North Pandemic Groove インタビュー
昨年に引き続きTD Toronto Jazz Festivalに出演し、それに伴い2週間のカナダツアーを行うなど日本のみに留まらず世界で活躍するNorth Pandemic Grooveの皆さん。山田さん、タイヘイさん、越智さん、工藤さんの四人に今回のイベントの印象や結成のきっかけなどを伺った。
トロントの印象について教えてください。
工藤さん(以下:工):自然も建物も全てが広大で圧倒されました。東京とはまた全然違いますね。トロントの方が好きなので、東京に帰りたくないです。
昨年に引き続きTD Toronto Jazz Festivalの参加に加え、カナダツアーも行われましたが、イベントの印象はいかがでしたか?全体的な印象を聞かせてください。
タイヘイさん(以下:タ):今年は去年と違う雰囲気のステージで演奏させていただく機会があり、たとえば小さなバーでの演奏ははじめてだったのですが、オーディエンスの反応を直に感じることができて良かったです。
山田さん(以下:山):去年のTDToronto Jazz Festivalの演奏を聴いて、今年も聴きに来てくださった方や、ツアーの演奏を聴きにトロントまでわざわざ来てくれた方もいたのがすごく嬉しかったです。
本番前はどのような気持ちで準備されましたか?
越智さん(以下:越):落ち着かなくずっとたばこを吸ってました。すごく緊張していましたね。
タ:そもそも日本と全然ちがいますからね。まず道具が揃っていなかったり、本番前にいつもくつろいでいるカフェもありませんし。カナダでのツアーでは演奏前にディナーを食べてから本番を迎えることが多く、普段は本番前にあまり食べないので本番への気持ちのつくり方の違いを感じられました。でも僕の場合はドラムの椅子に座るとスイッチがはいるのでそんなに問題はなかったです。
どのようにしてジャズバンドを結成することになったのですか?
タ:ジャズをバンドでやろうと言いだしたのは、ギターの門馬です。
山:もともと似た様な編成でセッションライブをやっていて、それぞれ音楽のジャンルは違いましたが、同世代で札幌にいたからなにか面白いことをやりたいな、と思って2年前に結成してそのままコンテストに出場しました。
ジャズは曲にアドリブをいれたりすることが醍醐味だと思いますが、どのように息をあわせて演奏されているのですか?
タ:たとえば日常生活の中で夕方になったらどちらともなくごはんに行ったり、一緒に行動していると自然と気持ちが一緒になっている感覚です。会話と同じように、もしこう演奏したらこう返してくるだろうっていうのがわかるのです。きっと今ふざけたり、ぼけたらそれにのってくる人とツッコミを入れてくる人とがでてくるだろうなって想像しながら演奏しています。
山:たとえば吹奏楽は一つの大きいものを作ろうとしていますが、僕たちの場合はやっていることは意外と個人的で合わなくてもいいと思っています。しっかり合わせるところはしっかりきめて、時にはわざとちょっとずつずらして遊んでみたり、合わせないことがジャズの醍醐味のようなところはあると思います。
スランプなど困難の切り抜け方や不調にならないように気を付けていることがあれば教えて下さい。
越:毎日がスランプです。きっとナイーブなんだと思います。ただ、高校生の時に聞いたエリック・クラプトンの言葉で「ライブの時は世界で一番自分が最高だとおもって終わったら最低だと思うこと」という気持ちの持ち方はそのときからずっと意識するようにしています。
タ:ノリノリな時期とダメダメな時期がありますが、ダメダメな時期が終わればステップアップができると思っているので不調が悪いことだとは思っていません。
工:不調の時は悪いところがみえてくるようになった時期だと思います。好調に感じている時も悪い部分というのは絶対あるもので、ただそこに目が向いていないだけだと思います。そこが見えるようになった時期だと思えばいいと思います。
さらに作曲もされていますが、どのような時に音楽のアイディアが浮かんできますか?
越:恋しているときですね。
タ:失恋したとき音がみえてきます。
工:お風呂に入っているときですね。浮かんだフレーズに後から肉付けしていきます。
山:ふと思いついたときにボイスメモに鼻歌を入れておくことはあります。特にこの時にという決まったときはないですね。
ずばりNorth Pandemic Grooveさんにとって音楽とは?
越:楽しいものです!
タ:僕は飽きっぽいのですが、唯一飽きないし、投げ出さないものですね。
工:コミュニケーション手段だと思います。昨日も地元の学生とセッションをして音楽を通して仲良くなることができました。
山:音楽の一ジャンル、楽しい仕事です。
TORJA読者にエールをお願いします。
山:せっかくチャンスをもらっているのだから、吸収できるところは吸収して有意義に過ごして欲しいです。バキッと決めるところは決めて、遊んで、すてきな体験にしてください。
工:僕も吸収が大切だと思います。今回カナダで演奏をさせていただいて、オーディエンスの反応など間違いなく日本では経験できないことをできたと思います。たくさんのことを経験して、いつか会えたり、ライブに来ていただけたら嬉しいです。
タ:自分自身にも言えることなのですが、こちらで頑張っていることを日本でもやればいいと思います。こっちでトライできるなら母国語である日本語ならもっとできるだろうと思うので、そうすればもっと有意義になるのではないかなと思います。
越:がんばってください!
northpandemicgroove.com
メンバー全員が北海道出身、20代の若手ジャズミュージシャン。日本の北(north)から、自分たちにしかない次の世代の音楽のグルーヴ(groove)を全国・世界へ蔓延(pandemic)させるべく、志と共にした5人のミュージシャン。2014年に札幌で行われた日本のジャズコンペティションで約300組の中から頂点に選ばれ、昨年に引き続き、TD Toronto Jazz Festivalに出演。メンバー各々が様々な分野で活動しているからこそ生み出されるクロスオーバーかつコンテポラリーながらポップな楽曲が持ち味のバンド。
2016年5月14日にリリースされたセカンドミニアルバム。各メンバーが、ジャズをベースにファンク、ソウル、ポップス、フュージョン、ラテンなど様々なジャンルをクロスオーバーさせた6曲が収録されている。会話をするようにテンポよく掛け合わされていく彼らの音楽は要チェック!