トロントに日本から「柚子屋」と和包丁の「IRONCLAD Ltd.」が出展|メイド・イン・ジャパンでカナダを攻めろ!
すでにカナダ市場で取り扱われている自社製品を武器に、さらなるブランディングと販売強化に努める両社社長に聞く
世界で通用する食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の認可を取得
私どもは創業41年の会社でして、山口県の萩市に位置しております。萩市は、夏みかんやだいだい、柚子などの柑橘類が有名で、その特産品を使ってマーマレードやジュース、ポン酢といったものに、絞り柚子の果汁を加工、製造しています。
輸出はおよそ10年前から、私が2代目社長になった時に始めました。ニューヨークやロサンゼルスの展示会に出たのが最初ですね。輸出の主流商品は、柚子100パーセントの無塩柚子の果汁になります。これを今では世界40ヵ国ほどに輸出しています。和食がユネスコの無形文化遺産に登録された頃から、輸出の量も増えていきました。今では国内と海外の売り上げの割合は4対6で海外の方が大きいです。
会社としては農園もありますが、「FSSC22000」と「ハラール認証」というどちらも世界で認められる認定を受けています。「FSSC
22000」というのは食品安全マネジメントシステムで、日本ではあまり聞かないと思いますが、これを取得していることにより世界では安全な工場であることを認められます。
また、イスラム教の戒律に則って調理・製造された製品であることを認める「ハラール認証」は、マレーシアやUAE向けに、安心して購入していただけるように取得しました。 世界のお客様に弊社の工場がわかりやすくどんなものであるか、安心安全であることを伝えるためにはこのような取り組みが必要でした。
世界中の「NOBU」で使用
「NOBU」ではマリネ系のメニューやアイスクリームなどのデザートによく取り入れられているようです。製品自体はアジアより北米の方がウケがいいですね。出荷量で見るとアメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ポルトガルなどが多いです。
世界では日本食のフュージョンレストランが人気になっていますが、メニューの中に柚子の風味やテイストが入れば、日本そのものの香りを感じられるのではないかというストーリーが演出できるようになってきていると思っています。
無添加にこだわる
創業者である父が添加物や化学調味料がすごく嫌いだったこともあり、そのスタイルが取り入れられてきました。現在も全ての商品に化学調味料は一切入っておらず、全て無添加で作っております。北米で広がっているヘルシー志向の時代にもマッチしてきたのではないでしょうか。
スイスでは柚子ヨーグルトが人気!?
柚子を幅広く使ってもらいたい
当社の製品はスイスにも輸出していますが、手作りのヨーグルトに私どもの柚子の果汁を入れた柚子ヨーグルトを売っているのがおっ!と思いましたね。そしてそれが結構人気だそうです。工場も見学させてもらいましたが、こんなところまで柚子が来ているのかと感心しました。柚子は乳製品にかなり合うんですね。
ほかには流行っているのはカクテルですかね。私はよく焼酎に柚子の果汁を入れて飲んでいますが、初めて柚子のカクテルを飲んだ方は、すごく爽やかでさっぱりと飲めるという声をいただいています。
世界に認められている資格を取得している安心安全の会社です。ぜひ100パーセントの柚子果汁を使って、さらに柚子を美味しく召し上がれる料理を作っていただきたい、考えていただきたいと思います。
23歳でアメリカ縦断。ヒントを得て起業
23歳の時にアメリカを縦断した際にアメリカ人と会うたびに、彼らは「日本の製品はすごくいい」って言ってくれて。それで、いつか日本のモノを海外に出したいと思ったのが始まりです。
当時、鍛冶屋はこれから消えゆく伝統産業という記事を見つけました。それであれば私が海外に彼らの製品を売ることで、新しい仕事や雇用が生まれ、さらに技術が伝承されていくのであれば、価値があるのではと思いスタートしました。
最初から海外を相手にビジネスをすると決めていたので、現在では8割以上が海外の顧客です。初めてのお客様はカルガリーの方で、カナダの顧客は非常に多いです。
100人のうち10人が良いと思ってくれたらそれでいい
基本的に私は自分が欲しいものを作っているのです。だから、100人いたら100人にいいねって言ってもらう必要もないと思っています。10人が良いって言ってくれたらそれでいいんです。その代わり、その10人は「めちゃめちゃ好きだ、次に買うときもお前の製品を買う」と言ってくれる人たちなのです。
感動してもらえる切れ味を届ける
製品は日本人だろうと外国人だろうと関係なく、切った時にお客さんが感動してもらえるような切れ味を追求しています。プロであるなら満足させることは当たり前なので、一流になるのであれば感動させることができるような仕事を心がけています。
だから従業員に対しても細かいところまで厳しいです。それはなぜかというと、製品を手にした時に感動するような衝撃を与えるというのは、細部まで気を遣わないとできないので。製品は何も喋らないし、ただのモノだけれど、お客さんは手を通して作り手の思いがわかる、伝わると思っています。
カナダのシェフたちは探求心がある
カナダのシェフたちに関して言えることは、すごくいろんなことに興味があると思います。砥石を買って包丁を自分で研ぐ人が多い印象です。取り入れよう、経験しようという好奇心がすごく強いのだと思います。
昨今の日本では1本の包丁で全部できると思っていますが、本来は魚には魚の包丁があって、肉には肉の包丁が必要なんです。そういう使い方の違いを楽しむということをカナダの人たちから学んだので、これから日本の人たちに提案しようと思っています。いろんな楽しみ方があるんだよっていう。
僕の包丁で新しい経験を人間本来の楽しさを味わって
うちの包丁は使っていただけると分かりますが、切り口も全然違うし、食感も変わってくると思います。今まで経験したことがない経験ができるはずです。
フライパンにしてもそうですが、実際焼いてもらうと匂いも全然違いますし、すごくジューシーで焦げた部分もすごく美味しく作れます。
そもそも昔はみんな鉄のフライパンを使っていたんですよ。最先端のもの、便利なものだけを追いかけるのではなく、昔からあるものや、自分の手で作ることによって本当の人間本来の楽しさを感じることができると思っています。