国際結婚ストーリー マイケル・ブラウンさん × ブラウン裕子さん
結婚を機にカナダに移住して13年。
言葉・文化・考えの違いなど難しさを感じながらも、カナダにいるからこそ生まれた習慣を大切にしながら、国際結婚生活を送るご夫婦。
結婚を機にカナダに移住した裕子さんですが、言葉の壁や文化の違いなどはいかがでしたか?
裕子さん:言葉の違いはある程度覚悟していたのですが、食文化の違いは毎日のことなので大きかったと思います。結婚した当初はお互いに〝違い〟も新鮮で楽しかったのですが、だんだん回帰現象というか、慣れ親しんだものが良くなってきたりしました。例えば「あぁ…今日はシジミの味噌汁が飲みたいな」と思っても共感はまず得られません。お正月の過ごし方でも、なぜ大掃除をしなきゃいけないのか、なぜお正月の朝は早く起きて雑煮を食べなきゃいけないのか、どうしてぜんざいと漬物が食べたくなるのか、などなど理解を得るのは難しいですね。私としては、カナダにいながらも日本の文化を子供にきちんと伝えていきたいのですが、同じようには行かなくて衝突する場合もあります。日本と比較して不満を感じることは簡単だし、海外で生活していればそれは自然なプロセスだと思います。ただし、“Pick Your Battles”という言葉もありますが、自分にとって何が本当に妥協できないことなのか、それをはっきりさせて、それ以外のことには目をつぶる勇気が必要だと思います。ちょっと日本にいた時とは違うけれども新しい習慣が生まれることもあります。お正月はトロント本願寺に毎年行っています。それからカナダらしく夏にコテージに行く習慣もあります。海ではなく湖でのアクテビティを満喫したり、バーベキューや名物Kwarthaアイスクリームを食べたりすることは日本にはなかった楽しみの一つです。
そもそものお二人の出会いや、結婚の経緯はどうだったのですか?
裕子:職場の友人を通じて知り合ったのがきっかけです。お互いにいい年齢だったので付き合っていて、自然にそういう流れになりました。私の母からの強い後押しも結婚を決意するきっかけになりました。
10年以上のカナダでの生活や、子育てで感じていることを教えてください。
裕子:カナダに移って13年になります。日本では私は、職場などで〝大雑把なタイプ〟と言われてきましたが、カナダでは〝熟考タイプ〟と言われています(笑)。つまり、日本では根詰めて考える人がそれだけ多いということで、それがいい場合も多くあれば、悪い場合もあります。電車の時間が遅れても焦らなかったり、列にたくさんお客さんが並んでいても平気だったり、周囲の目を気にすることなく自分を出しやすかったり、私にはそんなマイペースな環境が合っていると思いました。また、カナダでは子育てがしやすいと思います。専業主婦が少ないのが理由かもしれませんが、ママ友同士のトラブルはあまり聞きませんし、学校の教育や規則も自由で柔軟性があるように思います。教科書がない、宿題の答えが何通りもあることなどに表れていると思います。
マイケルさんにお聞きします。日本人女性とおつきあい、そして結婚して良かった点や気付いた点などを教えてください。
マイケルさん:その答えを見つけるのには半年くらい時間をが欲しいね…(笑)。それは冗談として、新しい食べ物や、文化・習慣に触れることができるところや、文化や言葉の違いを通して、様々な物事の見方を学べるところが良いと思います。また、特に日本人の徹底ぶりには多くを学ぶこところがありますね。
育った環境も文化も違うお二人が仲良く生活していくために、約束事やルールなどはありますか?
裕子さん:我が家では、毎日夕食の前にグレースをします。特に信仰深い意味ではなく、何でも良いので感謝できることをいくつかあげるようにしています。この時に、普段はあまり表現できていないお互いへの感謝をあげることもあり、「あっ、こんな風に考えてくれていたのか…」と気づかされることがあります。それが良く言う夫婦の危機を乗り越える力になっているような気もします。
国際結婚の先輩として、国際カップルや国際結婚をしようと考えている方にメッセージをお願いします。
裕子さん:応援しています。頑張ってください!ただし、やはり国際結婚で日本に住まなくなると、日本に残っている家族に会う機会が少なくなってしまいます。日本に住んでいても自分の実家の近くに住まなければ同じでしょうが、やはり、海を隔てての海外、遠さを感じることが多いです。海外に住む場合は、孤立や、予想外のトラブルを避けるためにも、ご主人やご主人の家族だけでなく、自分の友人や職場など、できるだけしっかりした基盤を作って生活をすることをオススメします。