カナダ・ナショナル・バレエスクールに通う山崎春仁さん × マッサージセラピスト青嶋正さん|プロアスリート対談

不定期でお届けしているアスリート対談、今回のお相手は数多くの世界的バレエダンサーを輩出する名門バレエ学校、カナダ・ナショナル・バレエスクール(以下NBS)のプロフェッショナル・プログラムに通う山崎さんにお越しいただいた。3歳から始めたバレエを始めた山崎さんのストーリーとともに、これまで多くのトップバレリーナを施術してきた青嶋さんがアスリートにとって最善のコンディショニングを説いていく。
青嶋: バレエを始めたきっかけと当時の思い出を教えてください。
山崎: バレエは3歳から始めました。当時通っていたナーサリーのアフタープログラムにバレエがあって、母の友人からこれからどんなスポーツをやるにしてもバレエは身体の基本を作るのにおすすめだからやってみないかと誘われて。
先生からは幼少期とはいえ、楽しくというより妥協をせずバレエに真剣に向き合う態度を教わったと思っています。
青嶋: どうしてNBSに通おうと思ったのですか?
山崎: その先生からNBSのアソシエイトプログラムにボーイズクラスがあるから、チャレンジしてみればとアドバイスをもらったのがきっかけですね。
青嶋: 男の子だからホッケーや野球、バスケにサッカーなどのスポーツには興味は湧かなかったんですか?
山崎: 実はほかのスポーツもたくさん経験しているんです。ホッケーにテニス、水泳にスキーなど。
グレード6からはプロフェッショナルプログラムに進学しましたが、バイオリンやピアノもやりました。
青嶋: いろんな才能があったと思うけど、最終的にバレエが残ったのはどうしてでしょう?
山崎: ターニングポイントだと思えるのは、クリスマスホリデーシーズンに公演される「くるみ割り人形」にネズミ役で出演したことです。フォーシーズンズのステージに上がったあの快感はいまも忘れることはありません。あの日公演を終えた後、母に「とても気持ちがよかった。僕はバレエをやっていきたい」と伝えたそうです。
青嶋: 僕もバックステージツアーであそこの舞台に立ったことがあるけど、あの包まれるような感覚は快感ですよね。そこにパフォーマンスと観客の熱気が加われば、虜になってしまう気持ちもわかりますよ。
山崎: それともう一つは母が昔からバレエ鑑賞がとても好きで、よく連れて行ったもらいました。僕もパフォーマンスを観るのがとても好きになりました。
青嶋: バレエはバックグランドがないと楽しめないという人も多いと聞きますが、きっと山崎さんの場合は音楽もやってきたし、様々なことに取り組んできたから感受性が豊かだったんでしょうね。
山崎: 色々なことをやったことがバレエに役立っているのかもしれませんね。
青嶋: プリンシパルを務めたことがある方も同じようなことを言ってましたよ。
テクニックを魅せるというのはある程度の段階で到達できるのだけど、舞台の上で観客とつながることができる人というのがトップクラスなのだと。テクニックにプラスは何か…、いろいろなことをやっていたことがバレエに集約されていったのでしょうね。

青嶋: バレリーナの人たちは一箇所痛いところがあると全ての動きがダメになってしまうじゃないですか。常にパーフェクトなポジションの上に磨かれたテクニカルな要素が加わるわけですよね。
ほかの競技のスポーツ選手は例えば膝が痛くても歯を食いしばってやりますとかいう世界が一般的にあるじゃないですか。バレエではそんなのは通用しないですね。その中で山崎さんはカナダバレエ界を代表するNBSのプロフェッショナルまできたというのもすごいですよね。
山崎: いま17歳なんですが、3歳からバレエをやってきてほとんど怪我をしたことがないんです。
青嶋: 怪我をしないということは基本的に山崎さんのセンスやコンディションが良かったのだと思います。何か特別なことはやってきたのですか?
山崎: あえて言うなら小さい頃からコンディショニングには気をかけてきました。ストレッチをしたり関節を柔らかくしたりなどです。
青嶋: これまでほとんど怪我をしなかったというのは、身体がバレエに向いているんですね。自分でも自信があったと思いますが…。
山崎: でも去年初めて身体に痛みを感じるようになって今回青嶋さんを訪ねました。そこでここもダメ、あそこもダメと指摘されてびっくりしました。
青嶋: 指摘はどう感じましたか?
山崎: 目が覚めたような感覚でした。何かが間違っていたのかもしれないと。でも今見つけることができたということはチャンスが広がるわけですから。
青嶋: ポジティブですね。名門NBSの指導法は間違っているわけではないと思います。でも僕にこれだけダメ出しされてしまう、それが落とし穴で逆を返させばほとんどの人は気づけていない、そして講師陣の指摘もなければ見逃されてしまっているかもしれません。
実際に施術を受けた後の練習で身体の感覚などどうでしたか?
山崎: 正直にとても違う感覚を体感できました。筋肉がとてもリラックスしていて、とても簡単に身体を動かすことができました。

青嶋: 山崎さんは身体のことを勉強もしていたし、どこかで悩んでいたから気がつくことができたんでしょうね。本当はこういう風にやりたいという理想があって、でもごまかしながら身体を整えていたのでしょう。
青嶋: 例えば同じ足を上げるので一生懸命と軽々とは全然違いますよね。一回のマッサージでそういうことが起きたわけです。正直そんなすごいことやっているわけでないですよね。
山崎: それだけ身体が疲れていたということなんですよね。
青嶋: そこが問題です。ストレッチにも色々な方法がありますが、コンディショニングはできるだけ簡単な方が良いと私は考えます。そして小さくても良いのでその効果を確認することを怠らないというのが僕の方法です。
山崎: 今回診てもらって、よく考えることそして自分で問いかけることがいかに重要か分かりました。
青嶋: アドバンスクラスになってくると、テクニックとか動きはすでに頭の中ではできていると思うんです。でも、ある日できないことがあるとテクニックを磨こうとしますよね。そして練習をしているのに余計下手になっていってしまうこともあります。講師の指導が間違っているわけではなく、身体はインディビジュアル。いかに自分で自分の身体を知っているかが大切なんですよね。












