【第20回】コロナ禍の国際結婚とマリッジ・コントラクト|カナダの国際結婚・エキスパート弁護士に聞く弁護士の選び方
コロナ禍での遠距離婚約者たちが、マリッジ・コントラクトの作成を選ぶことが増えています。
COVID-19の蔓延は、遠距離カップルに大きな影響を与えました。しかし会えない時間が愛を育み婚約に至ったカップルもあります。また、予定していた結婚披露宴を延期せざるを得ない婚約者たちもあります。そんな遠距離婚約者たちは、なかなか目処が立たないふたりの生活への苛立ちを抑えながら、自分たちなりに準備を進めているようです。
そこで今回は、リモートでオンタリオ州の弁護士に相談し、マリッジ・コントラクトを作成する方法について、エキスパート弁護士ケン・ネイソンズに聞いてみました。
Q マリッジ・コントラクトって何ですか?
マリッジ・コントラクトとは、結婚が破綻した場合の金銭問題の取り決めをあらかじめ文書にしておくものです。事実婚の場合にもコーハビテーション・アグリーメントと呼ばれる同意書を作成することができます。
日本人には馴染みの薄いマリッジ・コントラクトですが、保険に加入せず運転する人がいないように、万一のために備えておくことは、当事者の責任と言ってよいでしょう。
しかし、マリッジ・コントラクトで決めておけることは、婚姻財産や配偶者サポートなど、配偶者間の権利と義務にかかわるものに限られます。親権や養育費など、子に関わることを決めることはできません。
Q マリッジ・コントラクトは当事者のみで作成できますか?
マリッジ・コントラクトは、当事者とそれぞれの弁護士の署名があってはじめて法文書としての効力が発揮されます。また以下のような事態を裁判所が認めた場合、そのマリッジ・コントラクトは無効となってしまいます。
- 財産や借金、収入や支出の完全経済開示が行われなかった場合
- 同意した内容を当事者が理解していなかった場合
- うそや威圧などによって署名を強要された場合
- 弁護士による「配偶者としての権利と義務」に関するインディペンデント・リーガル・アドバイス(ILA)を受けるチャンスがなかった場合
つまり、オンタリオ州で有効なマリッジ・コントラクトの作成には、オンタリオ州の弁護士を雇うことが必須となります。しかし、相談者がオンタリオ州に住んでいる必要はありません。日本など他の国や地域にいる人々も、オンラインでの相談が簡単にできます。
遠距離婚約者リモート相談は、次の手順で行っております。
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おふたりのフルネームと相談内容を明記
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顧客名簿を検索し、お相手が過去に当事務所の顧客でなかったことを確認後、オンライン(zoom)面談の日時決定
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面談の後は、メールなどで日本語での打ち合わせ
配偶者間の経済問題を予め解決しておくことは、離婚時の精神的、経済的ストレスの大きな軽減につながります。遠距離カップルに「今できる結婚準備」の一つとして、マリッジ・コントラクトの作成を検討してみてはいかがでしょう。
マリッジ・コントラクトに関するご相談は、日本語でのサポートが一貫して受けられるネイソンズ、シーゲル法律事務所にお問い合わせください。