI03に出会い、バンドを組んでラップに転身しました。学校でKENJI03に出会った時、タイプは違いましたがお互いに音楽をやっていることから繋がって友達になりました。
KENJI03:僕には7つ離れた兄がいるのですが、その影響で小学校の頃から洋楽を聴いて育ちました。僕は台湾とのハーフでもあり、いとこも台湾でローカルのミュージシャンをやっています。幼い頃から海外の音楽との接触が多かったので、その部分からの影響はあったと思います。
ートロントでのコンサートは初めてだそうですが、いかがでしたか?
TEEDA:最高ですね。カナダは気候も良く、様々な人がいるからなのかとても人情深く、親切な人が多いと思います。僕たちはバンクーバー等ではコンサートを行ったことがあるのですが、カナダ全体が日本人として見ても居心地がいいと思いますね。
KENJI03:たしかに、全体的に日本人に合っているなあというのは感じます。
ーデビューから16年が経ったそうですが、音楽制作において変わったこと、そして変わらないことはありますか?
KENJI03:最初の頃はデスクトップミュージックが無かったので、スタジオに入って音楽を作っていました。今はシステムがあるので作り方や段取りは変わりましたね。ですが、基本的に楽しんでやる、そして自分たちが思うカッコいいことをやるという想いは変わりません。
ーBACK-ONは様々なジャンルが融合したロックバンドと呼ばれていますが、幅広いジャンルを取り入れている理由を教えていただけますでしょうか?
TEEDA:色々な人に色々と言われることはありますが、僕たちが雑食系ですので、1つに絞って音楽を聴いてこなかったこともあります。その時のトレンド音楽を取り入れることも有りますね。
KENJI03:例えば、メッセージ性の強い曲を作ろうと思ったら『Dear Me』といういじめに関する曲があります。そうしますと言葉が立たなくてはいけませんので、曲調はバラードにしました。伝えたいことが特に強い曲はオケにしたり、オケが激しい曲は感情的な歌詞にしたりという形をとっています。だからジャンル分けはせず、その曲の方向性に合ったものを作るようにしていますね。
ー『Dear Me』もとても強い言葉がありますが、こうしたストレートな歌詞はある意味ご自身に語り掛けるような意識で作っているのでしょうか?
TEEDA:そうですね。結局こういう楽曲を作ってくれといわれると、自分の要素が無くなってしまいます。そうすると歌っているときに誰のための曲なんだろうと思ってしまいますよね。自分の好きなように、自分の言いたいことを込めるようにしています。
ーこれまで音楽活動を続けてきた中でお二人にとっての大きな転機はありましたか?
KENJI03:最近あったことで言いますと、メンバー二人が辞めたことが転機ですね。ですがそれをマイナスにはしたくありませんので、二人でできることは何かということを考えるようになりました。四人でできなかったことをやってみようというポジティブな気持ちはありますね。
TEEDA:実際に二人が辞めてからもマイナスなことはありませんでした。音楽はその時その時の形で出来るものですから、二人体制になったらなったで出来ることがあるなというワクワク感はありました。
ー二人体制になってから変わったことはありましたか?
TEEDA:KENJI03のまじめさに気が付きましたね。二人で楽曲を作っているのですが、僕が歌詞を作り、彼が曲を作るという振り分けが明確にできているのでお互いに任せ合い、とてもやりやすいです。
ー曲を作るときの順番というのはありますか?
TEEDA:トラックを作ってからメロディーを作ることが多いのですが、歌詞から入るなど色々なやり方があります。アニメの主題歌をやらせていただくこともあるのですが、その場合は監督さんからこういうイメージがある、こういうワードを入れて欲しいと言われることはあります。ですが、比較的任せていただけますので、イメージやキーワードを膨らませてそこにKENJI03が楽曲を作って歌詞を乗せます。アニメによりすぎますと、アニメだけの曲になってしまいますので、そうならないように気を付けています。アニメを見ている人にしか響かなかったらもったいないですからね。
作るときの流れとしては、週に3回くらいKENJI03のスタジオに行き、デモが出来たらメールでやり取りをして、レコーディングをしています。曲作りはゴールが無いからキリがありません。リリースした曲でも、ここをこうしたかったなと思うこともあります。でもその部分はライブで変えていますので、ライブの方がアップデートされていることが多いです。そのこうしたかった、という気持ちは曲にもよりますが、ライブによって曲が成長するのはいいことですし面白いですよね。
ーライブの際どういう気持ちで望んでいるのでしょうか?
TEEDA:自分たちの曲を広めたいのはもちろんですが、僕たちも楽しんでライブをやるので、お客さんにも楽しんでもらいたいという気持ちがあります。その中で歌詞の中にメッセージが込められていますので、響く人には響くだろうな、と思っています。
ー国内外で数々のライブをされていますが、日本と海外のお客さんの反応の違いはありますか?
TEEDA:海外の方が最前列から後ろまで楽しもうという感じがとても伝わってきますね。国民性の違いでしょうか。
KENJI03:確かに。ただ、日本は日本でノリがいいと思います。海外の方がトップギアが日本と比べて早いとは思いますね。日本はコンサート等で気を使ったりしますが、外国の方は自分が楽しむことを大切にしている方が多いのではないでしょうか。
ー音楽をやっている中で楽しいことを教えていただけますか?
KENJI03:こうしてトロントに来ることができたり、ライブができたり、というのが一番ですね。楽曲制作は楽しいですが、苦しいことも多いです。そういう意味ではそれが解放されるのはライブ。そのためにバンドをやっているなとも思います。僕は音楽の楽しさはライブから始まりましたので、それは今も変わりません。
TEEDA:音楽を通じて海外でライブをしたり、日本でも色々な場所に行き、色々な人に出会い、色々なお客さんに会うことです。僕はインドア派ですので、音楽をやっていなかったら家の近くで収まっていたと思います(笑)。
ーこれまでに制作した曲の中で思い出深いものはありますか?
TEEDA:『Chain』という曲ですね。メジャーデビューシングルでもあり、初めてアニソンに取り組んだ曲で、エア・ギアというアニメのオープニングで使っていただきました。海外に行くようになったきっかけの曲でもありますので、今でも大事にしています。ラップがAメロで、BメロサビがメロディーというBACK-ONを体現しているなと思います。
KENJI03:最近出したアルバムに収録されている『Clown』という曲ですね。二人体制になってから初めてのEPでしたので、音楽性も前の四人体制からもガラッと変わった曲です。色々な人の意見とかはあると思いますが、それは度外視して、自信のある曲ができたなという想いがあります。
ー今後の展望を教えていただけますか?
TEEDA:日本ではライブのキャパを上げていきたいと思っています。今もちょうどアルバムを作っているのですが、これからも定期的に曲を出して、楽しくライブをして、色々な国の人に聞いていただきたいです。端的に言いますと、今のアップデートをしていきたいです。
KENJI03:カナダで単独ライブをやりたいですね。その時は是非TORJA読者の方々にも来ていただければと思っていますので、僕らもパワーアップして戻ってこれるようにしたいです。
ー最後に読者へのメッセージをお願いします。
KENJI03:次にカナダに来る時はさらにアップデートしてきますので、是非ライブに遊びに来てください。
TEEDA:異国の地で日本を背負って頑張っている方は尊敬しますし、僕らも海外でライブをすることで、日本の音楽を背負っています。お互いに刺激しあって、日本のクールジャパンをそれぞれのフィールドで出していきましょう。
BACK-ON プロフィール
地元足立区の幼なじみMCのTEEDA、Vo/GtのKENJI03からなるユニット。ライブ活動は日本だけでなく、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、南米と世界各所から出演オファーが届きワールドツアーを開催。海外からも音楽性とライブパフォーマンスで高い評価を得ている。