W杯の少し苦い思い出|#編集部ブログ
ちょっとシリアスな話。
男子ワールドカップが今月開かれることで思い出した話。これは2015年の7月、なでしこジャパンが女子ワールドカップの決勝戦でアメリカと対戦した時のこと。当時、ロサンゼルスに住んでいた私と主人。リトル・トーキョーという日本人街にあるバーで観戦しようと入り、席に案内されたと同時にアメリカが試合開始からわずか3分で先制。その瞬間、隣のテーブルでがっかりしていた日本人の男女3人が私達を見るなり、
「敵だよ、敵〜」
と日本語で言いました。
私はもちろんカチンときましたが、とにかく冷静でいようと無視することに。それに私は生粋の日本人なので、状況がよく掴めず。沖縄人によく間違えられるメキシカンの主人には一応英語で通訳しましたが。
その後も日本が負ける中、彼らの会話からまたも「敵に聞こえるから〜!」のようなセリフが笑い声まじりで聞こえてきました。ちょうど彼らが椅子をもう一脚探していたとき、私は日本語で「この椅子使ってないんで、どうぞ〜」と満面の笑顔で話しかけたところ、彼らの「しまった」といわんばかりの表情を目にすることとなったのです。私は完全に外人だと思われていたらしい。
差別用語ではないけれど、戦争でもないのだから「敵」だなんて正直呼んでほしくなかったです。なんせあの男女も「敵国」に住んでいるのだから。私はインター出身で、周りの知らない言語で会話する都合のよさは理解出来ます。でもやっぱり、時間と場所をわきまえるのは大事!言語を使い分ける便利さの反対側にはその言語が理解できる人も周りにいること、そして傷つく人もいることもしっかり理解してほしい!
以上、バイリンガルのぼやきでした。
写真はリトル・トーキョーでの一枚。
伊藤可奈
ヨガインストラクターと日本語講師をしている兵庫県出身の兼業主婦。趣味は散歩、ビンテージショップ巡り、古本屋さん巡り。子供を連れて街の写真を撮っている背の低い日本人お母さんをもし見かけたら、それは多分私です。