数字で見るUofTトロント大学|特集 トロント大学「U of T」
2017年度にトロント大学に在学していた学生は全員で9万人以上というから驚きだ。その人数はまるで一つの街のよう。その内訳は、トロント市内中心部にあるセント・ジョージ・キャンパス(UTSG)に61,339人、西にあるミシサガ・キャンパス(UTM)に14,885人、そして東にあるスカボロー・キャンパスに13,853人という形で、セント・ジョージ・キャンパスに全校生徒のでおよそ7割が在校していることが分かる。また、そのほとんどが学部生であり、その数は70,890人。大学院生は19,187人在籍している。
アメリカ国内で学部生の数が一番多いのはセントラル・フロリダ大学で2017年度の時点で56,972人というから、3つのキャンパスを合わせた数はそれを遥かに超えている。まさに世界トップクラスのマンモス校だ。
トロント大学は北米にある他の大学と比べて正規の留学生が多いのが特徴。トロント市内にも多くの国や地域の人が共存し、その状態にも「文化的モザイク」という名前が付くほどだ。
そんなトロント市の中心にあるセント・ジョージ・キャンパスをはじめ、カナダ国外から来ている学生は3つのキャンパスを合わせて19,187人。全校生徒の21.3%を占めている。実に5人に1人がカナダ国外から来ているという計算になる。
Times Higher Education (THE)の大学ランキングで順位の近いカリフォルニア大学ロサンゼルス校(11%)やコーネル大学(11%)に比べても高いことがわかる。その留学生はなんと163もの国から来ているというから驚きだ。日本からの留学生も多く、192人で第9位。第1位は中国で、11,544人と圧倒的な数字である。2位のインド(1,027人)からも大きく離している。
3つのキャンパスには1,000以上ものクラブやサークルが存在する。その種類も実に様々で、運動系や文化系はもちろん、学部ごとの生徒会など学問によるクラブもある。中には「ハリー・ポッター」に出てくるスポーツにちなんだQuidditch Clubや、蜂の飼育を行う蜂同好会のようなBeekeeping Education Enthusiast Society(B.E.E.S.)など、珍しいものもある。
各クラブは毎年学校が始まる頃に開催される「クラブ・フェア」にて新たな部員を集めるべくブースを立ち上げる。日本の大学でいう「新歓」のような感覚だ。
このクラブの数の多さからも分かるように、学生が自らクラブを設立し運営するのはそう難しいことではない。このように、人を集めればすぐに活動を開始することが出来るのもトロント大学のように大きな大学の魅力の一つではないだろうか。
学部生が選択出来る専攻の数は700もある。トロント大学に在校しているほとんどの学生はダブル・メジャー(二重専攻)またはメジャーとマイナー(服専攻)を選択するので、その種類の多さにも納得がいく。
経済学や心理学など、メジャーなものはもちろんだが、中には珍しい専攻も少なくない。芸術に特化したマネジメントを学べるArts Management(スカボロー・キャンパス)や科学・技術を歴史および哲学的観点から学ぶHistory and Philosophy of Science and Technology(セント・ジョージ・キャンパス)など、その種類は多岐に及び、まさに自分に合った専攻の組み合わせを作ることが可能。
さらに、トロント大学では先住民や民族的・性的マイノリティなどの社会的少数者に視点を置いたIndigenous StudiesやDiaspora and Transnational Studies、さらにはWomen and Gender Studiesの専攻も選ぶことが出来る。大学院でも200ものプログラムがあり、トロント大学で学べる学問の分野の広さがうかがえる。
セント・ジョージ・キャンパスを中心に、3つのキャンパスには44もの図書館が存在する。それらの図書館には累計1200万もの書物があり、言語も341ヶ国語といかに多様であるかがうかがえる。その規模の大きさは北米の大学の中でもハーバード大学とイェール大学に次ぐ第3位。キャンパス内に数多くある図書館の中で、地理的にキャンパスの中心にあり、かつ図書館の中心的存在とも言えるロバーツ図書館は14階建て。大きな灰色の建物は別名「クジャク」や「シチメンチョウ」とも呼ばれている。また、2020年に完成予定の増築計画もあり、建設は今年の夏にも始まるそうだ。ロバーツ図書館以外にもガースタイン図書館という、主に理系に特化した図書館もあり、そこでは3Dプリンターやバーチャル・リアリティ(VR)など最先端技術を体験することが出来る。
世界大学ランキングでもトロント大学は依然高ランクを保ち続けている。中でも有名なランキング、Times Higher Education(THE)では世界22位、QS World University Rankingsの最新ランキングにおいては世界28位を獲得した。また、同ランキングでトロント大学はカナダ国内でトップの地位を保ち続けている。この結果を受け、トロント大学は「世界中の研究機関やビジネスリーダーによりその権威は認められている」とコメント。「学問の広さと深さを兼ね備えた教育機関」であることがトロント大学の強みなのではないかと解釈している。
さらに、同QS World University Rankingsの学部・学科別ランキングにおいてもトロント大学はトップレベルの順位を保ち続けている。2019年度のランキングでは、6つの分野において世界トップ10の順位を獲得した。それらは情報管理(3位)、薬学(4位)、運動生理学(5位)、教育(7位)、看護(7位)、そして解剖学・生理学(8位)だ。主に理系が多いものの、人文学(12位)や哲学(13位)など、いくつかの文系の分野においてもトップ15の順位を獲得している。
大学ランキングに加え、同じくQSが発表した「企業が採用したいと思う学生ランキング」でもカナダ国内でトップ、世界でも12位を獲得。Times Higher Educationによる同ランキングでも世界13位という高ランキングを獲得した。
このランキングの背景に、大学公式サイトではトロントにおける最新技術の発達を示した。
主にAIの分野において力を発揮しているトロント大学。それもあり、グーグルやサムスンといった世界の名だたる企業がトロントに研究拠点を置く動きが広がっている。
実際、Facebook、RBC、LG、Microsoftなどがトロントに拠点を置く、またはトロントの拠点を拡大する計画を練っているそうだ。これからますますトロント大学周辺のビジネスシーンから目が離せない。
国立台湾大学による2018年のランキングによると、研究成果などを基準にしたランキングでハーバード大学、スタンフォード大学、ジョンズ・ホプキンス大学に次いで第4位にランクインした。
トロント大学では1920年代初め、フレデリック・バンティング氏とジョン・ジェームズ・リチャード・マクラウド氏の2名によりインスリンが発見され、1923年にはその功績を称え二人にノーベル生理学・医学賞が与えられた。
さらに、1940年代になると今では一般的に使われているペースメーカーがトロント大学にて開発された。研究において常に最先端を走ってきたトロント大学。その権威は設立から200年経った今でも保たれている。
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