建築家 槇文彦氏 講演会
Asia Pacific Foundation of Canada, Asian Leaders’ Speaker Series
建築家 槇文彦氏 講演会
6月9日@ Aga Khan Museum
カナダのアジアへの経済投資活発化を促進する財団Asia Pacific Foundation of Canada 主催のAsian Leaders’ Speaker Series にて、2014年9月に開館したイスラム文明博物館Aga Khan Museum を設計・建築した日本の著名な建築家・槇文彦氏が招かれ、講演を行った。槇氏は、1960年から数々の建築・設計に携わり、建築界でのノーベル賞とも謳われるプリツカー賞をはじめ、多くの賞を受賞。その最先端かつ丈夫で繊細な建築作品は日本国内外で高く評価されており、近年の海外作品にはオタワのDelegation of the Ismaili Imamat やアメリカの名門大学であるMITのメディアラボ新館、またニューヨークの新しいワールド・トレード・センタービルである4 World Trade Centerなどがある。
槇氏は参加者と昼食会を楽しんだ後、スライドを使用しながら動画などを取り入れたプレゼンテーションを行った。プレゼンテーションでは、過去の設計に携わってきた建築作品の写真を紹介しながら、建築作品のスタイルやコンセプト、素材、アイデアなどに触れながら、各建築作品のイメージがいかにうまく立地環境と現地の人達と調和するかという点を最も重要としながら作品に取り組んでいることを述べ、自分の完成させた建築物が大衆の人達に喜ばれることに建築家としての喜びがあると語った。プレゼンテーション最後には、9/11テロ後に再建した4 World Trade Center のコンセプトや内観を動画で紹介し、ニューヨーカー達から賞賛されている様子が映し出された。
プレゼンテーション内で今回のAga Khan Museum 制作にも触れ、設立者であるイスラム教イスマーイール派第49代イマーム殿下より直々に頂いた手紙の文中に託されていた『光に細心の注意を払って欲しい』という願いに応えるべくデザインを考案したと述べた。建設作業に取り掛かる際には外壁に使用する白い花崗岩の入手が最も困難を極めたことを明かし、最終的に1年を費やしてブラジル産の「マルガリータ」という花崗岩入手に成功し、結果としてイメージ通りの外観が制作できたことに満足・安堵したと語った。また、本Aga Khan Museum 内中心に位置し自然光が差し込む館内パティオのCourtyard までは無料で入場できる造りとし、来館者が談笑したりくつろぐ場として有意義に活用されている姿に満足しているとも述べた。
講演後、槇氏は「昨年の開館時にも来館しましたが、その時と比べて現地の人や土地にだいぶ馴染んできたかなと思います。」とコメントを述べ、嬉しそうに館内を散策されていた。