賃貸契約の解約と退去に関する留意点|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第24回 】
1.賃貸契約の解約通知を行う
●固定期間契約の期間満了に伴う解約の場合
契約書上に記載された賃貸契約期間の満了=自動的に解約、ではありません。オンタリオ州の規定では、現在の賃貸契約期間が終わるまでにオーナーおよびテナント(入居者)双方ともに解約通知を行わない場合、当該契約は自動的にマンスリー契約に切り替わります(特に書面を取り交わす必要もありません)。そのため、固定期間の定められた契約において期間満了とともに解約したい場合には、満了日60日前までにオーナーへ書面(N9)による通知を行う必要があります。N9においてオーナーのサインをもらう必要はありません。
●固定期間契約における途中解約の場合
固定期間契約の途中で解約したい場合、途中解約できると特約事項(Diplomatic Clause)が定められている場合を除いて、基本的にオーナーは残存期間に対する賃料を求める権利があります(テナントは残存期間においてオーナー承諾のもとサブリースまたは名義変更をすることが可能です)。
人事異動などによりどうしても途中解約が必要になった場合には、オーナーと交渉し2か月分の賃料等のペナルティで解約可能か交渉を試みましょう。そのためにも日頃からオーナーと良好な関係を築くことは大切です。途中解約について双方が合意に達した場合には、 退去予定日60日前までにオーナーへ書面(N11)による通知を行います。N11においてはテナントとオーナーの双方がサインを取り交わす必要があります。
●マンスリー契約における解約の場合
マンスリー契約において、テナントは60日前通知によっていつでも退去が可能です。この場合、オーナーからの承諾を得る必要はありませんので、退去予定日60日前までにオーナーへ書面(N9)による通知を行います。
2.テナント保険の解約
退去日が決まったら、テナント保険に加入した際の保険会社に直接または保険ブローカー会社を通じて退去日を伝えましょう。自動的にテナント保険が更新されてしまうことを防ぐのと、途中解約の場合は残存期間における保険料を払い戻してもらいます。払い戻しの際には通常、手数料が引かれた上で残存期間に対する保険料が返金されます。
3.光熱費・インターネットの解約
退去日を最終日として、トロントハイドロやエンブリッジなど光熱費のアカウントを解約する必要があります。光熱費関連の手続きは時間がかかるため、退去日が決まったら早めに連絡をすることをおすすめします。アカウントを解約する手続きは電話またはオンラインで行うことができます。
最後の請求書(Last Bill)は皆さんがすでにトロントを離れた後に届き、当月か翌月に支払うことが多いかと思います。そのため、Pre-Authorised Payment(口座からの料金引き落とし)を設定されている場合には、最後の請求書は自動引き落としにしないでほしいこと、郵便での請求書を受け取っていた場合は最後の請求書はEメールで受け取りたいことを伝えます。
最後の請求書がEメールで届いた後は、電話または当該会社のサイト上にてクレジットカードを使って支払うことができる会社が多いかと思います。インターネット及びケーブルTVについては、契約している会社にサービス終了希望日を伝え解約手続きを行います。インターネットのWi-Fi BOXは通常、サービス終了後30日以内に会社へ郵送か店舗へ持ち込んで返却することが必要です。
4.銀行口座の解約
銀行口座の解約は本人確認が必要です。 パスポートなどのIDを持参して銀行の窓口に行き、帰国等によりトロントを離れるので口座を解約したい旨を伝えれば、10~20分程度で解約手続きを行うことができます。
銀行口座を解約してしまった後に、お部屋の退去手続きを行いオーナーからキーデポジット等の保証金を小切手で返却してもらった場合、これを預金することができないので注意しましょう。スケジュール上、銀行口座を解約してから、オーナーとの退去・鍵返却を行う場合には、キーデポジット等は現金で返金してほしい旨を事前に伝えておきましょう。
キーデポジット等の小切手を返却してもらってから銀行口座へ預金、その後口座を解約される場合でも、一定金額以上(例:2000ドル等)の小切手の場合は5営業日のHold期間等、預金化に時間がかかる場合もありますので併せてご留意ください。
5.退去手続き
退去の際に主に行うことは、お部屋に汚損等がないかの点検、鍵の返却、キーデポジット等保証金の返却です。トロントでは日本のように敷金がないため、この退去時点検でオーナーは色々と言うケースもありますが、不要な指摘をされたら、入居時に撮影したお部屋の状態や既存の汚損箇所の写真を見せて説明しましょう。
退去時は基本的に原状回復です。例えばシャワーヘッドを交換した場合などは元に戻した方がいいか、購入した家具はそのまま置いて行ってもいいのか処分する必要があるのか、など事前に確認しておきましょう。また、退去時のクリーニングについては、契約書にProfessional Cleaningを入れることが特に定められていない場合には、一般には自分たちで掃除しゴミを捨て、入居時のような状態にしておけば大丈夫です。
帰国直前になって慌てることがないよう、早めにオーナーへの連絡や手続きを済ませましょう!
スターツコーポレーション 増田利加
Starts Realty Canada, Inc