ラーメン雷神10周年!|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第53回
ラーメン雷神が、この12月で創業10周年を迎えることができました。これもひとえに、日頃から雷神をご愛顧くださっている皆さんのお陰に他なりません。心より感謝申し上げます。また、普段からお世話になっている業者様や従業員はじめ、雷神に関わる全ての方々、スケボー仲間、そして自分に勇気と活力をくれる子供たち、いつも支えてくれている妻に、この場を借りて千のキスを送ります。
わたしと雷神10年の歴史
ーバンクーバーからトロントへ
せっかくの機会ですので、今回は雷神と自分のこの10年の歴史を振り返ってみることにします。2012年、ワーホリ上がりの三十路の手前、英語もつたない自分がラーメン雷神の立ち上げの話をいただき、右も左もわからないまま、二つ返事でOKして、身重の妻と二人でバンクーバーからトロントにやってきました。長女の出産とお店のオープンが重なり、家族も友人もいない異国の地で、新生児の面倒は新米ママの妻にほとんど任せっきりの状態で、文字通りがむしゃらに働きました。しかしその努力も実らず、雷神は一年で別の会社に売られることになります。それがどういう事かも理解できずにいましたが、頭の中ではドナドナが流れていたことを懐かしくさえ感じます。
ー新会社での奮闘、共同経営者になる
会社の体制が一変し、現場と本部のはざまで、悔しさだけを原動力にやはりがむしゃらに働き続け、レシピ、メニュー構成、オペレーション、サービスなどお店のあらゆる事に手を出し口を出し、改善を推し進めました。いつしかラーメンにどっぷりハマり、マネジメントや経営に関する書籍や記事を読みあさり、ようやく収益構造の改善の兆しが見えはじめたあたりで、自分のお店を持ちたいという気持ちが芽生えてきました。
売り上げが右肩上がりで上がり始め、まとまった利益が出るようになり、お客さんが並んで待ってでも雷神のラーメンを食べに来てくれるようになったころ、当時の社長に退職の意向を伝えました。有難いことに、自分はこのお店に必要だからと、様々な好条件のオファーをいただき、交渉を重ね、最終的に自分が雷神の株式を一部買い取ることで、共同経営という形で雷神に残ることになりました。
ー移転と膨らむ借金・経費
2016年、新たな体制で新年を迎えることになりましたが、その3か月後、ビルの取り壊しが決定し、一年以内に退去しなくてはならない、という状況に陥ります。取らぬ狸の皮算用ということわざの意味を嫌というほど思い知り、現在のWellesleyに引っ越すことになるのですが、さすがはカナダ、工事の予算は当初の倍に、工期も当初の予定から半年以上延びてしまい、移転したころには会社の借金が膨らんでいました。
ーコロナによるパンデミックとアフターコロナ
そこから2年ほどで借金を完済したころ、さすがはカナダ、持ち主不明の電気メーターが発見され、それがどうやらウチの電気メーターらしく、これまでの未払い10万ドルを支払ってくれとビルの管理会社からのお達しが。さすがに分割にしてもらい、それも完済しかけた頃、やって来たのが皆さんご存知COVID-19。問題とは、予期せぬタイミングで突然やってくるものですが、ちゃんとタイミングをずらしてやって来てくれることに、もはや感謝の気持ちすら湧いてきます。
そんなコロナも乗り越えて、ようやく迎えられた10周年、さあこれからという気持ちに満ち溢れています。いまはかつての様にがむしゃらに働くのではなく、何のための仕事なのか、何のために雷神は存在しているのか、という根本的な問いを立て、会社のミッション、ビジョンを策定し、この先の10年、従業員とみんなでどのように豊かな人生を送れるかを考えています。
最後になりましたが、12月5日から9日まで、10周年スペシャルの酸辣湯ラーメンを提供致します。皆さんぜひお祝いに来てください。