日本語学習者や日本文化に興味がある人が集うサークルで部長を務めるエミリーさん|カナダと日本の架け橋ピープル|特集 トロント大学「U of T」
日本語を含め5言語を操り、外資系コンサル企業の日本支社に就職予定のトロント大学4年生の素顔に迫る。
台湾、カナダと国際的な環境で育ったエミリーさんの生い立ち
ー大学以前の学生生活ではどのようなことを学んだのですか?
バンクーバーで生まれ、生後すぐに台湾の台北に移り、現地のアメリカンスクールに通いました。
小学校1年生からフランス語を習得し始め、のちにスペイン語や中国語も勉強しました。日本語の授業は中学までなかったので、授業を選択し始めたのは高校に入ってからです。トロント大学に入る前は(英語を加えて)5つの言語を習得していたことになります。
ー日本語を学ぶきっかけは?
話し始めたのは高校三年生のときです。きっかけは旅行したかったのと、おいしい食べ物を食べたいという考えがあったからです。友達や家族と日本に旅行したときに日本語があまり使えなかったので、その時にちゃんと勉強しなきゃと思いました。
入学当初の日本語技能を図るプレースメントテストで、大学4年生のレベルに達していました。日本語の学習を続けられたのは、サークル「UTJA」(*1)で日本語を使う機会があったからです。
国際関係が学べるトロント大学へ入学、日本との接点を保つ
ートロント大学に入学を決めた理由はありますか?
もともと国際関係に興味があり、ここはトリニティが支えている歴史あるプログラムの評判が高かったからです。1年生向けのワン・プログラム(*2)に応募して入れたので、そこでもゼミ形式の活動をしていました。そして2年生のときに早稲田大学に交換留学に行きました。
ー「UTJA」の部活動はどのようなことをされていますか?
主に日本文化をアピールしたり、日本語の勉強をしたい人に向けてイベントを開催しています。日本語を話せなくても、部員として参加することができます。日本に旅行する予定がある人や、日本のカルチャーが好きな学生にもおすすめです。学外にもランゲージエクスチェンジを設けています。
2年次の交換留学先の早稲田大学では日本を満喫、トロント大学との違いも
ー早稲田大学での生活はどうでしたか?
楽しむことができました。トロント大学での2年生の授業は、レベルが格段に上がりますし、先生もすべての生徒の問題に対応することが難しいので、成績も下がりがちです。しかし私は早稲田大学で2年生を過ごしたので、レポートや試験を除いて学校生活を満喫していました。SILS(*3)というプログラムだったのですが、早稲田大学2年生の英語レベルを超えていたので、授業は3、4年生用のものを受けていました。そのときに就活のプレッシャーを先輩たちから味わっていましたが、東京や東北に旅行などができ、楽しかったです。
ーSILSではどんなことを学びましたか?
政治や国際関係、英語の授業がありましたが、特にテーマは厳格には分かれていません。そこからアメリカ政治や日本政治など関心のあるものを選べます。トロント大学で学んでいたことと関連はありましたし、早稲田大学はインターナショナルな学生に向けてよいプログラムを作っていると思います。
ートロント大学の授業と早稲田大学の授業では違いを感じることはありましたか?
早稲田大学の授業は最近世界で起きていることと関連付けて授業が進められます。しかし、トロント大学ではギリシャ政治やローマなど、過去の政治が主な感じです。新しい大学(早稲田大学)と古い大学(トロント大学)では、学生が学びたいコンセプトが違うからだと思います。また、学生のモチベーションに関しても違いを感じることはありました。
日本に就職後の展望
ー8月からお仕事も始まるそうですね。
既に就職後の上司やスーパーバイザーとは連絡をとり、チームも決めました。会社の範囲が広いので、ファイナンスやマーケティングなど様々なチームがあります。コンピューターは得意ではないのですが、ITのチームに入ることになっています。
ーその後のキャリアはどのように考えていますか?
いつか転職するか異動するか大学院に行きたいですが、働きながら考えようと思っています。今はこれからの仕事を頑張りたい気持ちです。
日本人の学生は、大学を卒業すると大学院に進むか就職するしかない印象です。世界中のみんなを見てください。卒業して1年間のギャップイヤーで世界を周る人もいます。世界中に友達を作って、たくさんの選択肢や道を探すことも考えることも良いと思います。人生の進路にプレッシャーを感じないで!と思います。
※注釈
1.UTJA…University of Toronto Japan Associationの略。学内の日本語を勉強したい人や日本文化に興味がある人に向けて様々なイベントやプログラムを実施している。また、英語を学びたい日本人向けにも、ランゲージエクスチェンジを設けている。
2.ワン・プログラム…トロント大学の1年生用に設置されたプログラムで、ゼミ形式の授業。普段3、4年生を教えている教授が指導し、選ばれた者だけが受講することができる。将来エリートの道が約束されているともいわれている?!
3.SILS…早稲田大学国際教養学部のこと。