濱口竜介監督映画特集が5月10日よりトロントで開催!
ロカルノ・シンガポールの国際映画祭で賞に輝いた『ハッピーアワー』・カンヌ・トロントの国際映画祭に出品された『寝ても覚めても』・監督の東京藝術大学映像研究科修了作品でもある『PASSION』が5月10日からジャパンファウンデーションと日系文化会館にて上映予定。
5月14・15・16日にトロントでQ&Aセッションを予定している濱口竜介監督に直撃インタビュー
ー今回トロントとモントリオールで監督作品の回顧特集が開催されることについての感想をお聞かせください。
『寝ても覚めても』『ハッピーアワー』以前の私の作品は、日本でもソフト化されているものはあまり多くはありません。日本では2012年ぐらいから徐々に特集上映を組んでもらう機会が増えましたが、それでも過去作にまで関心を向けて、観客に見せようと考える人が海外に出てくるということは全く考えていませんでした。そのようなことが起こるというのはこの上なく幸運で、光栄なことだと思っています。
ー昨年はトロント国際映画祭に出品、舞台挨拶なども行われましたが、観客らと交流を振り返ってみていかがでしたか?
トロント国際映画祭ではとても多くの観客に『寝ても覚めても』を見てもらえて感激しました。上映後にいただいた質問も、映画をよく見た上でしてくださっていることが伝わってきて、とても見識ある観客の集った素晴らしい映画祭に参加させてもらいました。
トロントの街もとても好きです。自然と都会、穏やかさと速さが一つの街の中に素晴らしく混ぜ合わされている印象です。朝起きて、ホテルからオンタリオ湖まで散歩をしながら美しい朝焼けを見たときにはこの街に住みたいと思いました。
ー代表作『ハッピーアワー』『寝ても覚めても』の作品について監督が注目してもらいたいポイントなどを教えてください。
どちらの作品でも最も見ていただきたいのは、魅力的な出演者たちの姿ですね。単純に演技の巧拙を超えて、その人自身の感情や、生きる力をカメラが写し取っていると思います。私自身、カメラの後ろで驚き続けたものが、スクリーンにもそのまま映し出されています。あとは、それぞれの作品のスピードの違いでしょうか。上映時間の長さの違いは、そのまま映画の速度感の違いにもなっていると思いますし、どちらにも固有の魅力があります。両方見ていただけたら嬉しいです。
ー回顧特集を通じてカナダの映画ファンに監督の作品がどのように感じてもらえれば嬉しいですか?
特集上映に足を運ばれる方の多くは『寝ても覚めても』や『ハッピーアワー』を先に見ていると思うのですが、過去作は確かにその2作につながったものを含んでいると思うので、それを発見する楽しさがあると思います。それだけでなくそれぞれの作品に「こんなものを作っていたのか!」と驚ける要素もあるのではないかと思います。こうした過去作を見ることで、私のこれから作る作品を楽しみにしてくれる人が増えたら、それはとても励みになることです。
ー読者にメッセージをお願いします。
今回は本当にありがたい機会をいただきました。カナダの観客とより長く、直に深く触れ合うことのできるこの機会に、皆さんからいただける感想や質問を心から楽しみにしています。 是非ご覧ください。
*『PASSION』 監督:濱口竜介/2008年/115分
大学時代の友人数人がレストランに集まり、あるカップルは結婚を発表する。しかしそこで男の浮気が発覚し、カップルは別々の夜を過ごすことになる。そして友人同士の関係にも変化が訪れる。
■ 国際交流基金トロント日本文化センター jftor.org
■ 日系文化会館 jccc.on.ca/en/
*モントリオールでの上映は下記参照
■ Cinema Moderne cinemamoderne.com
上映スケジュール【トロント】
5月10日: 『ハッピーアワー』第1部(ジャパンファウンデーション)
5月13日: 『ハッピーアワー』第2部(ジャパンファウンデーション)
5月14日: 『寝ても覚めても』+監督によるQ&Aセッション(日系文化会館)
5月15日: 『ハッピーアワー』第3部+監督によるQ&Aセッション(アリアンス・フランセーズ)
5月16日: 『PASSION』+監督とモデレーターによるMASTER CLASS(ジャパンファウンデーション)
*濱口竜介監督の映画『PASSION』上映後、濱口監督を壇上に招き、「Master Class」と称してモデレーターとのトークを実施。