よくご相談いただく6つの事例|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第6回 】
相談事例 1
Q: オーナーから「この家を売るから出てってほしい」と言われました。どうしたらいいですか?
A: オーナーがテナントに対して契約解除・退去を求めることができるのは、オーナー又はオーナーの家族が入居する場合、もしくは売却した相手の新オーナー又は新オーナーの家族が入居する場合の二つに限られます。「売るから」というのは退去理由にはなりません。また、オーナーが口頭や簡単なメールで通知してきた場合、まずは正式書面で通知してほしい、と伝えましょう。
①現在の賃貸契約が1年(又はそれ以上)等、固定期間が定められている場合
→契約で定められた期間中は退去する必要は全くありません。またオーナーは契約期間満了の2か月前以上までに書面による契約解除の通知を行わなければいけません。
②マンスリー契約の場合
→オーナーは退去を求める日の2か月前以上までに、書面による契約解除の通知を行わなければいけません。
なお、オーナーはテナントに対して立ち退き料として1ヶ月分の賃料を支払うか、相当する代替住居を提供しなければなりません。例えば1年間の契約期間中の6か月過ぎた時点で、現オーナーが売却し新オーナーに変わった場合、新オーナーが居住する場合でも1年間の契約期間の満了まで追い出されることはありません。新オーナーおよび家族が使用しない場合には、前オーナーと結んだ賃貸契約書は契約期間満了まで有効となります。
相談事例 2
Q:来月に契約更新を迎えますが、オーナーから家賃を100ドルアップすると言われました。現在の月家賃は3000ドルです。これは正当ですか?
A: 正当ではありません。規定により、2018年中は1.8%の賃料アップの上限が決められています。そのため、3000ドルの月家賃ですと、上げ幅の上限は54ドルとなります。オーナーは勝手にこの上げ幅を超える賃料アップを要求することはできません。また、賃料アップは、契約更新の3か月前までにオーナーからテナントへ正式な書面にて行う必要があります。(例えば11月1日が契約更新開始日なら、8月1日までに通知)オーナーがメールで通知した内容は無効ですので、オーナーに書面による通知を求めましょう。なお、毎年8月前後に来年中の賃料上がり幅が発表されますので、今年の夏には来年2019年中の賃料上げ幅の上限が発表される予定です。
相談事例 3
Q: 契約更新に関して書面は必要ですか?
A: ケースバイケースです。オンタリオ州の規定では、1年間等の固定期間の賃貸契約が満了を迎えた際、双方確認より再度固定期間の賃貸契約を結び直さないか、契約解除をしない場合において、当該賃貸契約は自動的にマンスリー(月極)契約に切り替わります。そのため、新たな書面の取り交わしは必須ではありません。賃料アップした場合には、オーナーからの賃料アップに関する書面通知ならびに当初の賃貸契約書の2点を保管しておいてください。なお、テナントが最初の1年間の契約満了後、再度1年間の契約を結びたい場合には、オーナーに対して2か月以上前に通知を行い、書面による双方確認を取り付けるとともに、早めに新たな契約あるいは契約更新に関する書面を取り交わした方がいいでしょう。
相談事例 4
Q: 北米でのクレジットスコアが無いならデポジットを多く払ってほしい、と言われました。どうしたらいいですか?
A: 規定に基づき家主は最初と最終の月の家賃2ヶ月分以上のデポジットを要求することはできません。しかし、テナントが自分の意思・任意でデポジットを増やすならその限りではありません。現実にはデポジットを多く払うことによりオファーが通ることがしばしばあるため、テナントがどうしてもその物件を借りたい場合には、任意としてデポジットを支払うことも選択肢の一つと言えます。
相談事例 5
Q: 契約開始からまだ6か月ですが急に帰国することになりました。途中解約すると伝えたら、家主から残りの6か月分を払えと言われました。どうしたらいいですか?
A: 固定期間契約中に途中解約を希望する場合、テナントは残月分のサブリース相手を探すことができますが、これが難しい場合、オーナーが自分のエージェントを使って次のテナントを探し、次のテナントが入居開始するまでの賃料を負担する、というのがオーナーにとっては望ましい方法と言えます。次のテナントを探せた際の、賃料1ヶ月分のオーナーが支払うべき仲介手数料、ならびに次の契約開始までの賃料を負担する、と交渉するのが最もスムーズに解決する方法と思われます。
相談事例 6
Q: オーナーとの間のトラブルが解決しない場合、どうしたらいいですか?
A: オーナーとテナントの間でトラブルが生じ、当事者間で解決できない場合、「Landlord and Tenant Board」に行き、仲裁を訴えることができます。書面に訴えを記入し提出し、公聴会が開かれ審査にかけられた後、仲裁裁決が判定されます。訴え案件が多く、ケースによっては判定に数か月かかることもあります。テナント側の代表的な訴えは、オーナーが負担すべき修理をしない、不当退去を要求された(例:家族が住むと追い出されたのに一年未満で他のテナントを探していた)などがあります。オーナー側の代表的な訴えは、家賃の支払い遅滞、契約とは異なる入居人数による契約違反などがあります。
※弊社では、契約時のチェック、契約更新時の交渉、書面作成等も承っております。お部屋探しに関する疑問・質問、ご要望についてお気軽にご相談ください。
スターツコーポレーション 増田利加
Starts Realty Canada, Inc