日本の牙城、アニメ、その行方は?|バンクーバー在住の人気ブロガー岡本裕明
年間5〜6回ほどアニメ関連商品を販売するイベントに出店していると「変わりつつあるアニメのセンターステージ」を意識せざるを得ない。アニメとは、と聞けば老若男女、一過言あるはずだが、その絵図は明らかに違う。アニメは日本のお家芸と言われたが、変質化する中で果たして本当にその勢いは続くのか、そしてどこに向かっているのか、覗いてみよう。
8月にバンクーバーで開催されたアニメ・レボリューションに今年も出店し、手ごたえを感じて終わった。このイベントは3日間の通しチケットを持っている人が過半なので3日間にわたり、同じ客が何度も店を訪れるという特徴がある。その為、我々は毎朝、売り場の商品をガラッと変えるし、商品は全部出さず、今日のテーマはこれ、明日はこれで勝負という具合にメリハリをつける。すると客も「あれ、昨日はこれがなかったのに」と手にするし、3日目もまた発見の喜びにつながる。
そんな中、個人的には店先に立ちながら顧客の目線、テーマ別陳列への興味の深さ、どれを手に取るかなどアニメオタクの心理や行動、動向を注意深く拝見させて頂いている。いくつかのテーマの中で売れ行きに目配せしていたのが中国発のアクションロールプレイングゲーム、「原神」の売れ行き。結論から言うとすぐに全部なくなった。
今、ゲームアニメは日本でも主流だが、「原神」や「崩壊」を売り出したmiHoYo社の成長は著しく、北米の雄であるElectronic Arts(EA)やActivision Blizzardと肩を並べつつあり、世界的規模にまで成長したと言えそうだ。
では「原神」のコンセプトは何処から来たのか、と言えば実は「エヴァンゲリオン」に他ならない。つまりエヴァこそ原神の原点であると言ってもよいのだろう。事実、我々が3日目の主力テーマの一つにしたエヴァの原画集は昨年までの白人系の人の強い引き合いから中国人に取って変わられた。これは客の動きをよく見ていないと見落としたであろう。
ところでACGという言葉をご存じだろうか?
Anime, Comic, Gameの略で中国や台湾で使われている言葉だ。だが、私はこのACGは別の意味もあるとみている。それは広義のアニメの歴史的変遷だ。アニメは動かない物体のコマ撮りによるもので日本では古くは1930年代から存在する。その後、コミックという形でマンガ産業が生まれる。アニメとコミックの違いは静止画を連続させて動かすアニメに対して紙面上でマンガの画そのものに効果線、構図、コマ割りなどを取り込むことで躍動感をつけたものがコミックとされる。70〜90年代はコミック全盛期で通勤電車で週刊ジャンプやマガジンなどを熱心に読むスーツ姿のサラリーマンは日本の風物詩ともされた。
そしてGame。これが近年目覚ましく変わったアニメ業界の姿だろう。
日本でジャニーズやAKBはひと時の勢いをなくしている。理由はいろいろだが、根本原因は90年代に入って「個の時代」に入り、2000年代には音楽のジャンルもインディーズ系など多様化し、テレビで家族が揃って同じ番組を見るという時代が終わり、音楽の深掘りが進んだことにある。いわゆる人気グループは国民的アイドルを別にすれば年齢層別に狭いファン層年齢に支えられる傾向があり、成長力としては疑問だった。そうみれば新しい時代の到来は待望だったとも言える。
そこに現れたのがゲーム系のキャラクター全盛期だ。そもそもは2007年の「初音ミク」で私もその時、飛びついた口だ。何故かと言えば人畜無害なのだ。リアルのタレントは人間故にいろいろなスキャンダルなどが起きる。それがウザいのだが架空の存在はそのような問題は一切ない。
これが更に進化したのがホロライブ、ラブライブといったアイドル育成ゲーム系にVチューバーの活躍ということになる。
要はゲーム系のキャラクターが歌や踊りをするわけだが、当然ながらリアルの声優さんがキャラクターの声を発している。声優さんのことをCV(キャラクターボイス)と称するのだが、バーチャルとリアル声優さんのコラボコンサートが爆発的な人気となっている。ドームなど大箱で開催するそれらイベントのチケットは取得困難だ。
これはとりもなおさず仮想の世界とリアルの世界の融合でメタバース的な要素が配合されているといってよいだろう。故に最近日本で初音ミクと結婚した男性が話題になっているが、生成AIが進展することでバーチャル上の彼女、彼氏、ないし家族と共に過ごすことを人々は歓びと共に受け入れるのだ。これは架空の話ではなく、リアルの話だ!会社から帰ったらゴーグルをつけてバーチャルのお相手と共に食事をする。そしてゴーグルをつけたまま寝入る。本人曰く幸せいっぱいでよく寝られるそうだ。そして朝、起きたらしばし、思う人とはお別れしてリアルの世界に戻るというのが最新の流れだ。狂っていると思ってはいけない。これがトレンドなのだ。
こう見るとアニメは誰でも知っている大ヒット作のマンガの時代からカスタマイズされた自分だけのアイドルが無限に生まれる時代になったともいえる。
かといって仲間うちでシェアし、盛り上がらないのも困る。よってある程度に絞られ、その上で惚れて、恋をして、結婚するという流れになるのだろう。すると初音ミクさまは一体何人と重婚しているのだろう、と想像するのは余計なことか。
アニメの世界は明らかに変質化し、日本のアニメの時代から「原神」など中国系を含め、市場の在り方は変わってきている。実に奥深い世界だ。
了















