カナダを代表する女性ハンター Amanda Lynn Mayhewさん インタビュー
カナダで生まれ育ち、女性ハンターとして活動するAmanda Lynn Mayhewさん。狩りをもっと女性に楽しんでほしいという思いから、自身で狩猟活動をするだけでなくRange Dayというイベントを定期的に開催するなど、狩りの楽しみや銃器の扱い方について認知を広めている。心身ともに強くたくましく生きるアマンダさんにその強さの秘訣を伺った。
ご自身がハンターになろうと思ったきっかけは何ですか。
私の家族、特に父親の影響です。特別なきっかけがあったわけではなく、私は小さい頃からごく当たり前にアウトドアを楽しむ機会がありました。また、父にとって兄も私も同じ子供であり、男だから、女だからといった理由でアクティビティを制限されることもなく、狩りにも連れて行ってもらっていました。なので生まれた時からハンターとして生きる運命にあったのだろうと思っています。
アマンダさんにとって狩りの魅力は何ですか。
自分が食べているお肉について知ることができる点や家族や友人と協力し合う中で得た繋がり、自然の中にいることで得る安らぎ、そして様々なことを自分1人でできるようになる、ということだと思います。
日本では狩りは気軽に楽しめるアクティビティではなく、特に女性で狩りを楽しむ人は非常に珍しいです。アマンダさんが女性ながらハンターになろうと決意された時の周囲の反応はいかがでしたか?
私はハンターになろうと決意してなった訳ではありません。ただ、自分で歩んできた人生の延長にハンターという活動があったのです。それにオンタリオ北部出身の私にとって女性でも狩りを楽しむということはあまり珍しいことではありませんでした。ただ、私がオンタリオ南部に移ってきて初めて狩りを楽しんでいるのは主に白人男性で、女性やその他のバックグラウンドを持つ人種の方には馴染みのないアクティビティだということに気がついたのです。
幸いなことに私が狩りをしていることに関して今まで差別的であったり否定的な意見を言う人に出会ったことはありません。むしろ、初心者の人たちがどのように始めたらいいのかとアドバイスを求めてきたり、猟銃に関する質問をされることが多かったです。その経験から実際狩りに興味はあるけれど、始め方がわからない人が多いということに気がつき、レンジ・デーというイベントを主催するようになりました。このイベントはハンティングライセンスを持っていなくても実際にライフルやショットガン、ピストル、アーチェリーを試すことのできる女性限定のイベントです。猟銃の扱いに慣れてもらい、狩りを楽しみたいと思える女性を増やすことを目的としています。
狩りをする上での障害とはなんでしょうか?その乗り越え方や狩りをしている間に考えることについて教えてください。
私にとっての狩りの天敵は蚊です!!どんなに工夫を凝らしても完全に蚊を避けることができないのが本当に辛いですね。ただただ耐えるのみです。狩りをしている時には、もちろん天候のことや自分がいるエリア、狩りのタイミングなど、その時の状況について考えていることが多いです。ただ、狩りでは長い時間獲物を待つこともあるので、そんな時には自分の過去や未来、子供や両親のことなど人生について思いを巡らせることが多いですね。他にも獲物を仕留めた際には持って帰るまでどれぐらいの時間がかかるだろうと予想することもありますよ。
狩りで得た獲物はどうされているのですか?
自分で捌いてしっかり食べていますよ。食べきれない分は冷凍して友人や家族に分けたりもしています。
狩りに使用される銃器は時に人に危害を与える危険性を伴いますが、アマンダさんは銃器をどのように選び、適切に保管されているのでしょうか?
私は父から銃器の適切な保管方法を教わりました。私の銃器は銃専用の保管庫で乾燥剤と一緒に施錠されています。そのため、銃がさびることはありません。私が銃器を取り出すときは射撃場での練習時か銃についている双眼鏡を使う時、または実際に狩りに行く時だけです。常に手入れを怠らず、一度使用した後にはしっかり綺麗にしてから保管庫に入れています。銃器を扱うためには全てのルールをしっかりと守ることが重要ですし、それが習慣になることが理想ですね。例えば、銃口は必ず下に向け、人には向けないこと。常に弾が装填されているように慎重に扱うこと。自分の行動を明確にし、銃器を誰かに渡す時には銃身に気を配ること。そして本当に打つタイミングがくるまで常に指はトリガーから離しておくことです。
アマンダさんが狩りをする際、自然や野生動物と共存するために気を付けていることは何でしょうか。
私が自然の中にいる時は細かなことも含めて周りの全てに注意を払っています。例えば空気や臭い、動物や鳥の気配、そして最も重要なのが音です。感覚を研ぎ澄ませ、注意深く聞くことで朝日が昇ると同時に自然の中の木々や草花など世界全体が目覚める音を聞くことができると思います。そしてそれは何よりも美しく平和的で、その空間を保つことが共存のポイントだと思います。
アマンダさんは狩り以外にはどんなアウトドアアクティビティを楽しまれますか?
外に出るアクティビティであればなんでも好きです。ハイキングやキャンピング、サイクリングはもちろん、車でオフロードに乗り込むロードトリップ、さらに家庭菜園や外で運動することも大好きです。外で過ごせる時間はどんなことでも私にとって価値のある時間に感じられます。
非常に活動的なアマンダさんですが、心身共に強く美しくあるために日々の生活の中で心掛けていることはありますか?
私は強くあるために運動できる場所や時間を見つけたら、とにかく少しでも運動するようにしています。立っていられる時には立つようにして、常に階段を使うようにしています。また5分でも時間があるのであれば、腕立て伏せやスクワット、ジャンピングジャックや腹筋などの運動をするように心がけています。他には食生活では野菜や果物を多く摂るように気を配っていて、お肉はできるだけ脂肪分の少ないものや自分で狩ったゲームミートを食べるようにしています。ジムには週3日〜5日通い、毎日必ず5キロ歩くか走って有酸素運動を取り入れるようにしています。自信は経験や知識についてくるもので、皆さんが熱中していることやできると信じているものがあれば自然とついてきます。
また私は内面的に強くあるために、いつも前向きで笑顔でいるようにしています。笑顔でいることは周りの人にもポジティブな影響を与え、最終的には自分にも返ってきます。なので私は常に自分が笑顔になれる何かを探すようにしています。さらに笑顔でいることと自信を持つことはとても似た感覚でもあるので、皆さんに自信がついた分だけ、もっともっと笑顔でいられると思いますよ。
日本ではまだ女性の社会進出に関して保守的な考えが根強く残っています。カナダでも狩猟に関しては男性が高い割合を占める中で、どのようにモチベーションを保って狩りを続けているのでしょうか?こういった固定観念をなくすべく、日本の読者に向けて一言お願いします。
私がハンターであり続けるのは純粋に私自身が狩りをしたいからです。それに性別のせいで自分のやりたいことが制限されるなんてことを今まで考えたことがありませんでした。人生は一度きりだからこそ、自分が本当にやりたいと思うことがあるのなら、挑戦するべきだと思います。ただ、挑戦するときには決まり事や制限、法律など、必要最低限の知識を持ち、その上でイベントなどに参加して、セミナーでさらに知識を深め、その道のプロに質問したり、とにかく自分がやりたいことを実現するための方法を見出すべきです。
今後挑戦したいことはありますか?
私は今まで特別に挑戦したいことを決めてそれに取り組む、というようなことをしたことがないので、この類の質問に答えるのは難しいですね。強いていうのであれば、いつかChuck Norrisと一緒に狩りに出かけてみたいということでしょうか。これまでに彼と彼の奥さんと一緒に何度か夕食を食べたことがありますが、私自身はアメリカでの狩りをしたことがないので、彼と一緒にアメリカで狩りに出かけることができたら素敵だと思います。
この夏にアウトドアや狩りを楽しむためのアドバイスをお願いします。
当たり前ですが、アウトドアを楽しむには場所を決めて外に出ることが重要です。ただ、場所を決めた後には出かける前にそのエリアではどんなアクティビティが楽しまれているのか、有名なスポットや旅行者向けのエリアはあるのかなど簡単にリサーチすることをお勧めします。その後はそれぞれのアクティビティに必要な道具を準備しエリアを周る計画を立て、無限大の可能性を秘めたオンタリオ州の自然を満喫してください。
私はオンタ それでもなお新しく行ってみたいスポットを見つけるくらいですよ。夏に楽しんで欲しいアクティビティは間違いなくキャンプです。狩りは夏の間はオフシーズンで挑戦することができませんが、私が主催しているレンジ・デーなどの週末に開かれているアクティビティに参加したり、射撃練習場を訪れてみるのも楽しいと思いますよ。
Range Day 5月13日
レンジ・デーはハンティングライセンスを持っていない女性のためのイベントで、参加者はピストル、ショットガン、ライフル、アーチェリーを手に取り実際に使ってみることができる。2011年にスタートして以来、800人以上の女性が参加しており、リラックスした環境で普段使用できない銃器に触れることが可能で、イベント後には実際にライセンスを取得し狩りを始める女性もいるほどだ。開催場所はオーウェンサウンドで、登録費として60ドルが必要。登録費には無制限の弾丸、お楽しみ袋、昼食、賞金獲得のチャンスなどが含まれている。
Amanda Lynn Mayhew
アマンダ リン メイヒュー
amandalynnmayhew.com
オンタリオ州北部で育ち、アウトドア好きな父から銃器の扱い方を教わり、様々なアクティビティ活動を通じて女性ハンターの道へ。狩りをもっと女性に楽しんでもらおうと、Range Dayというイベントを主催し、銃器の扱い方などを教えている。また、今では女性ハンターとしてだけでなく、カナダで最も有名なアウトドア活動家としても知られ、JustHunt TVの司会を務めている。狩猟活動のほかにも釣りやキャンプ、ハイキングなど様々なアクティビティ活動を楽しんでいる。