競技ダンス生活を通じて健康を維持する小野恵子さん × マッサージセラピスト青嶋正さん|プロアスリート対談

今回の対談相手は、トータル40年間の競技ダンス生活を通じて健康を維持しする小野恵子さん。アスリートにも一般の人にも通じる、体の管理の仕方を小野さんのダンス人生を通して教えてもらった。
青嶋: 小野さんは昔から体を動かすこと好きだったのですか?
小野: 小さなころから陸上競技は得意でした。小学校6年生のときにバレーボールのチームに入り、それからはバレーボール一本で、中学生のときには県の代表にも選ばれました。高校でも日本一とも言われる強豪校の練習風景を見てみたいという気持ちがありバレーボール部に属しました。
青嶋: 練習は相当厳しかったみたいですが、続けたのはなぜですか?
小野: 性分がやり通す性格だから。自分に負けるのが嫌いなんです。
青嶋: 体力的にきついとか怪我はなかったのでしょうか?
小野: きついけど、それは一時的なもの。飛び込みレシーブもそのときは痛いけど、若いからか一晩寝ると大丈夫でした。怪我もなく、あってもひび割れ程度ですかね。
青嶋: 時代の違いもあるのかもしれないですね。今は昔より身体のために練習を制限したり、トレーナーがケアをしているのにたくさんケガをする人がいます。でも、それだけ激しい運動をして小野さんや周りの方はケガをされなかったのですね。運動におけるパフォーマンスは高校時代で伸びましたか?
小野: もちろんです。筋力アップのトレーニングをしていましたね。
青嶋: そうなんですね。柔軟性を強化する運動をされてたんですね。ダンスはカナダに来てからですよね?
小野: はい。カナダに来てからバレーボールのチーム探してみたのですが、当時はアイスホッケー以外は特に何にもなかったんです。その後、主人と出会い、ダンスを始めることになりました。
青嶋: それから今に至るまでどのくらいの年月が流れているんですか。
小野: 40年くらいですかね。最初はソーシャルダンスで、今みたいに競技ダンスではなかったです。今はもうスポーツになっていますが、当時はマイナーでしたね。続けていくうちにパートナーを見つけるようになったのですが、わたしは運動能力があるからステップの覚えは良かったのですが、表現力が足りませんでしたね。

青嶋: 表現力の部分に気がつき始めたのはいつ頃からですか?
小野: 子どもが生まれてから15年後に戻って2~3年たってから良い先生についてもらった時に表現力も要求されるようになりました。試合を観にいくと40代の人たちは、動きの中から表現力が溢れ出てくるようでした。
青嶋: その表現力をどうやって手に入れたのですか?
小野: とにかく先生の踊りをマネしました。表現力は自分で出そうと思って出せるものではないんです。演技を一つずつマスターしました。ラテンとかは自分でセクシーに踊ろうと思うと行き過ぎてしまいます。音楽を理解して表現することが大事なのです。

青嶋: 私はダンスを教えることはできないのですが、表現力の面で、筋肉を左右均等にしてここをこうすれば動きやすくなるのではと考えアドバイスすることができます。実際に変化とかありましたか?
小野: もちろんです。足首のクッションや伸び大事ですし、緩めた方が楽になりました。
青嶋: 今まで緩めないで頑張ってきたわけですよね。力とかテクニックでごまかしてやってきた時代もあったのではないでしょうか?例えば、お尻の筋肉が緩んでないから腰を器用に扱えないとか…。そういうことはをコーチから教えてもらえなかったのでしょうか?
小野: そうですね。それは教えてもらえなかったですね。
青嶋: きっと小野さんとコーチの間では答えが見つけられないのでしょう。だからこそ私の仕事はそこに意味があるのです。ふたりを繋げるにはどうすればいいのか。これは小野さんだけでなく、どのフィールドのアスリートにも言えることなのです。フィギュアスケートのナム選手もそうでした。ナム選手は、ジュニアチャンピオンにはなったことがあるけれど、5~6年の期間スランプがありました。私は、トリプルアクセルが調子悪い選手のコンディションの特徴を、25年間フィギュアスケーターと関わった経験上よく分かっていたので、ナム選手の足首を緩めることに尽くした結果、調子が戻っていきました。
小野: ダンスでも足首の柔らかさは大切ですね。表現力を見直すまで、なぜ腕が伸びないのかなど、身体の仕組みまでさかのぼって考えていませんでした。疲れがたまってテープをしながらしてレッスン受けるのは、拷問でしかないですよね。
青嶋: そうなんです。でも、週3回ヨガに行くからといってもそれでは解決しません。きちんと問題点をフォーカスしていないから。
小野: 自分でマッサージができるのは良いことですよね。
青嶋: そうなんです。わたしのゴールはアイデアを小野さんにパスすることなんです。自分でマッサージしてもらえることほどいいことはないですよね。
小野: でも自分でやるのは限界があるから青嶋さんにマッサージしてもらえるのはとても助かりますね。トップレベルのコーチに習っているので、要求も高く、それに応えていくには普通の身体では難しいですから。
青嶋: 練習だけしていてもダメだと気付いたんですね。
小野: コーチに対抗するためには自分を高めていかないといけません。
青嶋: 踊っている時に、この膝がもっとこちら側にいってくれれば良いのにとか思ったことはあるのですか?
小野: ありますよ。キックバックのときは辛いですね。身体全体を動かさないといけないので、そういうバランスとって相手をリードするのは難しいですね。
青嶋: その発想にたどり着いたのはいつ頃ですか?
小野: 最近ですね。大会に出ていてもそこまでは考えてなかったです。走るのとダンスで踊るのとは全然違いますから。
青嶋: ダンスはいくつかのことが同時に行われていますよね。姿勢を保つことやコントロールすること、そしてそこに動かすことなど。
小野: 振り子みたいですよね。
青嶋: 主要関節をグニャグニャにできれば良いですよね。初心者でもそこから理解した方がきっと楽しめます。
小野: 関節が柔らかくなると歩幅が大きくなるし、スピードもでて体重移動がスムーズになります。
青嶋: 40年のキャリアをお持ちである小野さんから、ダンスをする人にアドバイスなどをお願いします。

小野: 初心者の人には、ダンスフロアに行って音楽をよく聴くことをおすすめしたいですね。どういうリズムなのかを理解するのが第一だと思います。それでやっと身体を動かしていきます。
中級になるとステップが難しくなってきますが、でもやっぱり大切なのは音楽を聴くことなんです。リズムをとるのは難しいですからね。上級の人は身体の動きを勉強し、音楽を使って動くことや音符と音符の間を読むことが大事でしょう。
青嶋: センスは大事ですか?
小野: センスよりも技術ですね。
青嶋: 技術ならシニアからでも努力でどうにかなるのでは?
小野: シニアのコンペティションを観ると体重移動ができている人はほぼいません。ステップを踊るのと体重移動は同じではないんです。
青嶋: 小野さんはそこをどう克服したのですか?
小野: 克服まではいってないけど、各関節に遊びを持たせています。
青嶋: 遊びをどう持たせて使うかが初級者か上級者の違いですね。
小野: 他のスポーツもそうですよね。それが理解できる人は少ないでしょう。
青嶋: 実際に一人のコーチが全部見るのは難しいですよね。だから分担しているチームは上手くいっていますね。もしくはコーチに何も言われなくても選手が勝手にやっているかの2パターンになります。
足首の硬さによって選手生命が失われてしまうアスリートもたくさんいます。一般の人だって足首緩めた方が良いに決まっています。老人の転倒もここに原因があります。
最終的なゴールはアスリートも一般の人も一緒なんです。わたしはこの考えを広めたいですね。
小野: 頭で身体の意識を変えていくのは大変だけどやらないといけないですよね。









