国際結婚ストーリー 長潟 謙太郎さん × レベッカさん
日本人男性と生まれも育ちのカナダの白人女性の国際結婚。
文化が違うからと相手を否定するのではなく、相手の言い分をよく聞いて、理解をすることで、寛容になる気持ちを持つことが大切。
2000年にワーキングホリデーでハリファックスに来加、学生ビザに替わり、地元の大学を卒業された長潟さんですが、奥様との出会いと結婚までの経緯を教えてください。
長潟さん:ハリファックスの大学在学中に妻に出会いました。妻は日本語学習に興味があり、私も英語の会話相手を探していました。そんな時に共通の知り合いの紹介で妻と知り合い、Language exchange partnerとして週に何回か言語だけではなく、文化交流も含めて話し合う機会を作りました。2人にとって、お互いの文化の違いを教え合うことがとても新鮮なことだと感じていました。また価値観も当然違いましたが、それが逆によい刺激でした。このようなミーティングを重ねていく度に、お互いに好意をもち、自然に付き合う形となりました。その後2人で住むこととなり、生活を数年共にした後に結婚しました。
文化の違いなどが良い刺激になったとのことですが、結婚されて一緒に生活をするようになってからは、言葉・文化・考え方の違いなどはどのように感じましたか?また問題が生じたときはコミュニケーションをとっているのですか?
長潟さん:日常の夫婦生活では、ほとんど言葉の壁はありませんが、妻が時々専門的な言葉を用いるときは、その都度その言葉の意味を確認します。妻も辛抱強くそのたびに具体的な例を挙げ、分かりやすく言葉の意味を説明してくれるので、とても助かります。文化の違いについて、私達が一番感じたのは“Direct & Indirect communication”だと思います。私が感じるところ、妻は私に比べてより感情を表に出したり、思っていることをはっきりと口にしたり、常に意見交換を求めてきたりします。それに対して、私は細かいことまで意見するべきではないと感じていたり、感情を表に出さないことが美徳だという意識を持っています。そのことから、妻のシンプルで直接的な対話方法に対して、当初は戸惑いもありましたが、現在ではより相手の気持ちが分かるコミュニケーション方法だと感じ、現在はなるべく自分の考えていることを妻に伝えるよう心がけています。
カナダで生活をすることをお選びになっていますが、理由や良い点を教えてください。
長潟さん:私たちの場合、日本とカナダのどちらかに住むことを前提に結婚しました。どちらかが、移民として日本、もしくはカナダに移住すると考えたときに、カナダの移民の受け入れ土台の方が、私たちにとってより有益だと考えたのでカナダでの生活を選択しました。また妻の仕事の安定性と私の当時の仕事を比べると、カナダに住むことの方が、将来の見通しが出来ると判断したのも理由です。良い点に関しては、先進国の中でも福祉がとても充実していて、日本と比べても劣ることがなかったので、移民の決断をする判断要素になりました。私はこの国では外国人ですが、私の国籍、性別、年齢、出身地などにより、区別されることがないと聞きました。この情報がすべて正しいかどうか分かりませんが、今のところ問題はありません。
レベッカさんにとって、日本人男性とのおつきあい、そして結婚して良かった点や気付いた点などを教えてください。
レベッカさん:私は、彼が日本から来た外国人であるということを強く意識したことはありません。なので、日本人に対してと言うより、彼個人に対して気付いた点としては、細かい所まで目が届き、小さな汚れや、傷、隠れた情報まで、私の気付かないことを見つけてくれるので、とても助かります。しかし、たまに逆にそんな小さいことまで気にする彼に苛立ちを感じることもあります(笑)。
現在の家のサイズはそれほど大きくはないのですが、年月とともに物が増えていきました。その限られたスペースを有効に使うために、彼は日々整理整頓をしていますが、とても上手です。彼に言わせると、日本の家はコンパクトで、常に限られたスペースをいかに有効に使うかを考えていたからだそうです。また、彼は道徳やルールに少し過剰です。家に入ってきた虫を殺さなかったり、ゴミの分別ルールを厳守したり、交通の少ない交差点でも信号を守り、青になるまで横断歩道を渡らなかったりと、道徳心を持つことは大切ですが、時には融通を利かせることも必要だと言っています。
お二人が仲良く生活していくための約束事やルールなどはありますか?
長潟さん:約束事やルールは特にはありません。ただ喧嘩をしても翌日まで持ち越さないよう努力をしています。
国際カップルや国際結婚をしようと考えている方にメッセージをお願いします。
長潟さん:国際カップルの二人が将来を考えている場合、お互いの過ごしてきた文化の違いを2人で良く学び理解する事が大切だと思います。国が違うと価値観の違い、食生活の違い、金銭感覚の違い、言葉の違いなど様々な文化における相違点が見つかり、その事が原因で二人の間で衝突が生じる時があります。相手の全てを受け入れることは難しいと思いますので、まずはお互いの文化を理解することから次に進むヒントが見つかるかもしれません。私たちも結婚してから長い時間が経ちますが、いまだに文化の違いから意見がぶつかる機会が多々あります。とても難しいことですが、その都度、ただ単に文化が違うからと考え相手を否定するのではなく、相手の言い分をよく聞いて理解をすることで、少し相手に対して寛容になる気持ちが芽生えることもあります。またお互いの相違点の中で少しだけでも共通の部分や妥協できる点を見出すことが出来ることもあります。このような相互の理解を深めてゆくことで、最初の葛藤から2人で合意点を導き出せた場合は、よりグローバルな考え方になり、素晴らしいものになると思います。